~繰り返される事件~
それから半年。再び覚醒現象事件が起きた。情報によるとどうやら成人女性が覚醒してしまったよう。
「俺が心の赤を持つ者になって、初めての事件だな……」
「そういえばそうだね。しかも今回は大人の女性。大人の女性の暴走はなかなかに激しいらしいの……。レンが言ってた……」
レンが死ぬ数週間前、レンから聞いていたのだ。
「今まで留美が見て来たのは、主に少女や少年が覚醒してきたんだが、大人でも覚醒はするんだ」
「それは……うん。美江さんと出会って分かったよ」
美江さんに出会って、私は初めて誰もが覚醒する可能性を持ち合わせているんだと分かった。そして何故か私は、ほっとしてしまったのだ。“私だけじゃないんだ……„と。
「大人が覚醒した時は気を付けた方がいい。少年少女と違って、大人は複雑な心情を持っているんだ。下手に説得すると、余計大暴れすることだってあるんだ」
「……そうなんだ……。大人も大変なんだね……。子供だけじゃない……大人も……辛いことが……」
少し涙が出そうになった。“きっと美江さんも辛い思いをいっぱいしてきたんだろうな……„と。それであんなに……私達を拒んだのかもしれない。
「……留美。私は貴方が心配です。私は人間でいつか死んでしまいます。私がいなくなったら……貴方は生きていけますか? この先を……無事に生きていけますか……?」
レンは私の肩を掴んでそう言っていた。……あぁ、今思えば、あの時からレンは……自分がいつ死んでもおかしくないと気付いていたのかもしれない。だからきっと……レンは……。
「……大丈夫か? 留美」
レガンの言葉に私ははっと我に返った。思い出しすぎたようだ。
「……うん、大丈夫」
私は溢れそうになった涙を腕で拭い、微笑む。
「……あまり無理するなよ」
レガンはそう言うだけだった。
「……さて、行こか!! レガン」
「おう!! 心の赤を持つ者の力を見せてやるぜ!!」
そう言って、はしゃぎ出すレガン。“全く……レガンってば……子供みたい„そう思い、くすりと笑う。
「お、おい? 何してんだよ? 行くぞ!!」
「はいはい……今行きますよ」
そう言って、私は覚醒し、獣になった。私とレガンという心の赤を持つ者の研究はまだ始まったばかりだ。
――これは覚醒人間と心の赤を持つ者(人形)が繋がる、始まりの研究である――……
―続―
これにて本編は終了でございます。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました!!
……続きはまだありますw 話はまだまだ続きますよ~。
あと、この後、ワード説明と新しく登場した人物の設定や過去話をまとめたいと思いますので
是非、そちらも御覧くださいませ。
最後になりますが、この小説に関わった全ての方に感謝しつつ、後書きとさせて頂きます。
ありがとうございました。
引き続き、説明の方、御覧頂けると幸いです。