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プロローグ

初投稿なので変な所が多いと思いますが、読んでくれると嬉しいです。

改善点などを申し挙げてくれれば助かります。

少年はそこにいた。


地獄のような高温の中、ただ立ち竦み、

目に映る物を理解しようとする。

我が家だった物は炎に包まれ、眼前には無様に引き裂かれた三体の屍体…

だったであろう者がぶちまけられている。


少しずつ焼かれていく肉塊を見つめながら、

その名伏し難い悪臭を脳裏に刻みつけ、

彼は小さく口を開く。


「お父さん?…… お母さん?… お姉ちゃん?… ねえ、僕だよ… どうしたの?」


当然言葉を返す相手はいない、

だがそれでも彼は震えるような声で話続ける。


「あのね、今日ね、テストでね、満点取れたんだよ、すごいでしょ」


しかし、彼の望む返事は無かった。


「なんで… ねえ、なんで返事しないの?」

「なんで褒めてくれないの?満点取れたんだよ!ねえ!」


彼も薄々分かっていたのだろう、

もうかつての日常は戻ってこないと。

あの、 怒ると怖いお父さんも、

いつも褒めてくれるお母さんも、

無口だけど頼れるお姉ちゃんも、

二度と帰ってこないと。


でもそれらの事実を受け入れられないくらい、彼はまだ幼かった。

ただ日常を演じ続けることしか出来無かった。


「ねえ、起きてよ、具合悪いの?お薬持ってくるね」


そう言い彼は振り返る


そんな彼の瞳には何も映ら無い。

悲しみも、喜びも、怒りも、希望も、何もかも。


だが振り返りざまの彼の視界に一つだけ、映り込む者があった。

それは、窓を埋め尽くすくらいの無数の目を持つ黒い何か。

いくつもの滑らかな糸のような物で覆われ、

赫く目でこちらを睨みつける。

まさしく怪物と呼ぶにふさわしいそれは、

空っぽな少年に一つの感情を吹き込んだ。


恐怖


それも今まで経験したことがないような、純粋な恐怖。


そして同時に音が響く


「グシャ」


まるでお母さんが鶏肉を切る時みたいな、そんな濡れた、生々しい音。


「え?なに… がぇあぇぇ」


途端に息苦しくなる


「おぇぇ!」


彼の口から吹き出たのは言葉ではなく、血だった。

そして血は滴り落ちる、

彼の腹に深く突き刺さった、黒い糸に


それを見た彼は理解した、自分は死ぬのだと、

家族と同じ場所へ行くのだと。

だが不思議と恐怖は薄れていき、彼は安心する。


「お父さん、お母さん、お姉ちゃん、今行くよ、これでまたみんな一緒だね」


そう言いながら、ゆっくりと血溜まりに倒れこむ。


お気に入りのシャツが赤く染まっていくように、

彼の視界も黒く染まっていく。


徐々に遠のいていく意識の中で彼は最後の言葉を口にする。


「ただいま」と


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