勇者候補の会話
俺たちはその後休憩室に通され、そこで茶菓子を出された。
正直あんまり美味しくない
「なぁなぁ、お前らって何で死んだん?」
やっぱりそこは気になるな。
皆俺と同じ死に方をしたのかもしれない。
確かこいつは高橋祐樹だったか。
高橋はそう言って身を乗り出してくる。
全員丸テーブルに座っているから見渡してくる。
高橋「ちなみに俺はたぶん溺死かなー。女の子と海で遊んでいたら一人の女の子の足がつっちまってな。
助けようとして俺も海に飛び込んだんだ。そしたら、溺れてな。気がついたらここにいたよ。」
高橋は俺とは違った。
姫川「あまりその話はしたくないですけれど…」
高橋「あ、そうだよね。ごめん。」
姫川「あ、別に謝らなくていいですよ。私はただ前の世界で病気でして。ずっと、ベッドの上にいたんです。そして、眠くなって寝て起きたらこの世界にいましたわ。」
その彼女の答えに高橋はなぜか涙をこらえていた。
涙腺弱すぎないか?
姫川も違う。
高橋「じゃあ、この世界でたくさん楽しいことしないとね」
姫川「はい、そのつもりです」
加山「僕は子供と子犬がトラックに引かれそうなところを見かけて、彼らを突き飛ばしたところまでは覚えているけど。そうして気が付いたらここにいたんだ。」
加山も俺とは違う死に方だ。
ていうか、加山。
お前なんでマンガみたいな死に方してんだよ。
高橋「そっかー。みんな、悲しい最期だったんだな。で、お前はどうなんだ」
そう聞いてきたから、俺がここに来た経緯を話すと
高橋「なにそれ、怖っ。お前呪われているんじゃないの」
姫川「それはさすがに怖いです」
加山「い、いくらなんでもそんな死に方がないよ。ど、どうせ嘘だよ」
「いや、事実なんだけど」
高橋「分かった。あんまりにもつまらない死に方だったから、話を盛ったんだろ」
姫川「そうなんですか」
「いや、盛ってないよ。本当にそういうことがあって気づいたらここにいたんだよ」
加山「嘘ですよ」
結局、俺の死に方はほら話として扱われ、つまらない死に方をしたと決めつけられた。
まぁ、俺自身も死んだとは思えないから、別に気にはしてないけど。
その後も4人で自分たちの趣味や特技など取るに足らない話で時間を潰した。
特に俺たちは姫川のことを重点的に聞き出しながら楽しげに話していた。
姫川は10人が見たら10人が美少女だと答えるほどきれいな顔立ちをしていたからな。
俺たちのテンションも上がるな。