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生き地獄

「さぁ、お楽しみの時間だぜ!」

「わ~い!」


俺のセリフにユキが目を輝かせながら俺を見る。

レインを含む竜人族たちは何事かと集まる。

リアたちはなんとなく何かが起ころうとしていることだけは分かるようで顔を引きつらせている。


「兄貴、これから何をするんだ?」

「こいつを引き渡すのが合意の内容だっただろ」


俺はラルドを指さしレインに言う。


「ああ、そうだよな」

「しばらくはポルヴォーの奴らも手を出せない状況作ったのにこの男をただ返すのって面白味もないだろう?」

「まぁ、それは。今でもそいつを殺してやりたいとは思っているけど……もしかして、兄貴が言っていた死ぬよりもきついことを味あわせてやるのか?」

「察しがついたか?」


そう、これから血祭まつりが始めるんだ。

ラルドに恨みのある奴も俺に期待を込める眼差しを向ける。

主に少年少女が多いけどな。


「貴様、私に何かすれば約束を違えたことになるんだぞ!」

「何言っているんだお前は?俺はお前の妹に生かして返すと言ったが、傷物にしないとは一言も言っていないだろう?」

「なっ!」


ラルドは驚愕する。


「お前に行うことはすでに決めてある。レイン、大きなはさみとかってあるか?」

「はさみ?あるけど、何に使うんだ?」


レインに頼んではさみを持ってきてもらう。

先手ばさみほど大きくないが、あれをするにはちょうどいいかな。


「何、こいつの玉をもいでやるだけだ」

「えっと、ごめん優斗君。今なんて言った?」


リアが途中で割り込んで俺に尋ねてくる。


「こいつを去勢してやるって言ったんだ」


俺はラルドを指さして、一度で伝わるようにする。

俺の言葉の意味が分かったのかリアたちは気まずそうに顔を背ける。

ラルドは顔を真っ青にすると叫ぶ。


「ふ、ふざけるな!何が去勢だ!」

「別に玉が取られたって死ぬわけじゃない。単純に男として死ぬだけだ」


ずいぶんとプライドが高い男だからな、そのプライドを粉々にしてやるにはちょうどいい。

それにレインたちにも死ぬよりもきつい痛みを負わせるって約束したしな。


「さて、時間も惜しい。さっさと済ませるか」

「ま、待て、やめろ!」

「レイン、こいつを縛り上げたままするのもいいんだが、下手に動かれてナニ以外も切り落としたら問題になるから抑えるのを手伝ってくれ」

「え、お、俺もするのか?」

「したくないのか?なら、他の奴に頼んでもいいけど。こいつが泣き叫ぶ姿が見れるぞ」

「わ、分かった。俺がやるよ!こんなの他の奴にやらせられねえよ」


レインは急に話を振られて困惑するが、慌てて志願する。


「お、俺を無視するな!こんなことしてただで済むと―」

「それはこっちのセリフだ。お前、自分が今までやってきたことを振り返ってよくそんなことを言えるな。本当なら殺してやるところを玉抜くだけで生かしてもらえるんだ。自分の立場を良く理解しろ」


ラルドの襟をつかんで引きずりながら、使われていない部屋を向かって歩き出す。


「た、頼む!許してくれ!他のことなら何でもする。足をなめろとか土下座しろって言うならなんでもするから!」

「そんなのつまらないだろう。フフッ」


思わず笑ってしまった。

竜人族たちに見たい奴らは付いてきて見ていてもいいぞと伝え、見たくない奴はこの部屋には近づくなと伝える。

ラルドは芋虫のように必死にもがいて逃げようとするが、両手両足が縛られているので逃げられない。


「去勢だけは嫌だああああああああああああ!」


最期に断末魔を上げると俺とユキ、そしてレインと見に来た数人と共に部屋の中へと入っていった。

その後、部屋の中で最後に大きな悲鳴を上げるとラルドは聖騎士から宦官へとジョブチェンジを果たした。

一仕事終えて戻ってくるとさすがに竜人族たちも俺に引いたのか帰ってきて死んだ目になったラルドに同情の視線を送っていた。


「見てはいけないものを見てしまった気がする」

「レイン君、分かっているとは思うけどいつもこんな感じじゃないからね」

「分かっているよ、ナタリアねえ


ナタリアたちは一連の行為を見てきたレインたちや数人のメンタルケアをしている。

後はラルドを約束通り適当な場所に捨ててきて、ポルヴォー王国の奴らに取りに行かせた。

普通に返したら、襲われる危険もあるしな。

その後、ポルヴォー王国から約束が違うと言われたがラルドに向かって言った言葉をそのまま返してやった。

そのうえでまだ文句があるならどっちかが死ぬまで戦うかと脅してやって黙らせた。





数日間、竜人族たちの家屋ややせてしまった土地をルルの妖精魔法や土の準精霊の力で耕して一区切りがついたところで俺たちも一旦帰ることにした。

渚はすでに幻人族たちのところに帰って、移住を決めた幻人族たちの面倒を見ているところだ。


「兄貴、どうして俺は付いて行っちゃ駄目なんだよ!」

「だから、言っただろ。まだ、ポルヴォーの奴らも攻め込んでくる機会を狙っている。今は金で雇った傭兵や幻人族、獣人族がいるからどうにかなっているがここで一番強いお前が俺のところに来たら一族を守れないだろ?」

