~赤い雲現象~
私は山道を歩きながら考えていた。新しく発見された言い伝えについてはもちろん気になるし、謎を解明したいと思う。だけど、それと同じぐらいにレンのノートにあった『赤い雲』とやらも気になって仕方がない。というのも、さっきから嫌な予感しかしないのだ。
「……ぃ……おいっ!!」
レガンの声にはっと我に返る。どうやらいつの間にか止まっていたらしい。
「どうしたんだよ? 急に止まって……」
「あぁ、ごめんごめん。つい……考え事しちゃってただけ。さ、行くよ!」
「……留美。此処からは進まない方が良さそうだぜ……?」
「どうして……?」
「……嫌な予感がする。此処から先、俺達どちらかが正気を失いそうな気がする……」
「……!! レガンも何か感じたの!?」
「……! 留美も感じたのか!?」
「……うん。レンの研究所でね……レンの書いたノートで見たことのないワードが書かれている物があったの。それがこの鞄に入れた……『赤い雲』についてのノートよ」
「……赤い雲……?」
「そう。これが厄介物らしくて――――……。ん……?」
レガンに説明しようとすると、上からポツンと何かが当たった。
「ま……まさか……!!」
私は上を見る。すると、さっきまで普通の雲だったのが、赤い雲になっていっていた。
「!? 赤い雲……!! レガン、逃げて……!!」
私は必死にレガンの袖を引っ張って走ろうとする。が、レガンはまるで固まったかのように動かない。
「……レガン……?」
するとレガンは反応し、振り返る。だけど、もういつものレガンじゃなくなっていた。
「……コワス……何モカも……!!」
そう言って、レガンは私に襲いかかった。
「……レガン……!!」
私は必死にかわす。これが心の赤を持つ者の覚醒……。あぁ、同じだ。私達と……。覚醒人間と同じだ。いつものレガンは青い目だった。けど今のレガンの目は真っ赤。覚醒人間でいう、獣状態かつ暴走してる感じだ。
「落ち着いて……!! 貴方は獣なんかじゃない。人間なんだよ。そして貴方は心の赤を持つ者。心の赤を持つ者とはどんな人だったかを思い出して!! 貴方なら出来る!!」
ノートには確か、暴走を止めるには声を掛け続けることが必要だと書かれていた。だから私は、どれだけ傷付いても……レガンを正気に戻すんだ……!! そう誓ったんだ。
「……オレハ……オレは……!!!」