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雷激

「みんなー、頑張ってー」

「くそー、来るなー」


ピクシーの住処に近づくと魔獣相手に妖精魔法で善戦していた。

幻覚を使って攻撃をわざと外させたり、火や水の魔法で戦っていた。

その中にはルルもいた。

けれど、魔獣の力に押し切られそうだ。


「『我、水の準精霊と契約する裁定者が願う。エレメント・アクアウォール』」


走りながら、詠唱を行う。

これ以上アビーのような犠牲を出してなるものか

魔獣2匹を囲むように水の壁ができる。

ユニコーンとワイバーンみたいな魔獣だ。


「な、なに」

「なにが起こったの!?」


ピクシーたちは突然のことでまだ対応ができていないようだがその前に


「リアとベリルはユニコーンを、俺とユキはワイバーンを相手をする。リリはピクシーたちの治療と状況判断をしながら俺達の回復を頼む」

「分かった」

「分かりました」

「はい」


指示を出しながらユキに尋ねる


「ユキ、俺が陽動をかける。お前はありったけの力であいつに精霊魔法を放て。俺も精霊魔法で攻撃するから俺の動きに合わせろ」

「わかったー」


まずは動きを止める


「『我、土の準精霊と契約する裁定者が願う。エレメント・リストリクション』」


ワイバーンの足元が大きくうねると地面の土がワイバーンを捕まえようとする。

ワイバーンはそれを避けるために空を飛ぼうとする。

逃がすか


「『我、水の準精霊と契約する裁定者が願う。エレメント・アクアショット』」


ワイバーンの翼に向けて水の弾丸を放つ

ワイバーンの翼に大きな穴がいくつも空く

ワイバーンは急に飛べなくなりそのまま落ちると土に捕まる。


「ユキ、いくぞ!」

「うん」

「『我、雷の準精霊と契約する裁定者が願う。エレメント・サンダー』」

「『らいしょう』」


俺とユキの精霊魔法がワイバーンを襲う


嘘だろ。

無傷とかないだろ。


ちらりとリアとベリルを見ると


「チェティーリ・サンダー」

「『水枷』」


ユニコーンの足をベリルが止める。

けれど、リアの雷魔法がユニコーンの角に吸い取られて何事もなかったかのようにいる。

どうやらベリルの魔法は吸収できないみたいだが。

ワイバーンは固い皮膚にユニコーンは魔法の吸収か


「リア相手を逆にする。ユニコーンには精霊魔法しか効かないようだ」

「うん、分かった」


リアたちと敵を交代するが俺のMPも残り少ない。


「チェティーリ・マインドヒール」


リリを見るとこちらの意図が分かったのか回復魔法をかけてくれる。

ユニコーンはベリルの水の足かせのおかげでまだ動けない今がチャンスか

するとワイバーンは口を大きく開ける。

それに合わせてユニコーンも顔の前に大きな魔法陣を展開する。

これはまずいかもしれない。

あれだけの攻撃を受けて無傷と言うことは確実にこいつらは俺達よりも強い。

俺はすぐに意識を集中させると祝詞の構築に入る。


「『我、海の精霊と契約する裁定者が願う。我が守りしあらゆるものへの災いを防ぎ、我を導き給え。我が成すその力を示せ』」


ワイバーンは炎を噴き、ユニコーンは白い光線を放ってくる。


「『氷水壁』」


ぎりぎり間に合った。

俺のすべてのMPを使い切ったがその前に分厚い氷の壁と水の壁が二重になってできる。

二つの攻撃が被弾するとまぶしい光と轟音を立てて壁が崩れ落ちた。


「リリ、回復を頼む。それとMPはあとどれくらいだ?」

「たぶんこれが最後の回復になります。これ以上MPを消費すればたぶんピクシーたちが」


これじゃあ、渚が来るまでの時間稼ぎも難しいかもしれない。

ピクシーを救うにはリリの回復魔法が頼りだ。

だが、『雷鳴』とほぼ同レベルの『氷水壁』が一瞬で壊されるとなると『雷鳴』でも勝負がつかないかもしれない。

これでは最悪…『断罪』も考えなければならない。


「あの…、大丈夫ですか?」


ルルが近づき、俺に尋ねる。

魔獣たちは次弾を打つまでの溜めているのかそれともさっきの反動なのか動いてはいないがこちらに未だ敵意を向けている。


「正直、まずいな。俺の魔力で打てる最大出力の魔法をぶっ放したが一瞬で破壊された。お前たちのことも最悪守れないかもしれない。時間を稼ぐから逃げろ」

「でも…、そしたら栗原さんたちが危ないです」

「だが、最善の選択だ。渚が来るまで持ちこたえられるとも限らないしな」

「なら、私たちもお手伝いします」


ルルがはっきりとそう言うと周りのピクシーたちもそれに続く。


「この森は私たちが先祖代々お世話になったところです。そこを捨てて生き延びるのはピクシーの名折れです」

「だが、このままでは」

「栗原さんは精霊の契約者ですよね。なら、魔力さえあればもっと強い攻撃ができますか?」

「確かに、それならできるが」


魔力=MPだ。

MPさえあればなんとかなるかもしれん。

『雷光』の上の『雷激』に『氷河』もある。

あれなら、まだ魔獣を倒せる可能性があるが…


「私が栗原さんにピクシーの祝福をします。それなら、この森や土地から魔力を得ることができるのでMPの回復や増幅もあるはずです」

「ルル、いいの?せっかく妖精魔法を自在に使えるようになったのに」


他の妖精たちがルルの心配を始めた。


「リスクがあるならやめとけ」

「違うんです。妖精の祝福は一人にしか与えることができないんです。そしてピクシーは与えた人が死ぬまでついていなくちゃいけなくなるんです。それがピクシーが人に与える祝福なんです」

