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EX.1

前に作っていたもので少し付け足したので投稿します。

本編とは関係ありません。

話の内容は幻人族地域に向かう前です。

「第一回、ギルドお菓子パーティー!!!」

「「「「「イエーイ!」」」」」


シルヴィアのかけ声と共にギルドの職員、冒険者達が拳を天に突き上げ、ただでさえ騒がしいギルド内がさらにうるさくなる。


「何が第一回だ!もう2度とやらん」

「まあまあ優斗君落ち着いて。せっかくこんなに来てくれたんだし、皆と楽しもうよ」

「でもなぁ、たかが菓子程度でこれだけ盛り上がるとかこいつら頭がイっているんじゃないか?」

「優斗君のお菓子がそれだけ美味しいってことだよ」


一気にテンションが下がってくる俺をリアが何とかなだめてくれる。

今、ギルド一階では数々の菓子が並べられ飲み物を片手に様々なパーティーが集まって談笑しながら情報交換を行っている。

俺はため息をつきながらことの発端を思い出す。



「最近、ギルドの中でパーティー同士の喧嘩が増えてきてね。困っているんだ」

「それを俺達に言ってどうしろと。そういうのを防ぐのはシルヴィア、お前の仕事だろ」


俺達がギルド内で食事を取っているとシルヴィアが俺達のもとまでやってきて唐突に話始めた


「だから、僕としてはそういう状況を改善しようとこうしてユウトのもとまで来たわけだ」

「争う冒険者共から片っ端から制裁を与えろということならできるぞ」

「ますたーやるのー?」

「そうだな。久しぶりにるか」

「やっちゃダメだよ、優斗くん!」


俺とユキのテンションが上がったところでリアからストップがかかる。


「僕もさすがにそれは止めて欲しいな」

「なら、私達に何を頼むつもりなのですか?」

「実はこのギルド内で親睦会をしようと思ってね。ユウトたちにはその準備の手伝いをして欲しいんだ」


リリの質問にシルヴィアが答える。


「断る。面倒」

「さすが僕のフィアンセだね。ユウトならそう言うと思って手伝ってくれたら報酬をきちんと出すからどうかお願いできないかい?」

「手伝ったらいくら出るんだ?」

「金貨10枚程度は出すつもりだよ」

「金貨10枚だと!?」


クソガキのせいで剣も破損したのでその修理費などユキの救出の後に色々と金を使った。

何よりもバークレーを出ていったので、宿泊費がバカにならない。

下手な安い宿だとまたユキが拐われたりリアやリリ、ベリルに変な虫がつきまとったりするかもしれないのでそれなりにセキュリティの高い宿を取ることになってしまう。

そうするとクエストで得た報酬と魔物の核石やドロップアイテムの買取り金額で相殺されてしまい、貯金が思うように貯まらない。

しかも、リアたちもレベルが上がっているからいずれ装備品を新調しないといけなくなるので金が必要だ。

だからこそ、今回の金貨10枚という大金が一気に手に入れば金に大分余裕ができる。


「手伝いとは具体的には何なのですか?」

「ユウトたちにはお菓子をたくさん作って欲しいだけなんだ」


ベリルが俺の聞きたいことを先にシルヴィアに聞いてくれる。


「菓子か」

「そう。親睦会はあくまで明るく楽しくしたいんだ。酒を飲み合うようなモノにはしたくないんだ」

「シルヴィアが食いたいだけじゃないのか?」

「もちろん、それもあるけどね。でも、ユウトにとっても他のパーティーから情報収集するうえでは親睦会を開くだけでも結構意味があるものだと思うけど」

「確かにな」

「ますたーのおかしたべられるのー?」

「そうだよ」


ユキの質問にシルヴィアが答える。

シルヴィアの言葉を聞いてユキの目も輝いている。


「リアたちはどう思う?」

「私は良いと思うよ」

「私も良いと思います」

「ご主人様のお菓子ならきっと喜ばれると思います」


リアたちも親睦会の手伝いに賛成の方向だ。


