西洋エロティック文学(小説)大全 古代ギリシャから現代まで ブックリスト100選 性愛文学(せいあいぶんがく、Erotic literature)
前説
「本当の名著とは、悪書のことである」という
格言がある(らしい?)
建前だけの?きれいごとを上っ面、書いただけのような
良書?善書?文部省推薦図書?だけでは世の中の裏表のすべてが分かろうはずもない、、という
教え?の格言なんでしょうね。
というわけでエロティック小説というのは、いわゆる悪書?禁書?のたぐいに分類されうべきものなんでしょう。しかしながら、、まあ極言するならば、
いわゆる悪書からあなたが何をくみ取るのか?
悪書を清濁併せのむだけの器量があるのか?
それとも感化させられて、罠にはまって?単に悪の模倣犯?に成り下がるだけなのか?
それは、、あなた次第です。
そもそもなぜこのようなエロ小説が飽きもせずに?
陸続と作られ続けるのか?
それは我々に性欲があるからです。
性欲が無かったらこんな小説がつくられることもないし、
仮に作ったところで需要がないのですから
売れません、というか誰も読ませんね。
というわけでエロ小説も需要供給のバランス?で成り立っている?
というわけなのです。
大上段に振りかぶって言うならば
「神はわれらに性欲をお与えになった。ゆえにわれらはエロ小説を作りそれを読む」
、、ということなのでしょうね。
性があるから、、私もあなたも、、存在する、
父母の生殖によってあなたは生まれた、
誰も性なしではこの世に生まれない、
そういう意味ではわれらは[性の操り人形]にすぎない、、ということでしょう。
あるいは言葉を変えて言えば
われらは「DNAの運搬人」にすぎないということでしょうね。
DNAをあなたも私も運搬しているに過ぎない、
また
こんなことわざ(格言)もあります。
「悪に強ければ善にも強し」
世の中の悪事とか裏面も知らないで、、というかそういう悪から隔離されて
保護されて、見ないようにされて、そんな、
いわば無菌室のような善人ではこの世知辛い世の中では生きてゆけませんよ、ということわざ(格言)なんでしょうね。
いずれにしても悪書であれ、善書であれ、
それをどう受容するのか
ただワナにはまるのか
それとも超越できるのか、
それは結局は
あなた次第ということなのでしょうね。
まあそれにしても
純文学にしろ、、
エロ小説にしろ、、
その差は紙一重ということです。
同じ穴のムジナ、、ということでしょう。
いずれ狸か、狐か。
そんな程度の差でしょうね?
もっと言うならば
全ては消えゆく朝もやのようなもの、、
一切は無に帰る、、ということなのでしょう。
人生という旅路の途中に巻き起こる様々な雑事にすぎない。
人生という死出の旅路の途中の出来事なんてのは
まあなんというか取るに足りない一エピソードにすぎないということです。
つまりはエロ小説も含めて「文学」なんてものは、
そういう雑事の中のそのまた些少な雑事のそのまた些少な雑事にすぎないのです。
どうでもいいもの
無くってもいいもの
そこらの石っころみたいなものなのです。
「おいおい、じゃあ、なんで、わざわざ、こうしてお前が文章にまとめたりしてるんだよ、
無意味だろが?」
それは以下の「本論」でご確認くださいませ。
本論
その昔は旺盛を極めて広く(隠れて?ひそかに?)愛読されていたこれらのエロティック小説たち、
これらは正当な文学史からは排除されたもう一つの裏文学?であったのだ。
当時は取り締まられて、あるいは発禁で、まあ逆説的にはそのころが「華」だったともいえるのでしょう。
今では発禁も取り締まりも皆無?ですものね。どうでもいいものになった?ということです。
映像文化に押されて今や、すでに衰退し、、
時のかなたに忘れ去られ、、そんなものがあったなんて誰も知らない?ような時代と
なりつつある昨今の現状を憂え?せめてもの
不肖わたくしが非力、、場違い?お門違い?専門外?をも顧みずに、あえてこれらのエロティック文学の追悼的な?葬送曲としての?
