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第1話-目覚め

途端に視界が白くなる。


ん?なんだ?


目を開くと強い光がなだれ込み、一瞬目が疼く。


「痛、ちょ、誰だよカーテン開けたの?」


目を擦りながらベッドから体を起こすと、

そこには一人の少女がいた。


「もー、本当によう寝るんやから、あんたってやつは」


ゆっくりと話しかける、このどこか抜けたような雰囲気の主は 小鳥遊 愛璃。

ボサッとしたセミロングに半開きの目と如何にも怠そうな顔だが、根はしっかりした子だ。


「な、なんで俺の部屋にいるんだよ?」


「私が起こさなかったら遅刻しちゃうもん」


そう言って彼女はベッドに寄りかかり、床に座り込む。

位置的に彼女のそのたわわと実る胸がシャツの襟から見えそうになる、


「だからって、勝手に入ってくんなよ!一応俺だって男なんだぞ」


俺は恥ずかしさで声を少し荒げる。


「なーに言うてんの、家族なんやし、今更恥ずかしがる事もないやろ?それとも」


彼女は顔を近づける


「何か見て欲しくないものでもあるん?」


俺の脳裏にはベッドの下に隠してあるエロ本が横切る。


「べ、別に・・・ねーけどよ」


「そう、ならええけど」


こいつは昔からそういうやつだ、

そういう事を平気で言う。

そんな誘惑テク、普通の男子なら誰だって興奮するだろう。

だが彼女は無意識にこれをするのだ。

純粋すぎるのか?それとも天然なのか?

すこしくらいは警戒心を持って欲しい。


「それより、あんた大丈夫?だいぶ魘されてたようやけど?」


「見てたのかよ!」


思わずつっこんだ


「たまたま目に入っただけ、またあの夢なん?」


彼女は物悲しい目付きで俺を見つめる


「…まあ… な」


俺はあの日を一度として忘れた事はない。今でもあの日の記憶が蘇る。

あの光景、あの匂い、そしてあの黒い化け物、

そう簡単に忘れられるようなものではなかった。


「あたしに」


愛璃がそう言いかけた時、俺は声を上げる


「大丈夫だ、もう慣れた!」


すこしばかり噓をつく

彼女に心配をかけるわけにはいかない


「それに、今はお前らがいるからな、もう寂しくねーよ」


そう言って俺は愛璃の頭をクシャッと乱す


「あ!ちょ、これセットすんのに時間かかるんだよ、もう」


「これでセットしてんのか?ひでーもんだな」


「仕方ないじゃん、そういう髪質なんやから」


「それより、早くし無いと遅刻するよ」


そして、彼女は部屋を後にする



「さ・て・と、準備しますか」


手を上にストレッチしながら言う


ベッドから起き上がり、鏡の前で着替え始める。

学ランのズボンを履きベルトを締め、ふと鏡に目をやると俺の腹部には大きな傷跡が残っていた。


「やっぱそう簡単には消えないんだな、傷ってのは」


そう呟き、俺は上のボタンを止める



襖を開け、階段を降りると小鳥遊一家が朝食を食べていた


「あら、おはよう。今日は遅いのね」


そういいながらテーブルに朝食を並べる、

この40代後半の優しそうな主婦は小鳥遊 幸子

俺の養母、そして愛璃の実母である


その前では愛璃がもぐもぐとご飯を食べている。


「ちょっと寝すぎた」


返事をしながら席に着く


「いただきます」「おかわり」


愛璃の声が重なる。


「お前、本当によく食べるよな」


「いっぱい食べれば背伸びるんやもん」


「あー、お前気にしてるんだっけ、それ」


「うん、でも一向に成果は見えないんだよね」


「全部他のところに栄養持ってかれてんだろ」


「ん?」


「なんでもない、それよりリモコン貸して」


俺は渡されたリモコンでいつものようにテレビをつける。


「都市部が繭に侵食されてから今日で10年、未だ都市部奪還の兆しは見えておらず、自衛隊も戦闘に困難を極めております」

「2030年、4月7日、東京を始めとする日本全国の都市部に黒い繭のような生物が現れた。無数の目を持つこの怪物は無差別に民間人の虐殺行為を繰り返し都市機能を麻痺させました。自衛隊が派遣されるも、攻撃は効かず、壊滅、生存者は地方への避難を余儀なくされました。死者は約1000万以上、世界史上最悪の災害でしょう」


そのニュースを見て口を開く


「もうあの日から10年か…」


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