拷問
「よく来てくれた」
「そりゃ、来てくれれば金貨20枚くれると聞いちゃ来るでしょ」
「そうねぇー。でもあなた私たちを呼んで何が目的?」
俺がリリに聞いた店は娼館とゲイバーだ。
ゲイバーの店主は見た目もオネエ系だ。
「お前たちにはここにいる奴らを買い取ってほしくてここに呼んだ」
「ほう、これはずいぶんな別嬪ですな」
「あら、いい男じゃない」
俺を襲った男女は一人一人縛り直し、口をタオルで縛っておく。
「ですが、ここにいる者たちの素性が分からないのであれば買い取ることは致しかねません」
「私もねー」
「なに、こいつらは俺を襲った犯罪者。今日の夜1日限りの限定として買い取ってほしい。その後俺が俺を襲った連中として始末するから問題ない」
素性が危険で買い取れないなら今夜だけの相手として売れば相手もリスクが少なくなる。それに俺がきちんと後処理もするから責任も俺に擦り付けられるしな。
俺の言葉を聞くと2人とも目を輝かせて
「そういうことならできますよ。これだけの質なら今夜だけでも20人はイケるでしょう」
「うちもよー。この男、結構良いからきっとレディたちに人気よ」
ここまでの話を聞いてか襲撃者共は顔が青い。
口に巻いていたタオルを外してやる。
「き、貴様、とんだ外道だな」
「お、お前、こんなことして―」
「お前らに提案だ。今ここでユキをどこに連れ去ったのか言えばお前らのうち一人は助けてやる」
俺の言葉に襲撃者は息を飲む。
「お前らのうち有益な情報を寄越した奴は生かしてやる。ただ、もし渡さないんだったら」
後ろにいるゲイバーと娼館の主人に目配せをする。
すると奴らは襲撃者をみて、にっこりと笑う。
「ヒィ」
「さぁ、答えろ。ユキはどこにいる?それとも掘られたいのか?」
「き、貴様に話すことなど―」
「ぼ、坊ちゃんの別宅にいます」
女の方は俺の脅しに屈しなかったが、男の方はすんなり話した。
「お、お前」
「お、俺はほられたくない!」
「ふ、ふざけるな!」
男と女が言い合いを始めそうなので
「坊ちゃんとは誰だ」
「坊ちゃんは―」
「ユリウス・カイザー坊ちゃんだ」
今度は女の方が答える。
「てめぇ、俺が言おうとしたのに」
「私だって娼婦になどなれるか!」
その後はどこに住んでいるかなどいくつかは聞けたが、何の目的でユキを攫ったかは分からなかった。
だが、
「おい、それは本当のことか?」
「ああ」
「間違いない」
誰がユキを攫ったかは分かった。
こうして拷問は終わった。
どっちを助けたかって?
俺が殺されそうになった相手を助けると本気で思うか?
娼館とゲイバーの主人に金を払おうと思ったが
「いえいえ、結構ですよ」
「わたしもいいわよ」
「本当にいいのか」
「ええ。今夜限りの商品も譲ってくれましたし、なによりあなたは今後も私たちと付き合って頂けるのでしょう?」
「もちろん、使えるときは使う」
「なら、いいわよん」
よし、ユキの居場所も分かった。
店を出たところでリアとリリ、ヴァルトハイムの爺さんとべリルがいた。
「小僧、ユキちゃんが攫われたのは本当か?」
「ああ、今場所が分かった」
「どこにいるんですか?」
爺さんに事実だと伝え、リリから尋ねられる。
「カイザーっていうクソガキの別宅にいる」
「そんな」
「リア驚いているところ悪いが、お前とリリ、爺さん、ベリルはバークレーに戻って襲撃者の仲間を捕まえてくれ。俺はユキを取り戻しに行く」
「襲撃者の仲間がいたのか?」
「いたんだ。たぶんリアたちじゃなきゃ捕まえられない」
「優斗さんそれって」
「ああ、そいつは―――だ」
「そんな」
リリはなんとなく予想がついたようだったが、リアは俺が言った仲間の名前が信じられないようだ。
「確かに、そやつならワシが行かねばなるまいな」
「頼んだぞ爺さん。とにかくそいつを捕まえておいてくれ。俺はもう行く」
「待って、優斗君。一人じゃ危ないよ」
リアが俺を呼び止める。
「だが、こうしている間にもユキが」
「でも―」
「なら、私が栗原さんについていきます」
ベリルはそう言うとリアの手を取る。
「大丈夫です、栗原さんは私が必ず守ります。それに私は精霊なんですよ。同じ精霊であるユキさんを放っておいて黙って見てるなんて私にはできません。だから、栗原さんは私が守ります。代わりに、仲間の人を捕まえてくださいね」
「分かったよ。ベリルさん、優斗君をよろしくね」
「私からもお願いします」
ベリルのその言葉にリアとリリも納得する。
「じゃあ、ベリル、ユキを助けに行くぞ。爺さん、リアたちを頼む」
「はい」
「任せろ、代わりにユキを必ず助けるんじゃぞ」
「もちろんだ」
俺たちはそれぞれ別行動を取る。
ユリウス・カイザー、ユキに手を出したこと後悔させてやる。




