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合流

「なぁ、あの竜巻大丈夫か?アイツ死んでんじゃね?」

「大丈夫だぜ兄貴。もうしばらくしたら、消えるから」


レインのその言葉の通り竜巻は消えると中から血まみれのラルドが出てきた。


「き、貴様、よくも俺の顔に傷をつけてくれたな」


ラルドの顔には無数の傷が付き、戦う前の美形とはいえなくなってしまった。

しかし、こいつ自分の顔に自信がある奴か。

良いこと思いついたぜ。


「兄貴、なんでそんなに嬉しそうなんだ?」

「いずれ分かる。それよりもさっさとこいつ持って行くぞ」

「ああ」


竜巻に巻き込まれたせいか四肢の骨は折れてしまって動けなくなっているラルドを縛り上げる(当然、持ち物はすべて奪う)。


「貴様ら、俺にこんなことをすればどうなるか分かっているのか!」

「どうなるんだよ」


とりあえずルルの妖精魔法で止血だけしておくと、全裸になったラルドが俺達に向かって声を張り上げる。

骨折られているのによくこんな元気でんな。


「俺はマナカと恋人同士だ。こんなことをすればマナカが黙っているわけがない」

「ああ、そんなことか」


何を言うのかと思えば下らない。


「そんなことだと!?勇者だぞ、お前らなんかすぐに殺してやるぞ」

「残念だが、すでにお前らの国には連絡が言っているから問題ない。姫川は俺らに手を出せないし、お前はこれから地獄を味わいに行くんだから少し黙ってろ」


蹴りをラルドの顔面に叩き込むとラルドは気絶してしまった。

姫川対策には渚がいるし、勇者同士の争いで国力が減るのは避けたいだろう。


「レイン、これからこいつを竜人族の元へ連れて行くが、一つだけ守ってくれ」

「なんだ?」

「こいつは絶対に殺さないでくれ」

「どうして!?」


レインは俺に詰め寄った。

無理もないよな、親の敵だけど殺すななんて。


「レイン、こいつは曲がりなりにも勇者との関係が深い人物だ。こいつをもし殺してしまったら確実に勇者を敵に回す。」

「でも―」

「それにだ。こいつが生きていればポルヴォー王国の奴らは何としてでもこいつを連れ戻したいと考える。そうなれば、奴らに対して交渉が有利に進められる。お前らの土地を円滑に取り戻すこともできる」

