取引①
サブタイトルが間違っていたので直しました
「ごめんな」
「うん、大丈夫」
「決めましたから」
あの後家を出た二人は泣いてしまった。
俺がそうさせてしまったのだから彼女たちの涙は俺の責任だ。
「優斗君、私のことを好きなんだよね?」
「ああ、好きだよ」
「優斗さん、私のことも好きなんですよね?」
「好きだよ」
「ご主人様、私のことは?」
「今いい流れだから、入ってくるのはよそうな。好きだけど」
「ますたーわたしは?」
「はいはい。いい子いい子」
ユキの頭をなでる。
「えへへ~」
「「「……」」」
リア、リリ、ベリルの間で何か争いがあるが、無視無視。
というかハーレム要員が増えていくことには嬉しい限りだが、このパーティー途中で空中分解しないように気を付けて管理しないと
バークレーを出て行った以上、早急に住む宿を見つけないとな。
フェルミナにでも尋ねよう。
金はちょっと心もとないがないわけではない。
体と精神は昨日の夜からずっと動きっぱなしで眠いがもうひと踏ん張りだ。
やはり寝られるならベッドで寝たい。
「優斗君、さっきお母さんが言っていた固有スキルは本当?」
「ああ、本当だ。実際、クソガキに追いつめられた時に一回使おうとした」
「大丈夫なんですか?」
「発動する前に詠唱失敗したから大丈夫だ」
リリが驚いて俺を見て尋ねてきたので俺も返答する。
するとリアが俺の手を握ってきた
「もう二度と使おうと思わないで」
「分かっている」
「優斗君、もう私たちには優斗君しかいない。だから決して使わないで。私たちを独りにしないで」
リアは俺の手を強く握ると懇願するように俺の胸に頭をつける。
そうだよな。
人を確実に殺すということはそれだけの代償があのスキルにはある。
あれは何があっても使わない。
俺はそう固く心に誓った。
そして俺はリア、リリ、ユキ、ベリルを連れてまずはクソガキを回収。
「クソガキを返してもらえるか?」
「良いわよん。男の方はどうする?」
そう言えばいたな。
すっかり忘れてたわ。
「とりあえず、返却でいいか」
「分かったわ」
帰ってきた男は死んだ目をしていた。
クソガキは恐怖で暴れている。
暴れたところでお前の人生はすでに積んでいるがな。
「クソガキは掘ったのか?」
「本当は掘りたかったんでけどねー、掘った後がめんどうだからー」
「だな。でも次来るときはもう掘っていいから」
「あらそうなの」
「じゃあ、俺は行く」
「またいい男連れてきてねぇー」
「ああ」
俺は男とクソガキを別の縄で一括りにすると風の準精霊の力を借りて軽く運べるようにする。
リアたちは何かを言いたそうだったが次の場所へ行く。
ユキはクソガキを毛嫌いし、俺がクソガキがうるさい時に殴りに行くときは俺から離れる徹底ぶりだった
次に娼館に着くと女の回収をした。
こちらも死んだ魚の目みたいに濁っていた。
「いやー、ありがとうございます」
「どうしたんだ急に」
「あれは本当に良かったですよ。客がひっきりなしに飛びつきましたから」
「そうか。良かったな」
「ええ。今宵だけで20人行けばいいもの一人15分までにしたところ25人ものお客様が贔屓にしてくださいましたから」
凄いな。俺がここに着いたのは朝8時くらいだからついさっきまでヤッていたことになるな。
「これはせめてものお礼です。次はご利用してくれると助かります」
懐に金貨が数枚入れられる。
リアたちが俺に冷たい目線を送っている気がするので
「俺の相手はあそこにいるのでね。次にここに来るときはいい獲物を売りに来た時だ」
「ほう、それはそれは。ぜひ、お待ちしております」
リアたちのもとに戻ると微妙な顔をしている。
ちゃんと俺の相手はリアたちしかいないと伝えたし大丈夫だな。
女も男とクソガキ同様一つの縄に縛ったし
ギルドへゴー。
バークレーにて
「行っちゃたわね」
「ふん、もう知らん」
私はユリウス・カイザーとの会話を思い出す。
「あなた方が精霊剣の使い手のフレデリック様と稀代の天才魔術師リネット様ですね」
「ああん、だれだよお前」
「誰かしら~」