備忘録的なリストの作成を思い立ち、、記憶にとどめんとした次第であります。
斯界の碩学である「城市郎」氏のような専門家でもない埒外のこの私などが無理をして、このようなことをするということを、
江湖の読者の皆様が、そのようなわたくしの非力かつ専門外であることをご理解下されば幸いです。
事実、私自身が興味があるのはゴシック小説とか、幻想小説。SF小説、ダーク・ファンタジーであり
エロティック小説には全く興味も関心もないのです。ですが、ネット上にこのようなリストが見当たらないので、、じゃあ仕方ない、記録としての意味で私がつくっておくか、、、、その程度でしかない、ということを、ご承知おきいただければ幸いです、
西洋エロティック古典文学(小説)の歴史 ブックリスト 一覧表
〇 → 比較的有名な作品です。
時代 小説名 作者名
1、古代ギリシャ
女の平和 アリストパネス
サッフォー詩集 サッフォー
ギリシャ神話
ダフニスとクロエ ロンゴス
2、古代ローマ サチュリコン ペトロニウス
黄金のロバ アプレイウス
〇アルス・アマトリア オウィディウス
3、中世 ガルガンチュアとパンタグルエル ラブレー
〇ラジオナメンティ アレティノ
4、ルネッサンス
サン・ヌーベル・ヌーベル(ふらんすデカメロン) 不詳
エプタメロン ナバール女王
〇デカメロン ボッカチオ
ペンタメローネ(五日物語) バジーレ
カンタベリー物語 チョーサー
5、近世
〇ダーム・ギャラント(艶婦伝) ブラントーム
〇ルイザ・シゲアの対話 ニコラ・ショリエ
6、近代 (18世紀以降1900年代前半まで)
フェリシア、私の火遊び アンドレア・ド・ネルシア
パウリスカ あるいは現代の背徳 レヴェローニ・サン・シール
〇ロシア皇女の秘密日記 カツンバ・パシャ
〇娘たちの学校 ミオー&ラグランジュ
コント ラ・フォンテーヌ
〇テレーズの告白 マルキ・ダルジャン
女哲学者テレーズ 不詳
〇おしゃべりな宝石(不謹慎な宝石) ディドロ
〇シュザンヌの告白(修道女物語) ディドロ
〇ジュリエット物語あるいは悪徳の栄え マルキ・ド・サド
〇ジュスティーヌ物語あるいは美徳の不幸 マルキ・ド・サド
ソドム120日 サド
〇フランス一の伊達男 ミラボー伯爵
危険な関係 ラクロ
〇告白(告白文学の先駆的作品) ジャン・ジャック・ルソー
ソファー クレビヨン・フィス
〇わが生涯の物語(カザノヴァ回想録) ジャコモ・カザノヴァ
〇ムッシュニコラ(膨大な性的自叙伝) レティフ・ド・ラ・ブルトンヌ
〇ファニーヒル ジョン・クレランド
ファニーヒルの娘(上記作品の続編です) ジョン・クレランド
〇蚤の自叙伝【私は蚤である) 不詳
〇ガミアニ (ガミアニ伯夫人) アルフレッド・ミュッセ
船長夜話 不詳
〇わが秘密の生涯(My Secret Life) 19世紀イギリス不詳
ハレムの一夜 ロードジョージハーバード
〇好色なトルコ人 不詳
パリのおしゃれ学校 不詳
〇トゥルーラブ ジョン・スミス
アフロディット ピエール・ルイス
〇ビリチスの歌 ピエール・ルイス 詩集
母娘特訓 (セックス・レッスン) ピエール・ルイス
淫蕩な印度娘 チャールズ・ブディビル
〇フロッシー 十五歳のヴィーナス スインバーン
〇一万一千本の鞭 アポリネール
若きドン・ジュアンの冒険 アポリネール
〇わが生と愛(My Life and Loves) フランク・ハリス
マドリッドの男地獄 ジュリアンビザロウ
聖春婦 マドレエヌの告白 シャルル・ベルラン
アリスの人生学校 ピエール・マッコルラン
〇ドイツ歌姫の回想(ある歌姫の想い出) デフリエント
〇ウイーン娼婦の自伝(ペピの体験) ヨゼフィーネ・ムッツェンバッヒェル
〇バルカンクリーゲ(バルカン戦争) ウイルヘルム・マイテル
青春の戯れ S・エークド
ロシア宮廷の踊子(ロシア踊子の回想) バンヤ
ジュリヤの青春 R・ニスモア
ベルリン狂想曲 ローレ ワッテン・リヒター
イボンヌ 恋愛学校の冒険 マリイ・サキット
パリのどん族 マリーズショワジー
わが愛しの妖精フランク 不詳
〇ドリー・モートンの想い出(南北戦争の嵐を背景にした幻の禁書) 不詳
〇毛皮のヴィーナス マゾッホ
〇愛欲のロマンス(ヴィクトリア時代のセックスロマン) 作者不詳
太陰の娘サロメ デュム・ド・アポロ
悪女モニカ 不詳(ホフマン?)
