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竜人族離脱戦①

「用意は良いか?」

「問題ない」


龍神の言葉に同意する。

これから龍神の精霊魔法で囲まれている駐屯地の一部に攻撃を仕掛ける。

まぁ、俺もユキと一緒に精霊魔法で派手にやらかしはするが。


「では始める。『豪風』」

「『我、大地の精霊と契約する裁定者が願う。我を拒むあらゆるものを打ち砕き、我を導き給え。我が成すその力を示せ』『雷鳴』」

「『かみなり』」


龍神の手から大きなサイクロンが現れたかと思うと駐屯地を襲う。

俺の雷鳴とユキの精霊魔法も駐屯地の人間たちを襲う。

ユキのはエグイな。

遠目で見ても雷で人が丸焦げになっている。

ここからだと悲鳴とかは聞こえないが明らかに大損害を受けていることだけは分かるな。

俺たちは辺りを警戒しながら降りて行くと騎士たちと冒険者たちと再会した。


「貴様ら、あの時の!しかも竜人族たちまで連れているとは。とんだ悪魔がいる!」

「お前らに用はない。消えろ『我、水の準精霊と契約する裁定者が願う。エレメント・アクアショット』」


騎士たちや冒険者たちの頭を精霊魔法で打ち抜いていく。

人を殺すことに抵抗があるかと思ったがそんなになかった。

ここに来た時の俺なら絶対にできないはずだ。

どうしてだろ?


因みにリアたちは誘導をしてもらっている。

だから今ここにいるのはユキと俺、龍神だけだ

龍神が管理建屋のような場所を指して俺に指示をする。


「分かった。ユキ、いくぞ!」

「うん」


意識を集中していく。


「『我、大地の精霊と契約する裁定者が願う。我を拒むあらゆるものを打ち砕き、我を導き給え。我が成すその力を示せ』『雷鳴』」

「『かみなり』」


俺たちの攻撃により一瞬で管理建屋が崩壊する。


「す、すげぇ」

「レイン、見ている暇があったら子供や老人を誘導しろ」

「分かった」


俺らはその間目に付く兵士や冒険者たちを精霊魔法で襲っていく。


「優斗君、全員下山できたよ」

「ありがとうリア。作戦通り頼む」

「分かったよ」

「では、我らも作戦通り行く」


リアたちと龍神も作戦通り動き始める。


「レインは本当に連れて行かなくていいのか?」

「問題ない。レインは竜人族の中では最も龍神法に精通している者だ」

「ああ、任せてくれ」


俺の質問に龍神が答えるとレインは胸を叩く。

龍神法とは龍神の力をその身にまといながら戦う武術のことだそうだ。

俺が基本的に接近戦を得意としていないということでレインが俺のバックアップをすることになった。


作戦は四方を今ある戦力で囲みながらまとまって移動していく手を取った。

始めは転移石を使って逃げようと思ったが、一度に転移できる人数も6人だからそれよりは集団移動の方が得策である。

集団で動いていくので時間はかかるが一列にならない代わりに戦力の乏しい竜人族たちで両側を守れる。


リア、リリ、ベリルと竜人族の中で老兵や女兵たちで右側を、男の兵たちと龍神で左側を守り、俺とユキ、ルル、レインが後ろで暴れまわる。

俺たちが最初に襲撃したこの駐屯地は幻人族たちの方向に行くには必ず通る場所であり、ここを防げば後ろから攻められることはない。


後は距離がある程度進んでいくごとに俺たちも後退していけば十分だ。

前方にはいずれ騎士たちが待ち構えるだろうが、待ち構えたところを渚に襲撃してもらえるようにしてある。

空を飛ぶ魔物で監視をしてくれているから問題はないそうだ。


「分かった。レイン頼むぞ」

「ああ」

「では、ここで暴れまわるぞ」

「優斗君、くれぐれも無茶しないでね」

「安心しろ。そうなる前に逃げるから」


リアに言葉をかけると見送りある程度見えなくなったところで前を向く。

すでに先ほどの攻撃からだいぶ持ち直し始めている。


「貴様ら!こんなことをしてただで済むと思っているのか!」

「お前たちこそ、自分たちの現状を少しは理解した方が良いぞ」


俺はそのまま中央にいる馬に乗った騎士の一人をアクアショットで打ち抜く。

なんどアクアショットで頭を打ちぬいても不思議と人を殺したという感覚がしない。

多少何かを想うところはあるからどうなんだ?

少し考えながらアクアショットを打っていくとふとあることに気づいた。

魔物を相手にしているときの感覚と同じなんだ。


「兄貴、なに笑っているんだ?」

「いや、ちょっとな。人も魔物も結局変わりはしないんだなと思えてな。結局、経験値があるかないか、そんな些細な違いしかないんだよ」

「?」


レインは首をかしげる。

俺の心の中には生き残るために、生きていくために魔物を殺すのは仕方ないという気持ちがあった。

そしてそれは今でも変わりはしない。

だからこそ、今目の前にいる奴ら殺さなければ生き残れないのなら俺は殺す。

そう考えると目の前にいる騎士たちや冒険者が魔物たちに見えてきて何となくおかしく思えてきた。


「なに、気にするな。あいつらはお前にとっては魔物と同じような存在なんだろうなと思っただけだ」

「確かに。言われてみればそうかもしれねぇ」


レインは妙に納得したような顔をする。

レインたちにとってあいつらは自分たちをいきなり襲ってきた魔物と大差ないだろう。


「レイン、手加減はするなよ。確実に一人一人殺していけ。下手に容赦をかけるようならきっとまたやる」

「え、でも―」

「本当に見逃すべき相手とそうでない相手はきっちりと見分けろ。こいつら一人でも俺たちの後ろを行けばその分多くの人が死ぬ。自分の手が汚れることが嫌ならここからさっさと出て行け」


俺の言葉に躊躇するレインに向かって言う。

これは生き死にの問題だ。

ここでアイツらを殺さなければ竜人族たちは襲われてしまう。

それにあいつらはさっきから俺たちを殺す気で向かってくる。

俺らが殺す気でいかなければ絶対に負ける。


「すまねえ兄貴。うん、大丈夫。大丈夫だ。俺はやれる。親父の敵を取るんだ」


レインは自分にそう言い聞かせると前を向いて敵を見据える。


「なら、いくぞ!ユキは時間稼ぎを、ルルは妖精魔法で俺たちのバックアップを頼む。レインは俺が打った後にそのまま突っ込んで片っ端から打ち取れ」

「わかった!」

「は、はい!」

「ああ!」


俺は精霊魔法の構築を始める。


「全員で奴らを打ち取れ。特にあの冒険者たちは決して逃がすな」


一人の騎士の声で冒険者たちが走ってくる。

人数は100人以上いるな。

上等だ。

自分たちが殺してきた人たちの分まで苦しめ!


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