クライ、クライ、クライ、ミライ
今日も、楽しい一日が続いて行くって、思ってた。
でもそんなの、自分勝手な妄想なんだって、思い出した。
親友の華が死んだ。
君川 華、クラスでは人気がある女子。
成績優秀、少々運動オンチ、モデル並みのスタイル、可愛い顔と声、時々見せる、幼さの残る言動。
ほとんどクラスのマスコットキャラ状態だった。
ハナとは小学校からの付き合いで、中学3年まで、違うクラスになった事は無かったし、私はそれが嬉しかった。
高校も同じ所に受かったけれど、合格発表の日、ハナは風邪を引いて休んでしまった。
『合格だったよ』って教えてあげたら、喜んでくれた。
だけど私は、ハナの笑顔が、とても辛いものに見えた。
高校が始まって一カ月、ハナが辛そうなのは変わらなくて、私は、思い切って訊いてしまった。
『何か、悩みでもあるの?』って。
私は、ハナに自分の気持ちを打ち明けた。
ハナは、私にだけ、秘密を打ち明けてくれた。
『夢を見るの。暗い、黒い部屋の中で、泣いてるの。助けて、助けてって。窓があるのに、窓の外も真っ暗で、全く同じ所をぐるぐる回って、抜け出せなくなって、目が醒めて、あそこが私の部屋だったって気付いて、また泣いちゃうの。それが、一カ月も続いてて・・・』
ハナは、泣き出していた。何人かが、こっちを見ていた。
その日の帰りに、ハナは言った。
『聞いてくれて、ありがとう』
それは、心の底からの言葉なんだって、私は思った。
『私も。教えてくれて、ありがとう』
私はそう返した。
翌日、祝日だから、学校は無い。
その日の朝、ハナが私の家に来た。来ようとした。
ハナは、私の家の前で、車に轢かれて死んだ。
原因は通話。電話をしながら運転していて、注意が散漫になっていたらしい。
葬儀は直ぐに執り行われた。
私は、親友を亡くしたショックで、しばらくの間、引き篭もってしまった。
徐々に立ち直り、学校にも復帰できそうになった頃、夢の中にハナが出てきた。
ハナは泣いていた。『ごめんなさい、ごめんなさい』って。
その直後、私は真っ暗な部屋にいた。
私は泣いている。
・・・『誰か、助けて』
その後、私は学校で、『元気な女の子』を演じ続けた。
『真っ暗な部屋』を、心の中に隠しながら。
〜fin〜
暗い、cry、喰らい、未来