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ベリル

「本当に精霊なのか?」

「うん」


エメラルドの髪の少女は申し訳なさそうにする。

歳はリリと同じくらいか。


「ごめんなさい。精霊だと分かったらひどいことをされるって言われていたので黙っていました」

「いや、気にしていない」

「あなたは契約者なのですか」

「とりあえずな」

「そうだよー、ますたーはね、すっごくやさしくてごはんもおいしいし、なによりおかしはもっとおいしいんだよ」


なんか精霊でもユキみたいに面倒な奴もいればこの子みたいにおとなしそうなのもいて、おもしろいな。


「どうかしましたか」

「いや、名前を聞いていなかったと思ってな。俺の名前は栗原優斗」

「わたしはユキ」


すると彼女は困ったような顔をする。


「どうした」

「すみません、私記憶がないんです」


また、めんどくさいのがきたよ。

なにこれ、俺はこういうやつに出会う運命なわけ?


「どこまで覚えている?」

「実はある人に伝えたいことがあるということまでは覚えているんですが、その人のことも覚えてないんです」

「どこから来たかも覚えてないのか?」

「いえ、気が付いたらお墓にいました。」

「……」


それって中?


「い、いえ、お墓がいっぱいあるところに立っていたんです」


俺の考えていることを察してか彼女が答える。

ふと気になったことがあったので聞いてみる


「俺と君は前にどっかで会ったことがある?」


すると彼女は申し訳なさそうにする。


「すみません。もしかしたら、会ったことがあるかもしれませんが、記憶がないのでなんとも」


そうだよな。


「なまえないんでしょー。だったらますたーにつけてもらうといいよー」

急に会話にユキが入ると突然意味が分からないことを口走る。


「なんで名前を付けることになるんだよ」

「だってー、このままじゃなまえがなくてふべんだよー」


なるほど、確かに。

いつも間の抜けた話し方しかしないから頭も抜けているのかと思ったがそうでもないらしい


「ますたー、ひどいことおもっているー」


そうか、心を感じることができるんだっけか。

面倒だな。


「わたしも名前を付けてくれると嬉しいです。なぜかあなたにつけてほしいと思ってしまうんです」


なんとなくだが、俺もこの子を放っておくことができないと感じる。

なにか心の奥で何かが伝えようとしているようなそんな気がする。

まぁ、それは置いといて。

名前がないと不便だしな。

仕方ない。

彼女のエメラルド髪を見る。


「うーん、そうだな。『べリル』はどうだ」


エメラルドのことをべリルともいうしな。


「はい、すごく良いです」

「にあうとおもうー」

「べリル、とりあえずこれからどうするんだ?どうせこのままここにいてもまたあのナンパ男どもに絡ま

れるのが目に見えるぞ」

「えっと」


べリルの奴すごくきれいだからな。

リアやリリに会っていなかったら俺もナンパしていたかもしれん。


「特に行く当てがないなら面倒を見てやる。どうせ精霊が一人二人増えようが負担は変わらん」

「だいじょうぶだよー。にんげんはいじわるだけど、ますたーはやさしいからー」

「俺は優しくはないがな」


ちゃんと言っておく。

俺は優しくない。


「なら、よろしくお願いします」

こうして俺はさらにもう一匹精霊を連れてバークレーへと帰宅した。






「というわけで帰りに精霊をもう一人持ってきた」

「どうしてこうも私の恋路にライバルが増えていくのか分からない」

「全くです」


いや、ベリルはリアたちと違ってハーレム枠じゃないだろ。


「とりあえず、現状はベリルが記憶を取り戻すまで保護ということだ。ユキから聞いたが、精霊の力を悪用する奴らいるわけだしな」


ユキからなぜ人間がそこまで嫌うのかと尋ねると無理矢理束縛して力を引き出そうとしたり、強制的に契約させたりする者もいるという。

