第1話 グッドモーニング、ワンダーランド
――――――――新約暦2019年
「ゴッド、ブレス、アメリカ〜、ランド、ザット、アイ、ラービュ〜」
マクナマラ小隊長は鼻歌を鳴らして、まだ見ぬ新世界に思いをはせた。
長いトンネルを抜けると、そこは異次元だった。
少し違う気がするが、そんな文言を聞いたことがある。
船内に流れるアナウンスは、もうじき長い超次元跳躍を終えることを告げた。
『総員、作戦配置に付け。まもなく跳躍停止』
すでに、自身の愛馬に身を置くマクナマラ小隊長は、まだかまだかと待ちわびた。
二重瞼の奥に光る、緑の瞳を持つ赤毛の軍人。
日々の厳しい訓練で鍛え上げた肉体は、日に焼けて浅黒い。
がっしりした体格に、ウェットスーツのような宇宙服を着て、すでに準備を終えていた。
彼は無線で自身が預かる兵士達に、朝が来たことを告げるように話す。
「傾注! 勇敢なる我が小隊諸君。ウェルカム、トゥ、ザ、新世界!」
アナウンスがワープアウトのカウントを始めた。
『――――ファイブ、フォー、スリー、ツー、ワン……ワープアウト』
長い長い暗黒。
永遠に続くのではないかと思える、異空間の暗闇を越えると、一瞬だけ雪景色を思わせた。
目が光になれてくると、その光景をしっかりと焼き付ける。
モニターに広がる世界は、空間一面に虹の波が覆い尽くし、虹が揺らめくと七色の光がうねる。
点在する惑星群は、金平糖のように表面が尖った形をしており、惑星の中央は結晶のように透明で、むき出しの中心核は無数の稲光を放出している――――。
「グッドモーニング! 不思議な世界」