~ココロの温かさ~
心の赤を持つ者の男性に涙を見せてしまった留美は慌てて、気分を戻そうとする。
一方、男性もまた一人ぼっちの彼女を気の毒に感じていた……。
「……少しマシになったか……?」
男性は私から少し離れて尋ねる。
「うん……。ありがとう……」
つい取り乱してしまった。レンの死は未だに思い出すと胸が痛くなる。レンの体から少しずつ力が抜けていき、そして……
『死んじゃ駄目だよ……留美』
そう言い残して、彼は完全に体の力が抜けた。それはあの時と同じ虚しさで……私の目から涙が溢れ出した。
『レン……!! うぅぅ……。うわぁぁぁぁ……』
私は泣き叫んだ。……あれから何年も経つのに、私はまだレンの死に様をはっきり覚えていて、まだ受け止められずにいるのだ。
「……レンさんって人、どんな人物だったかは知らねぇが、お前にとって、よっぽど大切な存在だったんだな……」
男性はぽつりと呟いた。
「……私にとって、レンは全てだった……。レンがいてくれたから……私は人間の心を取り戻して、こうして生活が出来た……。レンには感謝しかないよ……。……いや、好きだった……。ずっと一緒にいたかったのに……」
胸が痛い。こうしてレンの話をするだけで……レンの名前を言うだけで……心がえぐられるように痛かった。私は胸辺りをぎゅっと掴んだ。
「…………ちょっとこっち来い」
「……え、何する――――」
私が言い切る前に、彼は再び抱き締めた。
「なぁ……。俺がレンさんの代わりにはなれないか……? レンさんと性格や外見は違うが……傍には……いてやれる。お前を慰めることも出来る。俺はレンさんの代役にはなれないかもしれない。だが、心の赤を持つ者の俺以外、誰がお前を守れる? ……きっと無理だ。もうこれ以上、お前には傷付いて欲しくねぇんだ……」
男性の本音らしいその言葉は私の心に響いた。あぁ……何て温かい言葉なんだろう……。この人は不器用ながらも優しくて温かい人なのかもしれない。レンの死はまだ悲しく感じるし、胸が痛くなるけど、この人といれば……いつか受け止めれる日が来るのかもしれない。
「……。貴方……名前は……?」
「俺か? 俺はレガン・ドール。……留美……。俺が守ったるからな……!」
レガンは力強く私を抱き締めた。レンと同じ温もりがあった。
「レガン……。ありがとう……!」
嬉しかった。一人じゃないんだって言ってもらえて。守ってあげるって言ってもらえて。私はレガンという存在を大切にしようと思った。
引き続き、投稿が遅れる可能性大です。
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