中には自分達を『魔獣』だと罵り、剣を向けてきたものもいたと聞いた。

そういった意味でもベリルを保護するのは適切だと思う。

皆が皆、ユキみたいに強い精霊とも限らんしな。

ユキなんてまだ全力を出してないとか言うし、こんな危険なもんに歯向かうとかまずあり得ない。


「ベリル、お前が探している人はどんなヤツ何だ?」

「すみません、全く覚えてないんです」

「様子とか雰囲気も覚えてないのか」

「それならどうにか。とても優しい人だったとは覚えています」


優しい人っていう特徴じゃ分からんな。

優しいなんて人それぞれだし。


「あの、少しいいですか?」


リリが聞いてくる。


「私自身、ここまで高位の精霊を見るのは初めてなんですが、あなたも霊力の回復には食事を取るのですか」

「はい、普通の食事を食べれば霊力は回復すると教えてもらいました」

「誰に?」

「分かりません。ただ、そういうものだと教えてもらいました」


俺が尋ねても本当に分からないと言った様子ですまなそうにする。


「というか、こいつらは高位の精霊なのか?」

「そうですよ。精霊は微精霊、準精霊、精霊がいるのですが、完全な人型を取れるのは高位の精霊だけなんです。それにー、い、いえ、なんでもありません」

「へぇー、そうなんだ」

「おい、途中で話をやめるなよ」


リリは途中で話を止めてしまう。

というかリアお前は知っていなくちゃダメなんじゃないか。

リアを見るとやっぱり変態の娘なんだなと思う。

リアはちょっとおつむがあれだ。


「えっと、その、人型を取れる高位の精霊にまでなると、子供も作れるんです」


すごいな。

俺の想像していた精霊ってものからどんどん離れるぞ。


「ということはユキたちは成長しているのか?」

「そうだよー」

「はい、しています」

「成長スピードは?」

「おなじー」

「人と同じだと思います。けど、私たちは肉体が成長しきった後は老いることもありません。精霊としての寿命に達するまでは死ねません」

「寿命は?」

「わかんない」

「そこは少し分かりません。百年かもしれませんし、千年かもしれません」


ユキたちに質問を答えてもらっているが、べリルが本当にまともで助かる。

ユキは駄目だ。

幼女なだけあって思考も幼女だ。

ということはいずれユキもべリルのように綺麗になるのだろうか。


「ユキね、おおきくなったらますたーとこどもつくるー」

「幼女が言うと犯罪の匂いしかしないから言うな」


べリルは顔を赤くしているし、リアとリリは微妙な顔しているし。


「優斗君、ユキちゃんには手を出さないでね」

「誰が出すか」


リアもふざけないでほしい。


「とりあえず、飯作るか」

「そうですね」


その後リアとリリに手伝ってもらいながら飯を作る。

べリルはとてもおいしいと喜んでくれたし、お菓子もえらく気に入ってくれた。

母親と変態が帰ってきたので事情を話す。

今日は魔法学校の方で卒業式に関する保護者への説明があったので、母親と変態は出かけていた。


「あら~、そういうことなら別にいいわよ~。記憶がないんじゃ大変ね」

「俺は反対だ。ただでさえ、1匹でも迷惑なもんが2匹になるんだぞ。お前もしも時は責任取れんのか」

「貴様では無理でも俺なら止められる」


『断罪』を放てばいける。

代わりに死ぬけどな。


「お父さんお願いだよ」

「パパ、私からも」

「クソッ、勝手にしろ」


リアとリリの援護射撃もあって変態はそう捨て台詞を残すと自分の部屋に引きこもった。


「べリル、金は持ってなかったんだよな。なら、俺が代わりにお前の宿泊費を出す」

「そんな悪いですよ」

「いや、別にそれくらい構わない」

「なら~、べリルちゃんはこの宿の掃除や洗濯をお願いできる~。代わりに宿泊費はいらないから~」

「そういうことならいいか」

「分かりました」


べリルの宿泊もなんとかなったし、とりあえずは大丈夫そうだな。


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