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捕縛

「ここにあった物は皆お前たちが使っていたものなのか?」


騎士の奴らを無視して俺は竜人族のガキに尋ねる。


「そうだ。ここにあった物は皆俺たちの物だった。それなのにあいつらのせいで」


ガキは悔し涙を浮かべながら俺に答える。


「ごめんな。俺たちはそうとは知らず、お前たちの物勝手に食べていた。謝っても仕方ないのは分かっているが謝らせてほしい。そして、お前らをここから逃がしたい。安全な場所はあるか?」

「そ、それは……」


ガキは言いよどむ。


「お前が仲間のところに俺たちを案内したくないのは分かる。俺たちはまだ会って一時間も経っていないし、信用できないのも分かる。けど、今あそこで倒れている女の子を救うにはお前の力が必要なんだ。頼む」

「分かった。少なくともあの時のお前がアイツらに向かって言ってくれたことは本心だと思って案内する」


結構聞き分けの言いガキだな。

さぞかし立派な両親が育てたに違いない。


「リア、ここから逃げるうえであいつらを常に感知してもらう。準備をしていてくれ」

「うん、分かった。さすがの私も少し怒ってる」

「リリはそのまま治療を続けてくれ。風の準精霊に頼んでそのまま二人は治療を続けながらここから逃げる」

「はい」

「ユキとベリルは俺の精霊魔法と一緒に最大出力で精霊魔法をあいつらに向けて放て」

「わかったー」

「いいのですか?最悪死にますが」

「あんな奴ら死んだって構わない。ルルは落ちないように気を付けろ」

「分かりました」

「いくぞ」


俺の掛け声とともに俺は頭の中で詠唱を組み立てる。


「『我、大地の精霊と契約する裁定者が願う。我を拒むあらゆるものを打ち砕き、我を導き給え。我が成すその力を示せ』『雷鳴』」

「『らいえん』」

「『水撃』」


ユキの手からは円形状に白い雷の刃が放たれ、ベリルの手からも四方に高圧の水鉄砲が周りにいる男どもを襲う。


「「「「「「「「「ぐああああああああああああああ!」」」」」」」」」


大きな爆炎によって土煙があがる。

俺たちはすぐに駆けだすとこの場から逃げていく。


「待て!貴様ら」


何人かの騎士たちは俺達を追ってきたが俺とリア、ユキ、ベリルの前では無力であった。

俺たちはガキに案内されるまま門番が指した山の方へと逃げて行った。


「もうここまで来れば大丈夫だろ。リア、追っ手はいるか?」

「ううん。もう来ていないみたい」


俺たちは腰を下ろして休む。

俺の魔力も妖精魔法のおかげでMPが大きく増えたがさすがにもうそろそろで魔力がつきそうだった。


「すげー、あんな魔法が使えるなんて。オヤジが使っていた魔法みたいだった」

「そうか」


ガキもだいぶ興奮していたがさすがに走りっぱなしで疲れたようだった。


「ユキもベリルもありがとうな」

「だいじょうぶだよ」

「いえ、ご主人様のためなら私は何だってできます」

「リリ、治療はどうだ?」

「もう大丈夫です。後は目を覚ますのを待つだけです」

「良かったな」


俺はガキの肩に手を置く。


「ああ、ありがとう。マリラを助けてくれて」

「お前、確かレインと言ったか」

「ああ、レイン・バースだ」

「俺は栗原優斗だ。よろしくな」

「ナタリア・バインズだよ」

「リリアナ・バインズです」

「ユキ」

「ベリルと言います」


リアたちも自己紹介を終える。


「レイン、あとどれくらいで着きそうだ?」

「ああ、それなら―」

「そこを動くな。人間!」


レインが言おうとしたところで誰かに遮られる。


「ごめん優斗君。安心して感知魔法をやめてて気づくのが遅れちゃった」


リアの言葉で辺りを見渡すと大人の竜人族に囲まれていた。


「レストの報告で来てみれば、やはりレインを脅してここまでやってきたようだな」


一人の竜人族の男が俺たちを睨みつける。


「おじさん、違うんだ。こいつらは俺やマリラを助けてくれただけなんだ」

「レイン、人族はすでに我らの敵。その者たちはお前を助けるフリをしてここまで案内させる気だったに違いない。そして我らを殺すためにここに来たのだ」


黙って聞いていたらこれあれだ、人の話を聞かないパターンだ。

面倒くさいな。

いつもなら黙らせてサクッと話を進めるところなんだけど下手に手を出すと幻人族の時と同じ二の前になりそうだ


「私たちは他所から竜人族の地域について調べてくるように他のギルドからの命でここに来ました。もしよろしかったらお話を聞かせていただけませんか?」


とりあえず下手に出て話だけでもしてもらおう。

なんかリアやリリ、ベリルがありえないものを見ているような顔を向ける。

俺だっていつもケンカ腰ではない。

こういうことだって大切なことくらい知っているさ。

竜人族の奴らも俺の対応にどういう反応をすればいいか困っているようだ。

これならあと一押しで行けるか。


「もし、私たちのことが信用できないというのであれば武器や杖を預かっていただいて結構です。どうか話だけでも聞かせていただけませんか」


精霊魔法に杖は必要ないから逃げようと思えばいつでもいけるが、話だけでもしないといけない。

それに俺たちが精霊魔法を使っているところ見ていたのはレインだけだ。

レインが言いさえしなければバレはしないだろう。

レインにアイコンタクトを送るとレインも小さく頷く。

よく分かっているじゃないか。


「分かった。お前らことは信用したとは言えないが話だけでもしよう。我らの現状が伝われば、かの国での行動も少しは収まるかもしれない」


俺達は武器を渡すとそのまま竜人族の場所へと連行されていった。











「なんだって!それは本当か?」

「どうしましたの、お兄様?」


お兄様とお茶をしていると従者がお兄様の耳に何か話すとお兄様はいきなり立ち上がった。


「竜人族残党がいる近くの駐屯地で竜人族に加担した冒険者の攻撃を受けて部隊が半壊したらしい」

「どうして冒険者が。きちんと選別はしていたのに」

「たぶん先日現れた魔獣の襲撃で幻人族地域との国境の管理が甘くなっていたのだろう」

「それでは」

「このままでは諸外国に話が漏れる可能性もある。今のうちにその冒険者ともども始末しないと厄介なことになる」

「では、早急に軍の準備をします。マナカさんはどうしますか?」

「あいつはまだ国内の魔獣退治に出たばかりだ。なに、冒険者は報告によれば女子供の多いパーティーということだからな、俺が行くだけで十分だ」

「分かりました。心配はあまりしていませんが、十分注意してくださいね」

「分かっている。では、残りの虫と首を突っ込んできたネズミ狩りに行ってくる」

「ええ、行ってらっしゃませお兄様」


私はそのままお兄様を見送った。

私も軍の準備をしなければ。


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