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発見

「分かったよ。その子の特徴は?」


夫婦から特徴を聞くと俺に質問してきたカチューシャの女の子がいなくなったらしい。

いなくなった時間帯などできる限りその時の少女の動向を微精霊たちに尋ねると


『けっかいのそとにいる』


微精霊たちのメモにはそう書かれていた。

それを見た瞬間自称勇者が走り出そうとしたので足をかけて転ばす。


「いってーな。何しやがる!」

「それはこっちのセリフだ。どこに行く気だ」

「その子を見つけに行くんだよ。早くこの縄を解け」

「闇雲に探す気か。少しは落ち着け」

「落ち着いてられるか。人間族に見つかったりしたら大変だ」

「それは分かっているから落ち着け。これ以上落ち着かないようならさらに縛り上げるぞ」


俺の殺気を感じ取ったのか自称勇者が黙る。

こいつを見ていると後先考えないから非常に困る。


「微精霊たちに頼んでその子がいる場所にまで案内してもらう。自称勇者お前はここにいろ」

「ふざけんな!お前なんか信用できるか」

「お前は人質だろうが。リア、リリ、ベリルこいつを見張っていてくれ。ユキは俺と行くぞ」

「大丈夫?」


リアは心配そうに俺に尋ねる。

リリ達も心配そうだ。


「問題ない。ユキと俺なら問題ないだろう。ユキ行くぞ」

「わかったー」

「待ちなさい」


俺とユキが駆けだそうとしたところに和服女が止める。


「私も行きます。あなただけでは信用なりません。同胞を見つけると称して逃げ出すかもしれません」


こいつどこから湧いて出てきたんだ。

自称勇者がいるから助けようと透明化していたのか。

周りを見ると知らない間に多くの幻人族がいた。


「ナギサが人質で連れていけないのなら私なら大丈夫でしょう」

「そうだな。なら、早くついてこい」

「あなたがもし裏切るようならあなたの仲間がどうなるか分かっていますよね」


挑発気味に俺に向かって言うので返事をするのも面倒だと思い、そのまま微精霊に案内を頼みながら指示に沿って走り出した。


「無視しないでください」

「お前と話すと面倒くさいことになるから嫌なんだよ」

「なんですかそれは」


そのまま俺はユキと和服女を連れて結界の外へ向かった。

微精霊たちによるとカチューシャ少女は真っ直ぐ人間族の方向へ向かっていると


「どうして人間族の方に向かったのでしょうか。あれほど人間族は危険だと教えたのに」

「お前ら、ここの結界に閉じこもって何年だ?」

「どうしてあなたなんかに」

「なら、もういい。お前はそんなことすら分からないバカだということが分かった。後でリリにでも聞いてもらおう」

「バカにしないでください。だいたい80年ほどですよ」


こいつちょろいな。

ちょっとバカにしただけですぐにムキになるとか。


「なら、簡単な事だろ。外の世界に興味があって出たんだろ」

「なんでそんなことあなたが分かるんですか」

「あの子は俺に人間族の場所にはおいしいものがあるのかと聞いてきたんだ。ここでの生活を少ししているから分かったが、ここは完全自給自足の生活。食事だっておいしくないうえ刺激的なものも何一つない。そんなマンネリな生活が続いたときに外の世界から来た人がいれば外の世界にだって興味がわく。それが危険な人間族の地域だとしても行ってみたいと思ったんだろ」

