魔物?
ギルド内での会話
「すごかった」
「そ、そうだね」
私と所長は二人で椅子に座りながら先ほどのユウトさんのことを思い出した。
抱きしめられたり頭を撫でられたりキスされたりとエ、エッチなことまではさすがにしなかったけど非常に情熱的でありながら優しい手つきで思わず体をゆだねてそのまま甘えていた。
私にも何度もキス(何度かディープキスだったが)をしてくれて本当に恋人になったんだと再確認でき、愛されていると感じられ嬉しかった。
ただ、情熱的過ぎて所長なんか顔を真っ赤にして恥ずかしがったのが、余計にユウトさんを興奮させたのか落ち着くまでが色々大変だった。
「ぼ、僕の痴態は見なかったことにしてくれ」
「さすがに無理ですけど、所長って意外とウブなんですね」
あの時の所長は可愛かった。
ユウトさんにもっとーと言いながらキスを求めているのは赤子みたいで可愛かった。
「し、仕方ないだろう。ぼ、僕だってキスしたのは初めてだし、あんなふうに愛されて嬉しかったんだから」
「ふふふ。でも、よく所長のお父さんはハーレムに入ったこと許してくれましたね。所長のお父さん、冒険者のことをそこまでよく思っていないのに」
所長のお父さんはギルド全体の理事会の役員ではあるが、役員だからこそ冒険者のことを良く知っており冒険者の嫌な部分を良く知っている。
特に所長のお父さんは所長のことを溺愛している。
そんな可愛い愛娘がこの前会ったばかりの冒険者に熱を入れているだけでなく、その冒険者がハーレムを作って他の女性のことも愛し合っているなど知っていれば到底許すはずはないと思っていたけれど。
「お父さん、ユウトの準精霊にいつ弱みを握られるか酷く警戒していてね。ユウトのことを認めたくはないけどここで歯向かうより抱きかかえて自分の派閥に入れておくことを優先したらしいよ。僕がユウトのハーレムに入るって伝えてもなかなか納得はしてくれなかったけど最後は僕が脅して許可してもらったよ」
「脅すって何を言ったんですか?」
「お父さんがユウトに危害を加えようとしているんだ。僕は止めたんだけど結局ダメで。僕はユウトを愛しているのに僕からユウトを奪おうとお父さんがユウトを殺し屋に頼んだんだって言っただけさ。ユウトもなんだかんだ言って僕のことも大切してくれているからきっとやってくれるよ」
「なんて酷いことを」
所長のお父さんが不憫でなりません。
娘は取られ、弱みを握られないように怯えながら生活しているなんて。
「フェルミナ、僕のことはいい加減所長って呼ぶのはやめないかい?僕らはライバルなんだからあくまで勝負はフェアでいきたいんだ」
「分かりました。しょ、じゃなくてシルヴィア。でも、シルヴィアには負けませんからね」
「望むところさ。僕だってハーレムに入ったからには彼の一番になるつもりだよ」
今ここで私たちは上司部下である前に恋のライバルと同時に友達になりました。
「でも、ユウトさんに幻人族の地域の近隣で見つかった裸のパーティーのこと聞かなくてよかったんですか?」
「まぁ、聞かなくてもたぶんユウトがやったっていうのは何となく分かるし、いいじゃないかい?」
「やっぱりそう思いますか?」
「十中八九そうだろうね」
相変わらずユウトさんは容赦がないことも再確認できました。
朝早く起きると、転移石でこの前の歩いた場所に戻ってから人のいるところをとにかく目指して歩き続け、途中で沼を通りすぎてさらに歩き続けたところ人族の者を見かけるようになった。
「もしかして、竜人族の地域を通り過ぎて人族の地域に入ってしまったのか?」
「そんなことはないはずです。幻人族の地域は歩いても一週間はかかる道程です。1日歩き続けたくらいで人族地域に戻るほど範囲が狭かったとは聞きません」
リリの答えの通り、すれ違う人族の者は鎧や防具を身に着けた冒険者のような者たちが多かった。
「でも、ここに冒険者の人がいるなら近くに村があるってことだよね?」
「そうだな」
リアの言う通り近くに人が住んでいる場所がなければ冒険者がこんなにいることはない。
そのまま歩き続けるとやはり村っぽいのがあった。