風流滑稽譚 バルザック
悪の華 ボードレール 詩集
この手の作品の常として作者名は、出版当時はほとんどが偽名や匿名、
不詳が多いです。検閲や発禁、逮捕を恐れてです。
このリストで実名が書かれているのはのちに判明したからであって
刊行当時はほとんどが偽名だったのです。
7、現代(1900年代以降)
ウイーンの裸体倶楽部
チャタレー夫人の恋人 ロレンス
☆ヴィーナスの戯れ アナイス・ニン
セクサス ヘンリーミラー
☆ロリータ ナボコフ
☆花のノートルダム ジャンジュネ
眼球譚 バタイユ
マダムエドワルダ バタイユ
城の中のイギリス人 マンディアルグ
☆オー嬢の物語 ポーリーヌ・レアージュ(偽名)
☆イマージュ ジャン・ド・ベルク(偽名)
☆唖の黒人女 ミシェルベルナール
☆エデンエデンエデン ピエールギヨタ
彼女 ANワードスミス
キャンディ テリーサザーン
☆肉腫 ジョイスマンスール
十字軍艶征記 ジョンクリーブ
スクリーン マルツバーグ
地獄 バルビュス
愛人 (ラマン) デュラス
眠り姫、官能の旅立ち スリーピング・ビューティ アン・ライス
☆夜の森 ジューナ・バーンズ
この人についてはいつか別に書いてみたいです↑
タブー マリオメルシュ
挑発 チャールズプラット
最後の一夜 キャシオ
クラッシュ JGバラード
聖餐城 ベルナール・ノエル
タブー マリオメルシュ
幻想ホテル スティーブンシュネック
イレーヌ アラゴン
黒い本 ロレンスダレル
ヘレンの日記 若い娘の性の詩 F・レンゲル
ロベルトは今夜 クロソウスキー
付記
以上の各作品の「内容」については、あまりにも、膨大すぎて、ここでは記述しきれませんので、
各自、皆さまにて、ネット検索等でお調べくださいませ。
〇まとまった翻訳物の全集
世界艶笑文庫 紫書房 全19巻
愛の世界文学 浪速書房 全25巻
世界秘密文学選書シリーズ 全53巻+別巻4巻 浪速書房 1967年清水正二郎(胡桃沢耕司編者)
人間の文学 河出書房 全30巻
世界セクシー文学全集 新流社 全10巻
富士見ロマン文庫 富士見書房 全200冊の大全集
金子國義、池田満寿夫らが表題画を担当した。今では
本の内容よりもこれらの装丁画のほうが人気ですよね?
これらの翻訳物の訳者も当時は発禁・逮捕を恐れて変名や偽名の訳者名がほとんどでした。
何しろ当時はこういうものを翻訳出版すれば逮捕起訴されるという時代だったのです。
実名で出版した渋沢龍彦が起訴されて、有罪となった有名な事件がありますものね。
(悪徳の栄え事件)
まあこういう危険と隣り合わせの「危険な香り」?が。逆に、より一層こういうエロティック小説の魅惑を高めた?ともいえるのではないでしょうか?
「秘密文学」「発禁本」「地下本」「奇書」「悪書」なんて言われると、、
興味をそそられるでしょう?
ですが、今現代においては小説での発禁、起訴ということはほぼ皆無です、。
そういう、
今現代のように事実上?は「何でもOK」?、「おとがめなし」?では、、逆に、つまらないですよね?
