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魔獣討伐

草原に着くと他のパーティーはすでに亀裂の前にいた。

亀裂はまだ小さいが隙間から赤い空が見えている。

これはすぐにでも魔獣が出てきそうだな。


「最後のパーティーの女とガキのパーティーかよ」


ガラの悪そうなゴミがいるな

ゴミは近づくと俺に近づいてくる。


「ワルドやめろ」

「大丈夫、何もしねえよ」


ゴミはリーダーっぽいヤツに止められるがそのまま俺の前に立つ。


「お前がパーティーリーダーか?」

「そうだが」

「さっさと帰りな。お前みたいなひよっこじゃ、魔獣の餌になるくらいしか役立たねえよ」

「そうか。それはご忠告どうも。俺は確かに餌くらいにしかならないが他のパーティーメンバーは相当強いので問題ない」

「ますたーはつよいよ」

「そうだよ」

「そうです」

「ご主人様、この方を殺していいですか?」


リアたちは俺を擁護してくれる。

というか、ベリル。

お前初めてこういう奴らに会ったユキと同じ対応をとるな。


「はっ。女とガキに守られてんのかよ」


ゴミのセリフに他に集まっていた何人かの冒険者が鼻で笑う。


「よく見たら、後ろの女たちはずいぶんな別嬪べっぴんじゃねぇか。女は置いてさっさと帰りな」

「もう、お前の相手するの面倒だから元の場所に帰ってくれないか?これから魔獣討伐だろうが。連携とか確認しなくていいのか?」


こういう奴は黙らせるのが常套句じょうとうくだが、幾度となくこういう奴らに絡まれた俺は正直こういう奴らともう関わりあいたくない。


「ワルド、もうこっちに来い。連携を確認する」


リーダーもゴミに声をかける。


「チッ」


ゴミは最後に舌打ちを打つと帰って行った。


「なにあれ」

「ふざけています」

「ますたーあいつころしていい?」

「殺します」


リアたちもずいぶんと不機嫌だ。

ベリル、少し落ち着け


「ユキ、ベリル。今は魔獣討伐が優先だ。あのゴミは魔獣討伐が終わった後ゆっくりればいい」

「だから優斗君、殺しちゃダメだって」







30分くらい経ったくらいだろう。

バキンッ

その音と共に空が大きく割れた。


赤い空から一匹のライオンっぽいのが現れた。

頭はライオンだが、下半身がウシっぽい。


「今回のはずいぶんと大きいな」


確かに、ずいぶん大きい。

他のパーティーが先制攻撃で魔法を打とうとしているので魔力を込めている


「リア、魔法で先制攻撃を頼む」

「分かった。えっ。」


リアに指示を飛ばす。

リアも魔獣に魔法を放とうと魔力を込めようとしたところで先ほどのゴミが単身魔獣に向かっていった。


「おい、ワルド!」

「大丈夫だ。あんなの前にも狩った魔獣と同じくらいの大きさじゃねぇか。俺一人でやれる」


さっきのリーダーっぽい奴は引き留めるがゴミは魔獣に向かって走っていく

そのままゴミは背中に背負っていた大剣を魔獣に向かって突き立てる。


「おらああああああああああれっ」


大剣は魔獣に刺さるどころかその皮膚を貫くことさえできていない。


「なんだよ。この。クソッ」


何度も魔獣に切りつけるが全く刃が魔獣に入っている気がしない。

魔獣はいい加減うざったくなったのか顔をゴミに向ける。


「ワルド逃げろ!」

「な、なんで。俺はBランクなんだぞ」


ゴミは震えて動けない。

他のパーティーのメンバーも危なくて近づけないうえ、ゴミがいるから魔法も放てない。

あれは死んだな。


「優斗君どうしよう」

「放っておけ、あんなバカ一人や二人死んだところで誰も困らない」

「でも」


ため息をつく。


「リアのお願いなら仕方ない。助けてやるか」

「ありがとう。優斗君はやっぱり優しいね」


優しくないけどな

まずはゴミと魔獣を離さないと。

俺は風の準精霊の精霊魔法を唱える。

準精霊の魔法は精霊の魔法と比べてそんなに詠唱が難しくもないし長くもないから楽でいい。