一通り世間話をし、私たちが二人でいるところに声をかけてきた。
「僕はユリウス・カイザーと申します」
「カイザーって言うと騎士団の団長の息子か?」
「はいそうです」
「その息子さんが私たちに何の用かしら~」
栗原ちゃんに魔法の勝負を挑んできた子だったと思う。
「実は娘さんたちの近くにいる男が使役している精霊についてです。あれはあまりにも危険ではありませんか?」
「「……」」
私たちはその子の言葉に何も言えなくなってしまう。
私にとって精霊は今でもあの時の炎の精霊を思い出してしまうくらいトラウマになっている。
「私はあの精霊をきちんと封印し、管理できるようにするべきだと思うのですがお二人はどのような考えなのでしょうか?」
「俺は…、俺は精霊が危険なもんだって知っている。あのガキはそれを分かんねぇでリアやリリに近づいている」
「……あなたがそう思うなら私もそう思うわ」
「ならば、僕があの精霊を封印して見せます」
「お前みたいなガキにできるのか?」
「ここに純度100パーセントの精霊結晶があります。これで精霊の力を抑えられます」
「こんなものまで見せて俺たちに何をさせようって魂胆だ」
確かに、こんなものまで見せるのなら私たちに何をさせるのか
「ただ、お二人には僕の屋敷にあの精霊を届けてくれれば大丈夫です。私が2人ほど刺客を放って騒ぎを起こすのでそのすきに連れてきて欲しいのです」
「俺たちを使いっぱしりにするつもりか?ガキの分際で」
「私はただナタリアさんたちが心配なだけです。精霊の力をご覧になったことがあるお二人なら理解してくれると思っただけです。」
「……分かった。良いだろう。乗ってやる」
「あなたいいの?」
「精霊を封印できるかどうか分からねえが、乗ってやるのも一つ手だ。このガキができる出来ないに問わずな」
「分かったわ」
私は正直無理だと思ったけれど、愛する人がそうしたいならたとえ娘たちや信頼を寄せてくれる男の子でも騙そうと決めた。
一人の精霊だけでも管理できていれば、後の一人を栗原ちゃんが始末できなくても私とフレデリックで始末できる。
「ありがとうございます。では、今日の午前1時ごろに刺客が騒ぎを起こしますので」
この後私はフレデリックに頼まれ、高度なジャミング魔法をかけた。
「あの時やめておけばこんなことにはならなかったかもね」
「うるさい」
「私ね、栗原ちゃんが私たちと同じように死の恐怖を味わっても屈しないで抗い続けている姿を見ていると自分もこうなれるんじゃないかと思えそうなのよ」
「……」
「けど、同時に無理だって諦めちゃうの。私は強くなれない。あの時、炎の精霊に会ったことを思い出してしまう」
「……」
あの力は圧倒的だ。
伊達にかつて7番目の勇者に従っていた精霊と言われるだけはあった。
「あなたが、私と同じ気持ちになっているのは長年の付き合いだから分かるわ。大丈夫。私たちにはできなくても栗原ちゃんならきっとあの子たちを強くさせることができる」
「アイツは両方に手を出していんだぞ。しかも、あのエメラルドの娘にも手を出しそうだぞ」
「英雄色を好むというじゃない」
「アイツが英雄?裁定者なんていう弱職だろうが」
「ジョブは弱くても彼には多くの精霊が付き従っている。7勇者物語の7人目の勇者が精霊を付き従えていたっていうじゃない」
「7人目の勇者は勇者である前に剣士のジョブだったと言われているじゃねぇか。一人の人間が剣士と勇者のジョブの2つを持ち合わせ、精霊まで従え災厄を退けたって物語だろ。未だかつて2つのジョブを持つ者はいねぇ。だから7人目の勇者はほら話って言われているんだろうが」
「それでも彼は何かを持っている。そうでなきゃ、あんなにも私たちが恐れた精霊が彼を慕い、あまつさえ好意まで持っている」
「……」
「私は彼に賭けるわ。会ったこともない勇者よりもよっぽど彼の方が勇者らしいわ」
栗原ちゃんがこの世界の災厄を退けるんじゃないかと思う。
「俺も」
そう思う。あいつがやることは俺が昔憧れた勇者のようで羨ましい
そこから先の言葉は口に出してはいなかったが、リネットに伝わったようであった。