「おかしくないか。どうしてあの村の門番が人族なんだ?それに何となくだが騎士のような服装をしているが」
「そうだね」
「少しおかしいですが、たぶん雇われ冒険者だと思います」
リリがそう言うならそうなのかもしれない。
俺たちは近づくと門番らしき人物に話しかけた。
「俺たちは冒険者としてここに来たんだが―」
「冒険者の方ですか。収穫はありましたか?」
「収穫?」
俺が怪訝そうな顔を見て何かを察したのか門番の男は勝手に納得しながら話し始めた。
「新しくここに来た冒険者の方ですか?」
「そうだが」
「分かりました。では、お通り下さい。通るだけなら身元の確認はしませんが、クエスト受けるなら審査がありますので勝手に狩らないようにお願いします。もし審査に合格してもここはもう狩りつくしてしまいましたから行くならあの山がおすすめですよ。まだ、結構な数が残っているらしいですから」
「狩るって何を?魔物か何かか?」
「それは審査に合格してギルドへ行けば分かりますよ。今日はもう遅いですからこの村の簡易宿泊施設を利用するのをお勧めします」
確かに今日も一日中歩いていたのでもう日が傾いている。
俺はふと門番が指した山を眺める。
大きな山だが、そこから何となくだが精霊の気配を感じた。
たぶん多くの精霊が住んでいるのだろう。
「分かった。助言感謝するが、一旦ここを転移石で記録して戻ろうと思う」
「申し訳ありませんが、ここは転移石が使えないのです」
「どうしてだ?」
「あの山にいる龍がここら辺一体に転送のジャミングをしているそうです」
それじゃあ、また墓参りに行けないじゃないか。
でも、転移石が使えないなら仕方ないか。
南無阿弥陀仏、恨まないでくれ。
恨むならその龍とやらにしてくれ。
「なら、簡易宿泊施設を使わせてもらう。リアたちも今日は疲れただろう。早めに宿に行って休息をとろう」
「分かった」
「分かりました」
「はーい」
「了解しました」
全員に確認も取ったので宿に向かった。
宿について部屋を借りた。
本当は安上がりなので2人部屋と3人部屋を借りるつもりだったが、俺がどの部屋に入るかでもめたので仕方なく1つのパーティー用の部屋を借りた。
「も、もう出ても良いですか?」
「ああ、大丈夫だ」
ルルが懐から出てくる。
ルルは人がいるところでは俺の懐に入っているようにしてもらっている。
人に見つかればもの欲しさにユキのような目に合わないとも限らないしな。
「とりあえず食事を取ってから休むか」
「そうだね」
「賛成です」
「私も良いと思います」
「わかったー。ますたー、しょくごのおかしあるー?」
「あるにはあるが、ユキお前歩いているときずっとギルドカードに入っていた菓子ばっか食っていただろ。まだ、食うのか」
「だっておいしいんだもん」
これだとさらに菓子の作り置きが必要かもしれないな。
リアたちも食事を取ることに賛成したので、飲食店に向かった。
ルルには一回出てもらったがもう一度懐に入ってもらった。
自分だけ一緒に食事がとれないことが不満ならしく渋々という形で入ってもらった。
後でルルに美味しい菓子でも作るか。
近くの飲食店に入って全員料理を注文する。
大雑把な料理が並んだが、昼時に食べた保存食よりはマシだった。
「俺は今日3匹狩ったぜ」
「くそー、俺は1匹しか狩れなかったよ」
周りで冒険者らしき者たちが今日の成果を自慢しながら騒いでいる。
「何かいい魔物でもいるんだろうな」
「そうだね」
俺たちは会話をしながら出てきた料理を食べた。
隙を見てルルにも食事を与え、食べ終わると宿に戻りシャワーを浴びて寝た。
大都市には風呂もあるが、この簡易種白施設にはシャワーしかなかった。
リアやリリはお風呂がないとかありえないとか言っていたがシャワーを浴びて出てきた彼女たちも色っぽくって可愛かった。
なので、普段通り抱きしめたりキスをしたりと存分に可愛がった。
もちろんベリルも可愛がったが、リアたちに行っている途中でユキやルルに見つかり私にもやってとせがまれ落ち着かせるのに苦労した。
ユキは幼女だし、ルルは可愛いけどピクシーだから無理だろ。
その後、俺はベッドに寝転ぶとそのまま意識を沈めていった。




