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プロローグ
季節がどうしてめぐっていくのかごぞんじ?
それは、季節を司る四人の女王様が、季節の塔で祈りを捧げてくれるから。季節の塔で春の女王様が祈りを捧げれば、この国は春になる。夏の女王様が祈れば夏に、秋の女王様なら秋に、冬の女王様なら冬になる。今年はなかなか暑くならないなって思ったら、春の女王様がうたた寝してて、塔から出てこないからかもしれないね。今年はいつまでたっても涼しくならないなって思ったら、夏の女王様が塔で我慢大会でもしてたりして。今年は初雪が遅いなって思ったら、秋の女王様がおいしい果物に夢中だったり。そして、今年は全然暖かくならないなって思ったら、冬の女王様が駄々をこねてるのかもしれないよ。ずっと冬のままがいい、冬を終わらせたくないってね。でも、どうしてそんなこと、言いだしてしまったんだろう。冬をもたらし、冬を連れ去るのが、冬の女王様の役目だっていうのにね。
これは、今からずっとずっと昔、冬が終わらなくなってしまった国のお話。