「けど、俺は強くなりたいんだ!兄貴のところにいれば俺はもっと強くなれるのに…」


レインは悔しそうにうつむく。

頭では理解しているが感情が追い付いていないのだろう。

というか、お前はすでに十分強い。

たぶん、さしでやったら負けるというか殺されると思う。


「別に今は連れて行かないと言っているだけだ」

「それっていずれは俺を鍛えてくれるって言っているんだよな?」

「ああ」


何度も言おう、レインは十分強い。

これだけの強さを持つ奴が仲間にいればそれだけで戦闘を有利に進められる。

魔獣が急激に強くなったということを考慮すれば、いずれはレインの力もいる。


「それに龍神法はまだ完璧じゃないんだろ?なら、まずは完璧に会得して、それからお前に戦闘の経験を積ませてやる」


あの時レインが使っていた龍神法はまだ会得途中というらしい。

龍神法には5つの奥義があるが、レインは4つまでしか会得できていないと言うことだ。

まぁ、普通は4つも会得できないらしいがレインは天才ということでもう少しですべて使えるようになるということだそうだ。

いいな、天才って。俺なんか人間の魔法も使えないし、剣だってまとも使えないのに。


「分かったよ。俺頑張るから次来た時は俺も連れて行ってくれよ!」

「ああ、分かった」


レインとも別れの挨拶を済ませ、他の竜人族たちとも挨拶を済ませる。


「クリハラ殿、この度は本当にありがとうございました。あなたがいなければ、今頃私たちは死んでいたでしょう」

「別に気にするな」


アルベルトとも挨拶をする。

本当は竜人族がどういう状況なのか知ってシルヴィアに伝えるだけの仕事だったのに面倒なことに巻き込まれたものだな。


「クリハラ殿たちはこれからどうするのですか?」

「特にこれと言って考えてはいないが」

「なら、これを持っていってください。きっと役に立つます」


アルベルトから龍の鱗のような判子が押された何かの証紙っぽいものを受け取る。


「これは?」

「竜人族にとって最重要関係者であることを証明する証紙です。これがあれば人族嫌いの獣人族の地域でも無下には扱われないはずです」

「俺が獣人族の地域に行きたがっているの知っていたのか?」

「リア殿から聞きましたから」


全く、リアには感謝の言葉しか思い浮かばない。

リリもユキもベリルも俺にとって大切だけど、リアだけ誰よりも愛おしいと思えてしまう。


「ありがとう。ぜひ使わせてもらう」

「感謝をするのはこちらの方ですよ。今はこんなものしか返せませんが、いつか必ずこの恩を返します」

「別に返さんでもいい」


アルベルトとも最後に別れを告げる。

するとユキとルルがやって来る。


「ますたーもういく?」

「ああ、もう別れは済んだか?」

「うん」

「わ、私も大丈夫です」


ユキもルルも竜人族の子供たちと仲良くなれて良かった。

ユキにはもっといろんな人と関われるようになって欲しいしな。


「リア、リリ、ベリル、もう行くぞ!」

「分かったよ」

「分かりました」

「はい、今行きます」


リアたちも俺のところに来る。

転移石を使おうとしたところで龍神が俺の前までやってきた。


「本当に我ら全員を救うとはな」

「最初からそうするって言っていただろ」

「お主には感謝しかない」


龍神はそう言うと拳を俺の前に突き出した。


「拳を合わせろ」

「なんで?」

「いいからしろ」


言われるままに右の拳を龍神と突き合わせる。

その直後、手のひらに焼けるような痛みが走った。



精霊の契約者になりました。

精霊の加護を取得しました。

精霊魔法・疾風魔法を使用可能



頭の中で音声が流れる。


「おい、ちょっと待て!なにいきなり契約者にすんだよ」

「ちょっとした礼だ。これで少しは冒険もしやすくなるだろう」


まぁ、あって困るものじゃないけどさぁ~

チラッとユキとベリルを確認するとユキは何が起きたのか分かっていないらしくキョトンと首をかしげ、ベリルは微笑んでくれているけど、龍神に対して殺気を向けているのは気のせいだと思う。


「我の契約者になった者はかつての7人目の勇者だけだ。存分に誇るがいい。そして今後は貴様のことはあるじと呼ばせてもらう」


って言われても存在していたかも分からない奴と比較されてもな。

しかも主って呼ぶのはいいけど、どう見ても上から目線な感じがするんだよな。

まぁ、確かに龍神って言われるだけあるから偉いのかもしれないけどさ。


「けどいいのか?俺と契約すると力が下がるんだろ?勇者に復讐できないだろ」

「それに関しては問題ない。あるじはすでに2人の精霊と契約している。仮に契約したとしても力の低下はあってないようなものだ」

「そうか。ならありがたく受け取らせてもらう」


俺はため息をつくととりあえず礼を言う。

改めて転移石を使う。

転移する直前


「主にこの世界の未来を託そう」


龍神にそう言われた気がした。

竜人族編終了です。

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