「『我、風の準精霊と契約する裁定者がその力を求める』」


狙いを魔獣に向ける


「『エレメント・タイフーン』」

「な、なんだ」


直後、魔獣の周りに竜巻が起こるとゴミを吹き飛ばす。


「おい、今のうちにあのゴミを回収しろ。それと他の奴は魔法を放つ準備をしろ」


周りに声を飛ばす。

さっきのリーダーっぽい奴が話しかけてきた。


「すまない、仲間を助けてもらって」

「あんなのはどうでもいい。それより普段の魔獣ならあのゴミでも倒せるのか?」


仲間に治療を受けているゴミを指さしながら尋ねる。


「ゴミって。確かにいつもの魔獣ならワルドでも苦戦はするが、あんなふうに全く歯が立たないことはない」

「そうか」


なら、あの魔獣が特別強いのかそれとも―

いや、この考えはさすがにないな。

偶々あの魔獣が強いだけだろう。

竜巻が治まりはじめ中から魔獣の姿が見えるようになる。

『エレメント・タイフーン』でも無傷か。

他のパーティーがトリー以下の攻撃魔法を放つが効いていないように見える。

魔獣もこちらに敵意を示し、闘牛のように勢いよく走ってくる。


「リアはチェティーリ以上の魔法で攻撃。ベリルはあの魔獣の動きを止めてリリは足止めを。ユキは俺の精霊魔法に合わせてくれ」

「分かったよ」

「分かりました」

「うん」

「了解しました」


リアたちも魔法を唱え始める。


「『チェティーリ・フレイムショック』」

「『チェティーリ・サンドハンド』」

「『水牢』」


ベリルが走っている魔獣を水の牢で囲むと、魔獣はそれを突き破るが動きが若干鈍った。

そこにリリの土魔法で砂でできた手が魔獣の足を掴んで抑え、リアの杖から放たれた炎が魔獣を焼く。

やはり、チェティーリクラスの魔法なら効くのか。

俺も準備が整った。


「『我、大地の精霊と契約する裁定者が願う。我を拒むあらゆるものを破壊し、我を導き給え。我がなすその力を示せ』」


ユキに目配せをすると大きく頷く。


「『雷光』」

「『らいそう』」


ユキと俺の精霊魔法が魔獣を貫く。


「す、すごい」


どこかのパーティーが言っているが、お前らも少しは役に立てよ。

お前ら、俺達よりもランク上だろ。

魔獣に放った攻撃でも魔獣を殺すことはできなかった。

俺達の攻撃で傷を受け、左後ろ足と背中の一部の皮がはがれ血を流してはいるが少し厄介だな。

『雷光』とユキの精霊魔法は俺らのパーティーの中でも最高クラスの攻撃なんだがな。


「回復させます。『チェティーリ・マインドヒール』」


リリの回復魔法で俺のMPは全回復するが、『雷光』で倒せないなら『雷鳴』しかないな。

さらにその上の『雷激』はまだ打つこともできない。

魔獣は俺たちに背を向けると逃げ出す。

向かっているのは幻人族の住むと言われる場所だ。


「ふう、助かった」

「何を言っている?まだ、倒せていないし、幻人族が住んでいる方へ逃げているんだぞ。ここで倒さなければ、幻人族に迷惑がかかるだろ」

「大丈夫だって。幻人族なんていないし、いたって別に俺らは困らないしな。それにすでに傷も負っているし俺たちが倒したって言えば分かんねぇよ」


近くにいた冒険者の言葉に俺は強い不快感を覚えた。

どいつもこいつも自分の責任を途中で放り投げやがって。


「リア、リリ、ベリルこのままだと幻人族の方に魔獣が逃げ込む。幻人族に被害が出る前に仕留めるぞ」

「任せて」

「分かりました」

「大丈夫です」

「ユキ、走るから俺にしっかり掴まっていろ」

「うん、わかったー」


リアたちに声をかける。

魔獣は足に傷を負っているので追いかければ間に合うだろう。


「あ~あ、放っておけば楽ができるのに」


すれ違いにどこかの冒険者が俺らにそう言ったが、本当に自分の役割すらまともにこなさない奴らだな。



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