「つまりあなたが来たせいでこうなったのですね」

「そうだな。今回のきっかけは俺かもしれないが、こういうことは前にもあったんじゃないのか?」

「………ありません」


図星か。

そこから先は特に会話をしないで走った。

微精霊たちがもうすぐ着くと伝えたその時


「やったぜ!死んだと言われていた幻人族が生きていたんだ。こいつを売ればいい金になるぜ」

「嫌っ!放して!誰か、誰かいませんか!」


大声で叫びながら助けを求めるカチューシャ少女を見つけた。

男に両腕を掴まれたまま捕まっていた。

俺は和服女と共に木の陰に隠れて様子を伺う。


「ワルド、乱暴に扱うのはやめろ。この子はギルドに明け渡すんだ。死んだはずの幻人族が生きていたと分かればギルドでもいい情報になる」

「ギルドなんかに渡さなくても俺らで幻人族の奴らを捕まえちまえばいいじゃねえか」

「あの、下種共が」

「おい、ちょっと」


和服女はそのまま飛びだしてしまう。

腰に差した刀を抜いてワルドと言われ……あ、あいつあの時のゴミだ。

まぁ、とにかくワルドという奴に切りかかるが、


「くぅっ」


刀は見えない何かにはじかれて和服女は弾き飛ばされる。


「テレーゼお姉ちゃん!」

「おいおい、もう一人幻人族の奴らが出てきたぜ」

「大丈夫か、ワルド」

「危なかったぜ。もし魔法無効のドロップアイテムがなかったら今のでやられていたぜ」


魔法無効化か。

そんな良いドロップアイテムがあるならぜひもらってやるか。


「お前いきなり飛び出すなよ。むかついたからと言っていきなり飛び出すんじゃ対策取れないだろう」

「き、君は!」


俺はリーダーっぽいヤツに顔を向けると数を数える。

6人か。


「おい、ゴミが持っているその子を放せ。そして、今すぐ降伏すれば命だけは助けてもらえるように頼んでやる」

「て、テメェはあの時の舐めたクソガキ」

「ワルド、やめろ!彼はお前の命の恩人だぞ。さっきのはどういう言葉か教えてくれないか?」

「言ったとおりだ。幻人族の奴らに見つかるとな、生きて帰らせないって言われんだよ。俺も現状その一人ってこと。だが、今のところ殺されないように人質がいるからお前らもさっさとその子を解放して降伏するなら生かしてもらえるように頼んでやるから」

「ふざけんな!こいつは俺が見つけたんだ。誰がお前なんかに渡すか」

「それに幻人族たちに殺される可能性があるなら今すぐ君も逃げるべきだ」


ゴミの言葉は本当に自分のことしか考えていないものだが、リーダーの言葉は至極真っ当だ。

和服女は俺をずっと見つめているが、俺がどう出るか見極めているのかもしれんな。


「幻人族は自分たちの存在を知られたくないんだとよ。お前らがギルドに行って報告することすら忌避している。だから今すぐその子を放して大人しくしていれば俺が何とかするから」

「ぜってー、渡さねえ」

「すまないが、冒険者見た情報はギルドへ報告する義務がある」


ため息が出てくるな。

仕方ない、やるか。


「『我、水の準精霊と契約する裁定者が願う。』」

「へっ。俺には魔法は聞かねえよ」

「『エレメント・アクアショット』」


俺は水鉄砲でゴミの掴んでいる肩を打ち抜くと同時にゴミに一気に近づく。


「ぐぁ。てめぇ、どうやって魔法を!」


ゴミの掴んでいる手がカチューシャ少女から外れたのでそのまま少女をスライディングキャッチをする。


「ユキ」

「『らいそう』」

「ぎゃああああああああああああああ」


掛け声だけでユキは理解し、ゴミを感電させる。

周りの奴らは何が起きたのか理解が追い付いていない。


「ま、待ってくれ。話し合おう」

「もう、お前らには言ったはずだ。降伏しろと」


他の何人かは俺の実力を知っているからか逃げ出そうとしているが


「逃がすと思うか。『我、雷の準精霊と契約する裁定者が願う。エレメント・ディスチャージ』」


俺を中心に放電が起こる。


「「「「「ぐああああああああああああああ」」」」」


リーダーっぽい奴含め感電する。

腕に抱えている少女や和服女には電流が流れていないと言うことは俺の意志で操作出来るのか、すごいな。

後でわかるのだがゴミが持っていた魔法無効化はやはり精霊魔法には効かないが、普通の魔法でもチェティーリクラスの魔法では普通に効くことが分かった。


「さて、終わったな。大丈夫か?」

「は、はい、大丈夫です」


腕の中にいるカチューシャ少女に尋ねる。

確か、テレサっていう名前だったかな。

テレサを抱き上げ、立たせる。


「どうして私たちを守ろうとしてくれるのですか?」


和服女は立ち上がるとこちらに近づいて尋ねてくる。


「お前らが人を殺してまで守りたいんだろう。なら、それを尊重したまでだ。ただ、そいつらまだ死んでいない、気絶しているだけだ」

「そうですか」

「それにわざわざ見つかったからと言って殺す必要はないんだぞ」

「どうしてですか?」

「こういう奴らにはそれなりの有効な使い道があることを教えてやる」

「ますたーひさしぶりにやるの?」

「おう」


ユキが興奮して俺の元までやってくる。


「なんか怪しく笑っています」


テレサが若干俺を引いていたのが分かった。


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