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クライ、クライ、クライ、ミライ

作者: 014の悲劇

 

 今日も、楽しい一日が続いて行くって、思ってた。


 でもそんなの、自分勝手な妄想なんだって、思い出した。


 親友の(ハナ)が死んだ。


 君川 華(キミカワ ハナ)、クラスでは人気がある女子。


 成績優秀、少々運動オンチ、モデル並みのスタイル、可愛い顔と声、時々見せる、幼さの残る言動。


 ほとんどクラスのマスコットキャラ状態だった。


 ハナとは小学校からの付き合いで、中学3年まで、違うクラスになった事は無かったし、私はそれが嬉しかった。


 高校も同じ所に受かったけれど、合格発表の日、ハナは風邪を引いて休んでしまった。


『合格だったよ』って教えてあげたら、喜んでくれた。


 だけど私は、ハナの笑顔が、とても辛いものに見えた。


 高校が始まって一カ月、ハナが辛そうなのは変わらなくて、私は、思い切って訊いてしまった。


『何か、悩みでもあるの?』って。


 私は、ハナに自分の気持ちを打ち明けた。


 ハナは、私にだけ、秘密を打ち明けてくれた。


『夢を見るの。暗い、黒い部屋の中で、泣いてるの。助けて、助けてって。窓があるのに、窓の外も真っ暗で、全く同じ所をぐるぐる回って、抜け出せなくなって、目が醒めて、あそこが私の部屋だったって気付いて、また泣いちゃうの。それが、一カ月も続いてて・・・』


 ハナは、泣き出していた。何人かが、こっちを見ていた。


 その日の帰りに、ハナは言った。


『聞いてくれて、ありがとう』


 それは、心の底からの言葉なんだって、私は思った。


『私も。教えてくれて、ありがとう』


 私はそう返した。



 翌日、祝日だから、学校は無い。


 その日の朝、ハナが私の家に来た。来ようとした。


 ハナは、私の家の前で、車に轢かれて死んだ。


 原因は通話。電話をしながら運転していて、注意が散漫になっていたらしい。


 葬儀は直ぐに執り行われた。


 私は、親友を亡くしたショックで、しばらくの間、引き篭もってしまった。


 徐々に立ち直り、学校にも復帰できそうになった頃、夢の中にハナが出てきた。


 ハナは泣いていた。『ごめんなさい、ごめんなさい』って。


 その直後、私は真っ暗な部屋にいた。


 私は泣いている。


 ・・・『誰か、助けて』




 その後、私は学校で、『元気な女の子』を演じ続けた。


『真っ暗な部屋』を、心の中に隠しながら。



 〜fin〜






暗い、cry、喰らい、未来

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