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自称勇者

前書きから本文に移しました。

魔獣にはすぐに追いつけたが、すでに幻人族の住む森に入ってしまっている。


「『氷壁』」


ベリルの精霊魔法で魔獣の進行方向を塞ぐ。

魔獣も俺らに標的を絞り、突進してくる。


「「『チェティーリ・ソイルシールド』」」


リアとリリの魔法で岩の盾が出現し、魔獣の突進を防ぐ。


「『らいけん』」


ユキの精霊魔法が当たるが、魔獣の皮膚を貫くことはできない。

やはりあまりにも皮膚が固いのから雷が通らない。

待てよ、魔獣はさっきの攻撃で皮が破けたのならいけるか。


「リアとリリで魔獣の動きを止めろ。ベリル魔獣の近くに足場を作れるか?」

「任せて」

「大丈夫です」

「可能です」

「では、頼む。ユキ、俺が魔獣から離れたらすぐに雷の魔法を放て」

「わかったー」

「やるぞ」


俺の掛け声で魔獣への攻撃の火ぶたを切った。


「「『チェティーリ・サンドハンド』」」

「『氷段』」


リアとリリの魔法で再び足を止めるとベリルが魔獣の近くに氷の足場を作る。

俺はその足場に勢いよく乗ると魔獣の背に乗って傷のできて皮膚がただれている場所にオヤジからもらった鋼鉄の剣を突き刺す。


「!?!!?!?!?」


魔獣が痛みで大きく暴れだし俺はそのまま振り落とされる。


「ユキ、今だ!」

「『らいしょう』」


ユキの声に合わせて白い雷が魔獣を襲う。

俺の剣を通し、魔獣の体全体に電流が流れる。

鉄は電気を通すからな。

皮膚が固いのなら、それより下の肉に攻撃を当てるまでだ。

魔獣はプスプスと音を立て、感電するとそのまま倒れる。

なんとか倒せたな。


EXP8800

レベル72になりました。


おいちょっと待て。

EXP8000越えなんて初めて見たぞ。

レベルなんて急上昇して4も上がったぞ。

リアたちも自分たちのレベルが急激に上がって驚いている。

とりあえずいるかは分からないが、幻人族に迷惑が掛からなくてよかった。


「優斗君!」

「どうしたリア?」


リアが急に大きな声を出して俺を呼ぶと俺の元へ駆け寄ってくる。


「囲まれちゃってる」

「何に?」

「魔物。それもとんでもなく多い」

「なんだって」


一難去ってまた一難かよ


「リリ、ユキ、ベリルこっちに来い。リア今どうなっている?」

「すごい数。それに感知しただけで相当強い魔物だと思う」


クソッ。

どうしてこうも面倒なことばかり起こる。

魔物たちも姿を見せる。

俺らを囲むようにいる。

俺が相手をしたことがあるキングフロッグからゴブリン、コボルト、マウスイーターもいるがS・Aランクが相手にするような強い魔物も複数いる。

『雷鳴』で殺しつくせるか?

その魔物はすべて金色の線のようなものが入っており、弱いキングフロッグすらどう見ても強そうにしか見えないほど筋肉が盛り上がり力がありそうだ。


「優斗君」

「優斗さん」

「ますたーはわたしがまもる」

「ご主人様の敵は私がすべて排除します」


リアやリリは不安そうに俺を見て、ユキとベリルはやる気満々だ。

最悪、『雷鳴』を連続使用で乗り切るしかないな。

すると、魔物共の中から足音が聞こえてきた。

その足音はだんだんと近づいてくると魔物たちの中をかき分けてやってくる。


鞭をもった少女だ。

黒髪のポニーテールをした小さい少女が魔物たちの中からやってきた。

身長は150センチないな。

鞭はあの勇者共が持っていたものと少し似ている気がする。


「魔獣を連れてくるだけじゃなく、ここにまでやってくるとはいい度胸だな」


男口調で少女は話す。


「俺らを殺しに来たのか?」

「半分正解だ」

「もう半分は?」

「お前らが何の目的でここに来たのか吐かせる」


なるほど、敵であることは分かった。


「その魔物はお前が操っているのか?」

「違う。こいつらは友達だ」


こいつは頭がイっているのかもしれない。

魔物が友達?

