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精霊魔法

俺とユキはコボルト討伐に来たが俺は一匹も狩ることができなかった。

なぜなら


「ますたーをたすけるー」


などとユキがコボルトと戦っている俺に言うとコボルトめがけて魔法を放つから俺自身が討伐することができない。


EXP108

レベル43になりました。


ユキと契約したためかユキが倒しても経験値が入るからまだいいが、技能が見につかない。

もう諦めて精霊魔法とやらを練習してみるか。


「ユキ、俺が今度は精霊魔法を使ってみるからおとなしくしていてくれ」

「わかったー。でも、ますたー、できるー?」

「分からん」

「わたしがまほうのおてつだいしてもいいー?」

「できるのか」

「うんー」


そう言うとユキは俺の肩にのり、その小さな体で俺の頭抱く。

すると、俺の周りにまるで小さな微粒子が漂っているのがわかる。


「すごいー、ますたーびせいれいからもてもてー」

「微精霊?」

「うん、わたしよりもずっとよわいけどたくさんいるんだよー」

「そうか」


集中していくと頭の中に魔法を唱えるための祝詞が組みあがっていくのが分かる。

これすごい集中しないとできないうえ、かなり祝詞が長く難しい。

一番簡単で、力の弱いやつ打ってみよう。


「『我、大地の精霊と契約する裁定者が願う。我を拒むあらゆるものを破壊し、我を導き給え。我がなすその力を示せ』」


俺は試しにこちらに全く気付いていないコボルトめがけて放ってみる。


「『雷光』」


俺の手から放たれた白い雷がコボルト達を襲う


「「「「「キャイイイイイイイイイイイイイン」」」」」


とんでもない爆発が起こった。

おい、ここは洞窟なんだぞ。

辛うじて崩落は防げたが、コボルト達の死体は消え去ってしまった。


EXP109

EXP105

EXP110

EXP130

EXP102



精霊魔法強すぎだろ。

よく見てみるとMPが全くない。

一発しか打てないとか。

これよく考えて撃たないとまずいぞ。


「ますたー、すごーい。まわりのびせいれいのちからをあれだけかりられるなんて、やっぱりますたーせいれいまほうのさいのうあるー」


才能あってもな。

一発しか打てないのならあんまり意味ない。

結局コボルトから核石を取り出すことはできなかったが、ギルドカードがクエスト達成となる。ドロップアイテムもさっきので大量に入手できた。

その後、場所を草原に変えもMPが回復するのを待ってから精霊魔法の練習をした。

特に魔物にあてるわけではないので核石も取り出せないし、ドロップアイテムが手に入るわけではないが何回も練習しているとユキの補助なしでもできるようになった。

相変わらず、祝詞がすごく長く戦闘では使用しづらいが技についてもだいぶ分かった。

種類は4つで、MP使用量も変わる。


『雷光』:今の俺がすべてのMPを消費すると打てる。

『雷鳴』:『雷光』の次に打てる。まだ、MPが足りない

『雷激』:『雷鳴』の次に打てる。MPがほとんど足りない。

『雷神』:『雷激』の次に打てる。MPが全く足りない。





ギルドに報酬とドロップアイテムを売りに戻ると何やら空気が重い。


「フェルミナ、買い取りを頼む」

「はい」


なぜかフェルミナの声が暗い。

よく見れば周りの受付嬢も表情が暗い。

さっき暴れたからかもしれん。

今度はもう少し穏便にいこう。


「フェルミナ、行く前に言ったがこいつを紹介しよう」

ユキを抱える。


「ユキさっきここに戻りながら説明したよな」

「うー、わかった」


ユキには俺が自己紹介をしろという相手にはきちんと名前を言い、話すようにしっかり伝えた。

もし、俺の前で俺の信頼する人にそんな態度を取ったらユキにはもうお菓子を作らないと言ったら泣きながらそんなことはしないと言った。

というか、お菓子ぐらいで泣くか普通。


「ますたーのけいやくせいれいのユキ」

「というわけで、こいつは精霊なんだ。人間があんまり好きじゃないが、優しくしてほしい」

「せ、精霊ですか。私も初めてみました。はい、わかりました。よろしくね、ユキちゃん」


フェルミナは若干暗いようだったが笑顔でユキに接してくれた。


「おまえ、ますたーとろうとしている。ますたーはわたさない」


ユキはフェルミナをじっと見つめた後そう言い放つと俺にしがみつく。

まぁ、リアやリリにも同じ対応したし、大丈夫か。

ん?

同じ?

