~レンの思い~
レガンは研究所を見ていると、一冊だけ本棚から出てる物があった。
それはレンの思いが綴られた研究ノートだった――……
俺は留美がお茶を作りにキッチンに向かっていくのを見届けた後、レンさんの研究所であるという場所を見渡す。留美の言う通り、確かに少し埃が被っているが、物が整理されていて、綺麗だった。
「俺の部屋とは大違いだ……」
俺の部屋はというと、とてつもなく散らかっている。だが、何処に何があるのか分かるし、最低限の生活スペースがあったため、別に整理しようとは思わない。それに誰も家に来ないだろうし。
「……ん?」
本棚を見ていると、一冊だけ出ている物があった。
「何だ……? ……『覚醒現象~覚醒人の結末~』……?」
明らかに手書きでそう書かれたノート。下にはレン・キルラと書かれていた。
「レンさんの研究の一つか……?」
俺はそのノートを開く。すると、最初に俺等に宛てた手紙らしき内容があった。
『このノートを開いているということは、私が死んだ後、新しい心の赤を持つ者と共に、覚醒現象について調べるために、私達の家に戻って来たということだね? この家は自由に使ってくれていい。留美の家だからね。そして、私に代わって心の赤を持つ者となった方……どうか留美を……いや、覚醒人間を助けて欲しい。残念ながら私はそれを出来そうにないらしい。だが若い貴方ならきっと……出来るはずです。私が今まで研究してきたことを、このノートに残します。ちょっとでも手掛かりになってくれると嬉しい。健闘を祈るよ。……留美。悲しい思いをさせて申し訳ない……。この家に来た時、きっと私との思い出でいっぱいになるでしょう……。ですが、貴方は独りではありません。私がいます。貴方の隣にいる方がいます。美江さんもいます。だから泣かないで下さい。必ず……私が貴方を守ります。……新しく心の赤を持つ者となった方……私はもう死んでいて留美を救えません。留美は貴方に任せます。どうか……よろしくお願いします。そして、このノートは貴方が持っていて下さい。少しは役に立つかもしれません。このノートが少しでも手掛かりになることを願います。レン・キルラ』
「……レンさん……。そこまで貴方は留美を……覚醒人間を……」
俺は久しぶりに泣きそうになった。心が込み上げてくる感じがした。だが、俺には涙はない。生まれた時から涙が出なかった。俺は他の人間とは違った。涙も汗も出ない体だった。
引き続き、投稿が遅れる可能性大です。
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