なにボールは友達みたいなノリで言っているんだよ。


「お前らはオレが倒す。この鞭の勇者の名にかけてな」


こいつ鞭の勇者って言ったか?

俺は頭を抱える。


「全くどいつもこいつも。勇者っていうのはバカしかいないのか」

「な、なんだとオレのどこがバカだ」

「勇者に与えられた仕事もしないで行方不明になっていると聞いたから何をしているのかと思えば、幻人族と人族の国境で冒険者狩りを行っているとは。ただのニートかと思ったらとんだ殺人鬼だったのか」

「お、俺はただ―」

「黙れ!俺はお前みたいに仕事もしないでふざけた事抜かしているクソ勇者が大嫌いなんだ。いいだろう、相手になってやる」


ヤバいな、久しぶりに本気でキレてしまったかもしれない。

まずは魔物を操っているのだとしたらその束縛を解こう。

そうでないなら別の手段を取るまでだ。


「『我、海の精霊と契約する裁定者が願う。我が救いしあらゆるものの束縛を解き放ち、我を導き給え。我が成すその力を示せ』」


俺はそのまま自称獣の勇者に向けて放つ。

微精霊の力をありったけ借りてな。


「『聖海』」

「え、ちょ、待って。水!?」


自称勇者は狼狽するが、もう遅い。

俺の足元から大量の水が生まれ勇者と魔物ともども水が飲みこむ。

『聖海』によって生まれた水は俺の意志でコントロールできる。

魔物たちは必死に水の流れに耐えている。

束縛が解くことができないということはあの魔物たちが自分の意志で自称勇者に従っているのか。

『聖海』が解くことができる束縛は意志を関係なく無理やりに縛り付けられている者のみ。


「さすが私のご主人様。ここまでの水を生み出せるなんて」


ベリルはうっとりして俺を見つめる。

あれ?

あの自称勇者溺れていないか?

あ、息が吐いて気絶したな。

こいつ金槌だったのか。


気絶した勇者を水をコントロールしてこちらに持ってくる。

となれば、後はもう一つの手だ。

水が一瞬で消え去る。

魔物たちは自称勇者が俺に捕まっているのを見るとこちらに駆けだそうとした。


「動くな。少しでも動けばこいつを殺す」


懐からダガーを取り出すと気絶している自称勇者の首元に向ける。

魔物たちも動くことができずに固まる。


「優斗君」

「優斗さん」


リアとリリは複雑な表情でこちらを見る。

仕方ないだろ、生き残るためだ。

ユキは「ますたーすごーい」と大興奮で俺を褒めたたえ、ベリルも「ご主人様、素敵です」と褒める。


後はいつもの脱ぎ脱ぎタイム。

自称勇者の防具から服から下着まですべて奪うと縄で縛り上げる。

リアやリリ、ベリルが服や縄は私たちがやりますからと言ったが、確実に逃げられないようにきつく縛り上げることができるのかと聞くと黙って黙認した。


だいたい、この自称勇者の体なんてリアたちから見れば魅力なんてない。

興奮は少しするが、それだったらリアたちの裸を拝んだほうがいい。

魔物たちは忌々しい目で俺を見つめていたが、お前らが俺にケンカを売らなければよかっただけだ。

自業自得。


「おい、魔物ども。何の説明もなしに襲ったにはきちんと訳があるなら話を聞いてやる。もしそれでまともな理由で襲ったのならこいつを返してやる」


そうすると、魔物たちは集まって魔物独自の言葉みたいなので会話をする。

こっちはギャーとかギョエーにしか聞こえないが。

すると一匹のウサギみたいなのがジェスチャーでついて来いと伝えてきた。


「分かった。ついて行けばいいんだな。もし、罠にはめようものならお前らの主人の命はないからな」


ウサギは忌々しい目で俺を睨むと歩き出した。


「皆、ついていくぞ」

「私たち大丈夫ですか?」


リリが心配そうに俺に尋ねるが


「こっちには人質がいる。問題ない」

「それが逆に心配なんだけど」


リアは俺に不安そうな目を向ける。

問題ない。

もしもの時は自称勇者を盾にするからな。


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