「お前、そんな大事なものを俺なんかに与えていいのか?」

「私は栗原さんなら私たちを救ってくれると信じているんです。他の妖精魔法が使えるピクシーはナギサさんにあげてしまったので使うことはできないのですが、私は昨日使えるようになったんです。たぶんこれは私が栗原さんに祝福をするという運命だったんだと思います」


いつものようにおどおどした言葉ではなく、はっきりと意志のようなものを感じた。


「そういうことなら、祝福を受ける。ただ、俺があの魔獣を倒せるかは分からないからな。ダメだった場合はすぐに逃げろよ」

「分かりました。私はあなたを信じています」


ルルが目をつぶり、空に向けて手をかざす。


「『私、森の眷属であるピクシーが汝を祝福し、ここに今汝の未来に幸多からんことを祈ります』」


ルルは俺に近づくと頬にキスをする。

頭の中に音声が流れる。


ピクシーの祝福をを受けました。

妖精魔法を取得しました。

MP×2


MP×2ってなんだ?

ギルドカードを取り出して見ると


栗原優斗

レベル72

HP 12000

MP 36000(18000×2)


かけるってMPを倍にするのかよ。

これは凄すぎる。

何となく森や大地から自分の中に力が送り込まれているのが分かる。

感覚で分かった。

これなら『雷激』が打てる。

ただ、このMP量でギリギリだ。

この上の『雷神』はどれだけのMPが必要なんだ?


「リア、ベリル魔獣の足止めを頼む。俺が打てる最も強い精霊魔法を放つ。ユキ、この精霊魔法はまだ打ったことがない。俺の手助けを頼めるか?」

「分かったよ」

「分かりました」

「わかったー。ますたーあたまにのせて」


リアはワイバーンの足止めをベリルはユニコーンの足止めを行う。


「『ピャーチ・バインド』」

「『氷牢』」


リアがそう唱えるとワイバーンが自分の足元から黒い腕が出て拘束する。

ベリルの方はユニコーンの四肢が凍り、氷が厚くなっていくと頑強に拘束する。

ユキを肩車するとユキが小さな体で俺の頭を抱く。


「ますたーだいじょうぶだよ」

「いくぞ」


頭の中で祝詞を構築していく。

今までの祝詞よりさらに難しく長いな。


「『我、大地の精霊と契約する裁定者が願う。我を拒むあらゆるものを蹂躙じゅうりんし、我を導き給え。我が成すその真なる力の片鱗を示せ』」


狙いは魔獣のみ。


「『雷激』」


俺が手を魔獣にかざした直後、かざした左手に強烈な電流が流れ、俺の腕を焼く。

俺は痛みで左腕を抑え、片膝をついてしまう。


「ますたー!」

「優斗君!」

「優斗さん!」

「ご主人様!」


皆が俺の名前を呼ぶが、俺が痛みに必死に耐えていた。

これは今までの痛みとは明らかに違う。

まるで体の内側から焼かれるようなそんな痛みだ。

「「「!!!」」」

リア、リリ、ベリルはその姿に驚き俺の元へ寄ろうとしていた足が止まる。


バチッ、バチバチバチッと音を立てながら何かが俺の後ろにいた。

振り返るとそこには雷でできた白い竜がいた。


「……」


ユキはその白い竜を見て何か物思いにふけっている。


「うん、わたしはしあわせだよ。ますたーにあえてほんとうにうれしいよ」

「―――」


まるで嬉しそうに何かを懐かしむ表情をしながらユキは白い竜に語りかけ、白い竜も声は聞こえないが何か言っているような気がする。

だが、今はそんなことを気にはしていられない。

俺には分かる、これならあの魔獣を倒せると。

痛みで気絶する前に仕留める!


「行け!魔獣を、蹂躙じゅうりんせよ!」


俺の叫びを聞くと、白い竜は魔獣に襲い掛かる。

魔獣たちは炎と白い光線を放つが白い竜はそれに直撃しても一切勢いが消えることも、『氷水壁』のように消えることもない。

明らかに今までの『雷光』『雷鳴』と一線を画している。

そのまま魔獣たちを食らうと体内で魔獣たちが感電しているのが見える。

ヂッヂヂッヂヂッヂヂヂヂヂヂヂヂと音を立て白い竜が体内で魔獣を感電させているのが分かる。

肉を焼くような焦げ臭いにおいが辺りを漂う。


EXP 26000

EXP 29000

レベル74になりました。


頭の中で音声が流れると白い竜が完全に消え去った。

それはもう一瞬で跡形もなく消えてしまった。

後に残ったのは魔獣の残骸であろう黒い炭が2つ残っただけだった。


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