「ユウト、お願い」


シルヴィアが俺の手を取るとウインクして頼んでくる。


「分かった。作るだけで金貨10枚以上くれるならやってみるか」


そして言ってから後悔した。

前日から大量の菓子を作るということがどれほどきついものだったか。

せいぜい親睦会なんて数十人程度でやるものだと思っていたらシルヴィアがギルド全体でやるからと言ったせいで参加人数が数百人まで増えた。

おかげで大量の菓子を作る羽目になった。

リアたちも手伝うと言ってくれたのだが、作り方も教えていなかったのであまり助けにはならなかった。

このままではリアたちの時間も惜しいので魔物退治に俺抜きで行ってもらったが。

そうしてほぼ全てが終わった後、俺は魔物と戦った時よりひどく疲れた。


「お、優斗じゃないか」

「ケイン、お前たちもこの頭がイっている催しに参加していたのか」


振り返るとケインたちのパーティーがこちらにやってきた。


「頭がイっているって。優斗たちがギルド長と一緒に開いた訳じゃないのか?」

「俺たちはシルヴィアに良いように使われてしまっただけだ」

「そうなのか。でも、俺としてもこういう催しを開いてくれたことに礼を言いたい。最近はずっと戦ってばっかだったしな」

「確かに俺達も最近は戦ってばっかだった」


少しはこういうふうに息抜きも必要なのかもしれない。

ケインと最近どうだったとか、魔物や魔獣についての情報も教えてもらった。

ケインたちのパーティーはランクがAになっているので俺達よりも多くの経験がある。

リアたちもケインの女メンバーと話している。

聞耳を立てていると俺との関係はどうなのかとか逆にケインとはどうですかとか恋愛話に花を咲かせていた。


「ケイン、お前も少しは周りのことを見てみたらどうだ?案外、近くでお前のことを考えてくれている人がいるかもしれないぞ」

「いきなり何を言っているんだ?」


ケインは相変わらず朴念仁のままだな。

ケインのパーティーの女たちも肩を落とす。

ケインが女たちの気持ちに嫌でも気付くようにリアたちによるバックアップでもしてもらうかな。


「優斗君、偉そうにしているけど優斗君も時々鈍感なところあるからあんまり言わない方がいいよ」

「そうなのか?」

「そうだよ」


リアが俺達の会話に混ざり話をしてゆく。

途中、どこかの冒険者共がリアたちにナンパをしていたのを見かけたので縛り上げて張り付けにしてやった。


「美味しかったね」

「それは良かった。皆も美味しかったか?」


パーティーが無事終わり、俺たちは宿へと帰る。

リアはとても幸せそうで良かった。

リリたちにも尋ねると


「はい。とても美味しかったです」

「ますたーまたつくってー!」

「ご主人様のお菓子は本当に素晴らしいものです」


喜んでくれている。


「また作るのは勘弁だ。けど……こういうのも悪くないな」


鬼畜なくらい働かされたが、なんかとても充実した。

それに加えてリアたちが喜んでくれたのならやって良かったかもしれない。


「ただ、今回はとても疲れた。しばらくは菓子を作るのは止めよう」

「いやー!ますたーのおかしたべたい!」

「うるせぇ!もう腕がつりそうなくらい痛いんだよ!」

「それでもたべたい、たべたいー!」


ユキは我が儘を言い続ける。


「優斗君、私も手伝うから作ってあげない?」

「はぁ、仕方ない。夕飯のデザートで作るからそれで我慢しろよ」

「やったー!ますたーだいすき!」


ため息をついていると、ユキが抱きつく。


「ますたーだっこー」


本当に嬉しそうにしていると下手に断るのも可哀想なってきてしまった。

俺も親バカだなぁ~。

ユキを抱き上げて今日の泊まる宿へと帰る。

今回の規模だと絶対にしないが、規模が小さいパーティーならまた作ってやるのも良いかなと思いながら歩いていった。

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