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~心身分劃~

 夢を見た。私が獣となって次々と人を殺していた。あれ……? これ知ってる……。確か……そう、私が覚醒した時のものだった。覚醒した直後は我を忘れ、大暴れしたんだ……。そして……私はあの時、私を一番大切にしてくれた人……大好きだった、てるを殺しちゃったんだ。


『……ごめんね、照』


そう呟いても、照はもういない。だって、私が殺しちゃったんだから……。すると夢が歪み始める。


『あれ……何、これ……。夢が……壊れる……?』


壊れる先は真っ黒だった。そして薄っすらと映像が浮かび出す。


『こ……これ、私……?』


そこには、赤い涙を流して倒れている私が映っていた。薄暗い森だった。すると光が発し、私の体が二つに分かれた。


『……こんなの……覚えてない……』


一人は倒れたまま。一人は立ち上がり、倒れている私を見下ろしていた。


『……?』


見下ろしている私は、倒れている私に向かって、何か呟いていた。


『何を……言っているの……?』


そう呟くと、ピクッと反応し、こちらを見てきた。


『!?』


目が合うと、さっきまで見下ろしていた私が、私を見てニヤッと笑い


「……みーつけた」


そう呟き、こちらへと向かってくる。


『な……何? 貴方も…留美なんだよね?』


「そう。私は留美。貴方と同じ。やっと見つけた……私の分身」


『え……!?』


「さぁ……早く私の中に入ってよ……。私はずっと此処で彷徨ってるのよ……」


『だけど……私はもうとっくに統一されたんじゃ……』


私はそう言うと、少し疑問を持った。あれ? 何で分かるの? 私、覚えてないんじゃ……?


「なーんだ、そこまで覚えてたの。なら話は早いわ。確かに統一した。だけど、貴方にとって少し前までいた、レン・キルラが死亡した時、再び分かれたのよ。それが貴方。懸命に立ち直ろうと、今は新しい心の赤を持つ者と一緒にいるけど、無理なのよ。彼を失ったショックは大きい。私がついていけないのよ……。貴方は体。私は心。素直になって……。貴方は本当は未だにレンを忘れられないはずよ……?」


そう、心だと言う私が、私に言う。レンのことは確かに辛いし、未だに受け止められずにいた。だけど、レンは私に生きてと言った。生きて欲しいと。それが彼の願い。だから私は――――……


『よく聞いて……心の私。レンはね、最期に私に“生きろ„と言ったの。確かにレンの死は辛いし、そう簡単に立ち直れない。今も……正直言うと、戸惑う。だけど、レンの死を悲しんでばっかだと……レン、悲しむじゃん……。そしてレンのことだから……きっと、自分を責めると思うの。残された私に出来ることはただ一つ……。生きることよ。レンがいなくても明るくいることが、レンに対して唯一出来る恩返しだよ……』


心の私は目を見開かせた。その目には涙がいっぱい。きっと、今の私もそんな目をしているのだろう。心の私の姿がよく見えない。


「レンへの……恩返……し……?」


『そう……恩返し。貴方もずっとしたいと願ってきたことよ……。レンのことを忘れるんじゃないの。忘れないように生きるの。レンのことを忘れないために……現在いまを生きるの』


「……現在いまを……生きる……」


そう呟く心の私を、体である私はそっと抱き締めた。


「あ……」


『心の私……。レンのことは忘れちゃ駄目……。でも、生きることに逃げるのも駄目……。大丈夫、貴方がついていけなくても、私がいる。体の私についてきて……? ……一緒に生きよう……? 私』


体が震えていた。私も彼女も。すると彼女は抱き締め返し、コクリと頷いた。


「……うん……!」


涙を流すと同時に、心のかのじょが光り出す。


「本当は逆なのかもね……。私が体で貴方は心。私は悲しみのあまり、心を失ってしまったんだと思う…」


『……いいえ。私が体よ。貴方はレンへの悲しみその物だから。私はレガンを頼りに生きようとした、弱くて醜い物だから……』


そう言うと、心のかのじょは首を横に振る。


「貴方は弱くない。醜くない。貴方は……立派だよ……」


そう言って、心の私は光となって消え、私の中に入った。


『……ありがとう。心の私……。私、色々と潰れそうだったんだ……』


崩れ落ちる夢世界。いや、これは夢世界ではない。……私の記憶だ。

引き続き、投稿が遅れる可能性大です。

気長に御待ち頂けると有難いです。

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