罪の認識
孤児院の改革が本格的に始まりました。
まだまだ孤児達を救えているとは言えませんが、貴族を処分しなければいけません。
お父様とお母様が衛兵500人に声をかけます。
「バルツァー領の全ての貴族とアードラー男爵家に関係する人間を全て捕縛し広間に連れてこい」
「孤児は保護して孤児院に送りなさい」
「かしこまりました」
私は広間に罪人が集まるのを待つだけです。
直ぐに集まる訳ではありませんので、エリーの元を訪れ訓練の様子を見たりしていました。
10日後に全ての関係者が揃った様です。
「アリー、好きな様に話しなさい」
「分かりました」
お母様から合意をもらい、私は大勢の人達と向き合います。
「近衛騎士の皆様、貴族の当主をここに集めて下さい」
「かしこまりました」
集められた貴族の当主は私を見下している様です。
所詮子供だと馬鹿にしているのでしょう。
「孤児を奴隷として働かせましたか?または利用しましたか?買いましたか?」
全員が奴隷として認識していたようです。
孤児は同じ人間ですよ?
罪人を極刑にする許可をもらっています。
それに覚悟を持っています。
「決定です。集められた貴族の血縁者は皆、極刑です。連れて行きなさい」
「かしこまりました」(近衛騎士)
物凄い煩いですね。
自分達が何をしたのか理解していてもこれですか。
感情の器も小さい、本当にみっともない人達ですね。
次は関係者の番ですね。
300人以上いるのではないでしょうか。
多くの貴族達の関係者ですから当然ですね。
「王家を憎んでいる、孤児院の改革を憎んでいる、孤児を奴隷だと思っている、孤児の娼館を利用した人はいませんか?」
多いですね。
200人以上が該当するではありませんか。
縄で縛られている関係者を左右に分けます。
「左に集められた人は全て極刑です。連れて行きなさい」
「かしこまりました」(衛兵500人)
こちらも煩いですね。
罪だと分かっていたのでしょう?
何を喚く事があるのか理解出来ません。
お父様とお母様が今後の方針を語りました。
「これ程の罪人がいるのか。孤児を奴隷として利用していたのか。孤児院を改築して王国中の孤児が集まって問題ない作りにするぞ。当然、全ての領の孤児院は封鎖だ。委託所を設置して王都に孤児を集める仕組みを作る。もちろん委託所の人間も貴族に染まらないように定期的に交代だ」
「残っている文官で民の管理は出来るでしょう。適切な配置に役所を設置する様に進めましょう。アードラー男爵領はアーベライン侯爵家に任せるのが一番でしょう。不本意ですが飛び地では妨害が酷いでしょうから」
私が出来るのは罪人かどうかの判断をするだけです。
この目から罪人が逃れる事は出来ません。
エリーの様子を見た後、孤児院に向かいます。
「クリスタ、皆の様子はどうですか?」
「やはり奴隷として働かされていた孤児達の心のケアに時間がかかりそうです」
「そうですか。どれだけ時間がかかっても構いません。王家の責任です。あと、王国中の孤児がここに集まるように改築します。対応よろしくお願いします」
「凄いですね。分かりました。頑張ります」
「何か気になる事とかありませんか?」
「攫われそうになった時、逃げ出した孤児達が作ったスラムがあるのですが、そこの人達は私の言葉を信用してくれません。救わなければいけない人達ですが…」
そうだったのですか。
上手く逃げ出せた人達もいたのですね。
攫われかけたのです。
素直にこちらの言葉を信じる訳が無いですよね。
王家が何とかしないといけません。
「分かりました。スラムの場所を教えて下さい。私が対応します」
「危険な場所です。王女様を向かわせる事は出来ません」
「心配しないで下さい。その為に護衛のセバスがいるのですから」
「分かりました…。場所は港の方面にあります。気を付けて下さい」
孤児はあらゆる職業になれるように勉強出来る環境になります。
仕事を行える水準を超えたと判断されれば推薦状も用意します。
当然ですが食事もお腹いっぱい食べれます。
子供は国の宝です。
貴族に好き勝手に利用されて良い訳がありません。
セバスは強いですが上には上がいます。