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乞食姫と呼ばれた王女  作者: 大介
第1章 孤児院の改革
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孤児院の調査

王国の資料室で税金の使い道を調べていました。


王都にある孤児院にお金を出していると思った為です。

予想通り、報告された人数に合わせたお金を出していますね。


「アンナ、調査に適した人物を連れてきて下さい」

「かしこまりました」


侍女のアンナにお願いをします。

孤児院はまともに運営されていないでしょう。

その事実を調べ両親に訴えれば、私が介入する事も可能だと考えた為です。


アンナが1人の女性を連れて来ました。

「クリスタです。何か御用でしょうか?」

「王都にある孤児院の運営状況を調べて欲しいのです。人が足りなければ追加しても構いません」


「かしこまりました。では、簡単に実態を調査した後、本格的に始めたいと思います」

「はい。それで問題ありません。よろしくお願いしますね」


クリスタは調査に動いてくれるようで良かったです。

さて、次は両親の元に行きましょう。


「お父様、お母様。王都にある孤児院に税金が使われているのをご存じですよね?私の予想では酷い状況になっていると思います。最悪の場合、貴族が犯罪に関わっているかもしれません。重罪であれば侯爵家であろうと極刑ですよね?」

「そうだが、突然どうしたんだ?」


「お父様に答えて欲しいのです。貴族が重罪を犯せば極刑にしてくれると断言して頂けますか?」

「ああ。誓って極刑にしよう」

「アリエッタ。何を考えているの?正直に話しなさい」


お母様に疑われてしまいましたね。

正直に話して協力してもらいましょう。


「汚い色を見るのに疲れました。ですから、平民や孤児から綺麗な色を探したいのです」

「そう。あなたの考えは分かったわ。では、孤児院に行く前に訓練プログラムを終わらせなさい」


え?

とんでもない事になりました。

訓練プログラムとは、淑女になる為に必要な要素を全て詰め込んだ勉強の総称です。


「分かりました。勿論終わらせて見せます」

「良いでしょう。ヒルデを呼びなさい」


ええ?

鬼婆を担当にするのですか?

しかし、乗り越えなければいけないのです。


「奥様。お呼びでしょうか?」

「アリーに訓練プログラムを開始して頂戴」

「ええ。お願いします」


「分かりました。全力で頑張らせて頂きます」

いいえ。

手加減して下さい。


訓練が始まって数日、クリスタが報告に来ました。

「遅くなって申し訳ありません。孤児院の現状は酷いという言葉では表現出来ない程の惨状です。食事もまともに食べられず、貴族に売られている子もいます。さらに男は労働奴隷、女は娼館で働かされている様です。関わっている貴族までは分かりませんが、これから本格的に調査をしたいと思います」

「ありがとうございます。貴族が関わっているのであれば、気を付けて調査をして下さい」


想像以上です…。

考えていたのは満足に食事が食べられない程度でした。

貴族が関わっている可能性は高いと思っていましたが、ここまで深く関わっていたとは…。


あまりの悪質さに言葉が出ません。

甘い世界に私はいたのですね。


クリスタの報告を両親にします。

「それ程の惨状になっているのか…。何て事だ!」

「王家の失態ですね。アリー、訓練プログラムを10歳までに終わらせなさい。それまでに王国として動けるように準備しておきます」

「分かりました。お願いします」


それからは訓練プログラムに本気で取り組む様にしました。

少しでも早く孤児院の子達を助けてあげたいからです。


調査を開始して1年程経ったでしょうか?

クリスタが報告に来ました。


「孤児院に関わると命が狙われる可能性があります。それでも良いですか?」

「はい、命など気にしません。教えて下さい」


「分かりました。孤児院は10歳程度になると子供を外に捨てます。男だった場合、バルツァー侯爵家が攫う様に連れて行き労働奴隷としています。女だった場合、アヒレス伯爵家が攫う様に連れて行き娼館で働かされます。また、定期的にアードラー男爵家が女の子を買いに来ている様です。院長が孤児を外に出す日や、売る子の値段を決めています」

「バルツァー領とアーベライン領を同時に敵に回すと言う事ですね」


「はい。最悪の場合ですが、2つの侯爵家に命を狙われます。お気を付け下さい」

「大丈夫です。今まで調査に協力して頂きありがとうございます。ゆっくり休んで下さい」


最低ですね。

貴族はここまで腐っていたのですね。

私は今得た情報を両親に報告します。


「想像以上だ。これ程の貴族が関わっているのか」

「あなた、恐らくバルツァー領の貴族は全て関わっていますよ。1つの領地を潰す覚悟が必要ですね」

「私もそう思います。労働奴隷に娼館ですから、多くの人が利用してそうです」


「ああ、覚悟を決めて対処するしか無いな。孤児は全ての領地から保護出来るように王国法の改正も考えよう。あまりに悪辣だ。城の目の前の孤児院でこの惨状だ。他の領地の孤児院も信用は出来ん」

「そうですね。全ての孤児達を救う必要があります。王家の責任です。お金は取り潰す貴族から没収すれば問題ありません。準備は進めています。後1年後に動き出しますからね」

「分かりました。私も覚悟を決めます」


私が見たかった綺麗な色とは真逆の惨状に怒りが涌いてきます。

お母様が動くと地獄です。

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