「確かにそうかもしれないけど……」

「レイン、こいつには絶対に消えないくらいの屈辱と痛みを与えてやる。だから頼む!」


俺はラルドを指で指した後、レインに頭を下げた。


「分かったよ。兄貴がそこまでするなら、俺も我慢できねえけど我慢する。その代わり、こいつを痛めつけてくれよ」

「任せろ。帰ったらお前に見せてやる」


さぞかし、良いもの見せてやる。

ユキは俺のやろうとしていることが何なのかものすごく興味深々な様子で尋ねてくる。

ルルは少し怯えているようだったが、気にしない。

あの男には死よりもむごい仕打ちをしてやると決めているから誰に止められようと止まりはしない。





合流地点と約束していた場所に向かうとすでにリアたちがいた。


「お~い、優斗く~ん」


リアが俺達に気づいて声をかける。

リアの声を聞くと自然と心が休まるのは気のせいじゃないだろう。

リリやベリルでもそうなるが、リアだけは少し違う。

リリたちには決して見せたくない弱音もリアなら受け止めてくれる、そんな気がしてならなくなる。


「今帰った」

「お帰り、優斗君」

「優斗さんおかえりなさい」

「ご主人様、おかえりなさい。私にしますか?それとも私の体にしますか?」

「じゃあ、ベリルで!」

「「優斗君さん!!」」


ベリルの冗談?に付き合っただけなのにつれないな。

それにベリル、その二つの選択肢たいして違いないだろ。

とりあえずお互いに報告を行う。

途中で渚のクモ型魔物がやって来て、進行方向に敵がいないことも確認し意図的に逃がした兵士たちも国に急いで報告しているということだった。


「クリハラ、貴様の後ろで風の準精霊に運ばれているその男は誰だ?」

「こいつは手土産だ」


龍神が報告し終えたところで俺に声をかけてきた。

竜人たちの方にも屈強な冒険者や騎士たちが襲い掛かってきたようだが、復活した龍神やレインと同じように龍神法で戦う竜人族たちには手も足も出なかったということだった。

俺はラルドの正体とここに連れてきた理由を説明する。


「というわけで、こいつを殴りたい奴は並べ!順番に殴らせてやる。特に顔を中心にいけよ」

「そんなことを我らがすると思っているのか!?」


龍神は声を荒げてそう言うが、竜人族の少年たちや少女たちは我先にと並ぶ。

さすがに大人の竜人族は並ばなかったが。


「親をこいつに殺された奴が多いってレインから聞いたんだ。少しくらいやらせてやれ」

「う~む、分かった」


渋々といった感じで龍神は納得して黙る。

俺も並んで殴る。

ラルドが途中で目を覚まして


「き、きはまら、よふもやっへくれはな。からなふ、ころひてやふ。(き、貴様ら、よくもやってくれたな。必ず殺してやる)」


とうるさく騒ぎ続けるが全員(レインを含む主に少年少女たち)で殴り続ける。

死にそうになる前にリリに頼んで軽く回復魔法をかけて続きをする。

リリはすっごく嫌そうだったけど、頼み込んで何とかしてもらった。

当然、ユキも参加して精霊魔法で一役買ってもらったしな。

一通り、殴り終わったところで俺は竜人族たちを集める。


「さて、ここからのことをレインには少し話したが皆にも聞いてもらう」


俺はレインに話したことを伝える。

具体的にはラルドを人質にポルヴォー王国の連中を引上げさせ、土地を奪い返すこと。

それには奴を生きていてもらわないといけないことを伝えた。


「お前、さきほどまでしていた自分の行為を考えてから言え。あのままやっていれば十中八九あの王子は死んでいたぞ」


龍神が話の途中で突っ込んでくるが無視する。

親を殺されたという竜人族の子供たちは嫌そうな顔をしたが、レインが説得してくれた。

俺が死ぬよりも苦しい地獄をあいつに味あわせると言うことで納得してくれた。

ユキを除くリアたちは俺を見ては複雑な表情をしている。

リアからは何となくもう少し穏便にとお願いされているような気がした。


「心配していたけど、もう大丈夫そうだな」


聞いたことのある声が聞こえ、顔を向けるとそこには渚がいた。


「助かった。お前がいなかったら今頃は色々と終わっていた」

「クリハラさん。この方は?」

「鞭の勇者、大野渚だ。勇者の中では今のところまともな方だ」


アルベルトの質問に答えながら、渚が俺に近づいてくる。

後ろからテレーゼが現れたかと思うと俺に変なことをしたら殺すからなと口パクで伝えてくる。

テレーゼはあれだ、百合願望があるのかもしれない。

いや、きっとそうだろ。


「敵は大丈夫なのか?」

「オレの魔物が辺りにいるからもう問題ないぜ」

「そうか。なら、渚少し頼みたいことがある」

「まだ、あんのかよ」

「後少しで終わる。お前の蜘蛛の魔物を使って思念電話をしたい」


渚はやれやれと肩をすくめると蜘蛛の魔物を出してくれる。


「貸してやるんだから後でとびっきりうまいお菓子作れよ」


背に腹は代えられないか。


「くっ、わ、かっ、た。作って、やる、よ」

「優斗君、何もそんな悔しそうな顔しなくても」


リアは全く分かっていない。

俺はリアたちのために菓子を作ることになら全力をかけられるが、そうでもない相手のためにうまい菓子なんて作れる気がしない。


「兄貴、お菓子作れるのか?」


レインたちも食いついてくるし。

仕方ない、頑張ったレインたちのために作ると思って作るか。

そうすれば少しはマシなのが作れるだろう。


「で、誰と思念電話したいんだ?」

「それはな―」


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