なんでフェルミナにも同じ対応をするんだ。


「君がクリハラ君?」


そう俺が思考しようとすると後ろから声をかけられた。

フェルミナは顔が青くなっている。

振り返ると紫色の髪の少女が立っていた。

ギルドの服を着ているから受付嬢なんだろう。


「そうだが」

「僕はここのギルドの所長、シルヴィア・リリィー」


ああ、そういうことか。

さっきの俺の行動を注意しに来たのか。

だから、フェルミナも顔を青くしたんだな。


「俺は剣を向けられそれに対して対応したまでだ。文句があるならさっき俺が縛り上げた奴に言え」

「違う違う。あんなクエストもまともにこなせない奴らのことでいちいちこっちは問題にしないよ。それよりも問題なのはこれだ」


違うのか、それよりも俺の作ったアップルパイを手に持っている。


「アップルパイに何か入っていたのか?注意をして作ったはずだが」

「いやいや、これはとてもおいしかったよ。僕が驚くくらいにね」


それはどうも


「実はね、ここからが本題なんだ。今まで君の担当受付嬢含めてこのギルド一階受付嬢たちは君が作ったお菓子の存在を秘匿にしていたんだ」

「それがなにかまずいのか」

「受付嬢はなにがあっても冒険者から個人的に物を受け取ってはいけないとギルド規則に書かれているんだよ」

「なるほど。賄賂とかでクエスト達成していないのに虚偽の報告をしたり、報酬を一部上乗せするのを防ぐためか」

「そうだよ」


そういうことならもうお菓子を作ってやることはできんな。


「分かった。なら、作ってはこない」

「いやいや、君にはぜひ作ってほしんだ」


はい?こいつ何を言っている?

さっき自分でも言ったこと忘れているのか


「僕の家はこうみえてお金持ちで、多くのシェフの料理を食べてきたのだけれどこのアップルパイよりもおいしいものを食べたことがない」


こいつは何が言いたいんだ


「僕が心配しているのは君のことなんだ。君がたとえ正当にクエストをこなしていても彼女たちが僕に虚偽の申告をしていたとなったら、君が罰則を受けることになるからね。」

「具体的な罰則は?」

「もう一度ランクFになることかな。でも、僕も君のお菓子を気にいっちゃってね。ぜひともまた食べたいんだ。だから―」

「なら、Fにしてくれて構わない」

「えっ?」

「また、お菓子を作って渡して偉いヤツにとやかく言われて先に進めなくなるのも面倒だ。それに俺だけ例外を作ったら俺のようにして受付嬢に媚びを売りかねない。それになによりも俺は自分の作った菓子をそんなふうに扱われるのが嫌いなんだよ。だから、もう作ってこない」


要はなかったことにしてやるからお菓子を作ってこいなんてのは俺のポリシーに反する。

確かに、お菓子を作れ作れと言われると、めんどくさいと思うことはあっても作るのが嫌いになったことは一度もない。

それをこいつは俺をお菓子で救ってやるから作れだなんてふざけるなよ。

フェルミナ達には悪いが、最悪ギルドの外で渡してやればいいだけだ。


「そ、そんなの困るよ」

いきなり大声出してどうしたんだこいつは


「君は、いや、君のアップルパイは芸術だ」

こいつ頭でもいったか


「こんなおいしいものを食べたらまた食べたいに決まっているじゃないか。しかも、彼女たちにはクッキーやドーナツ、チーズケーキにショートケーキなるものを作っていたらしいじゃないか。僕も食べたいんだよー」


俺に泣きついてくる。


「お前、さっき自分で賄賂は駄目だって言っていただろうが」

「それはそれこれはこれだよー。お願い、僕にも食べさせてー」


捨てられた子犬みたいに目をうるうるさせたって―というか、フェルミナ達もそんな目で見んな。


「君と君のお菓子をそのように扱ったことは謝る。だから、僕にも作ってよー」


それにと続ける。


「僕よりも偉い人なんて僕の父さんくらいだよ。ちゃんと説得するから、お願いだから作ってきて」

「ああもう、面倒くさい。分かったよ、作ればいいんだろ、作れば。ただ、俺みたいなやつがいるかもしれないから気を付けるよう周知しとけよ」

「う゛ん」

「それと二度と建前なんか立てるな。お菓子が食いたいなら食いたいと素直に言え。最悪、ギルドの外で渡してやるから」

「あ゛りがとう」


そんなお菓子ごときでマジ泣きするなよ

シルヴィアは俺に手を合わせる。

拝むな。

それからフェルミナからクエスト報酬とドロップアイテムの買取金額をもらう。

なんか魔物戦うよりも疲れた。

所長が明日楽しみに待っているよとかほざいたときは持ってくるのをやめようかと思った。


栗原優斗

裁定者

レベル43

HP 4800

MP 5800


技能スキル

ミュート

加速

感知


固有スキル

解放


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