のちに実名が判明した有名な訳者としては平野威馬雄、胡桃沢耕司(清水正二郎)などがいます。
この手のエロティック小説の翻訳本の多くは無名の訳者によるでたらめの翻訳でいい加減なゾッキ本が多いのですが
上記の全集物については
比較的まとも??な翻訳全集です。
後書き
映像文化まっさかりの、現代にいまさら古色蒼然たる、こんなエロティック小説の古典をこそこそと読むというような奇特な人?もいないでしょうが
私があえてこのようなリストを作成した意味は、
いわゆる正当な文学史の裏の歴史としてかつては、こんなエロティック小説があったという記録を残すということでご理解ください、
文学自体がすでに、映像文化に圧倒されて、今や消え去ろうとしています。今、「世界文学全集」とか「日本文学全集」なんて誰が読みますか、、って、、ハナシですよね?
ましてや、こんな裏文学はもう風前の灯?です。というか完全に埋没しています。
そういう現状を見るにつけ、不肖わたくしの使命感?としてもこういう裏文学があったのだと記録しておくべきなのではないだろうか。そのように愚考?してこのようなリストをあえて時代に逆らって作成した次第なのです。その点をご理解下されば幸いです。
そもそも、、文学全体が今や「たそがれ状態」であり、没落傾向に歯止めがかからない状況です。
活字文化、文学・小説の衰退は顕著です。そもそも文学(小説)ってのは、活字(文字)をいちいち、読解してそこから意味を理解しかつ咀嚼して、脳内にその情景を湧出して視覚化(映像化)する、、
そうして初めてその小説世界が脳内に構築されるっていう面倒なものなんです。
ですから極端な話、文字が全く読めない人にとってはそこにどんなエロい小説があったとしても、
読めないのですから、、ただの古びた紙に意味不明のインクの染みが無数に刻印されただけの
(紙の束?)がそこにあるだけでしかないのです。
あるいは例えばフランス語で書かれたすごいエロい小説がそこにあったとしても、
フランス語がまったく読めない人にとっては意味不明なアルファベットの羅列でしかありません。
このように文学とは、、読んて、わかって、咀嚼出来て、、脳内にその情景が想像できて初めて
「文学」小説たりえるというとても厄介な知識作用、脳内作業が必要なのです。
そういう作業って今の人には面倒ですもんね。
そこに行くと映像文化(映画、動画、漫画。アニメ、ネットゲーム)は、
そのものずばり、見れば即、わかるのですから、読解力も外国語も関係ありません。
まあそういう意味からも、活字文化の文学(小説)はもうそろそろ終演?でしょうか?
ましてやこんな「エロティック文学」?などは忘却の彼方?となっても致し方無いのでしょう。
映像文化全盛の
今現代こんな古めかしい?エロティック小説の活字で催淫?されるような読者はいないのが実態でしょうね?
せいぜい、活字で催淫されたのは、映画やネット動画などの映像文化のなかった19世紀まででしょうか?
いまさら活字でなんかはもう誰も興奮しない?ということですよ。
単に催淫を求めるなら、今では、そのものズバリの映像表現があるのですから
ほかにいくらでもその手の映画なり、動画なり、アニメなり、漫画なりがあるのですからね。
というわけで、
そんな忘却の彼方に消え去りそうな(消え去った?)「エロティック文学」へのささやかな?「追悼碑」「備忘録」「メモワール」「顕彰碑?」「葬送曲?」としてこんなブックリストをあえて、時代に逆行してまで?、非力を顧みず、不肖、専門外の興味もないようなわたくしがあえて、作った次第です。
というわけで、、その辺の事情をどうぞ、ご拝察・ご了知くださいませ。
☆なお上記リストの「現代」の部分の小説リストについてはいわゆるエロティック小説というよりはむしろ、「純文学」?といった方が良いものも含まれておりますことをご理解くださいませ。
☆注意事項
記録としてのリストアップであり
これらの小説に対して私自身は一切なんの思い入れもありません。
記録として列挙しただけですので
わたしの意図は、それ以上でもそれ以下でもありませんのでご了解ください。
私がサイト上でご紹介している書籍については、
私がその書籍を推薦してるだとか
読むことを勧めてるだとかは、一切ありません。
したがってそれらの小説について私は一切責任は負いません。
万が一読まれる場合には、あくまでも、自己責任でお読みください。