ウィルとの修行 1
今回から修行編です!
物凄い破裂音とともに壁に穴が空いた。
賢王ことウィル・カーターは信じられない顔をしている。
いくら魔王だからと言ってアランは三歳だ。
ウィルにとって、あんな強力な魔法が生まれて初めて使えるなんて聞いたことがない。
ウィルは思った。
自分はとんでもない少年を育てようとしているんじゃないかのかと。
とまぁ、ふとアランに目をやると魔力欠乏を起こして倒れていたので、ウィルはアランを抱え彼の部屋のベットに寝かせると、また穴が空いた壁がある庭に戻った。
「それにしても、3歳でこんな魔法使えるとはな。初級水魔法なのにどう考えても中級魔法ぐらいの威力が出てるじゃないか、俺でもウォーターボールを本気で使ってもあの大きさを打ち出すほどの才能は持ってないのにな。本当に才能の差を感じて嫌になるぜ。まぁ、そんなことよりも壁を直さないとな。エイダに怒られる。」
と言うとウィルは杖をかざし土魔法でかなり硬い石を作りそれを壁穴に入れていき、はみ出てる部分は風魔法で削っていくとあっという間に元どおりとなった。
「まぁ、こんなもんか。」
ウィルがそんなことをしているうちに、エイダとハンスが買い物から帰ってきた。
「ただいま〜。アラン〜、ウィル〜市場の方で昼ごはん買ってきたから早速食べるわよー。」
「あぁ、エイダおかえり。アランはちょっと魔法の練習をして、魔力欠乏で倒れたんだ。二階で寝かしている。」
するとエイダは少し心配そうな顔をしたがすぐに嬉しそうな顔をした。
「え?!もう、魔法が使えるようになったの?うわー、すごいわ! やっぱり私の息子は天才なのね!」
ウィルはまた始まったと思いエイダの演説を無視し、そそくさ昼飯を食べ始めるのであった。
【アラン視点】
俺が目覚めたのは次の日の早朝、まだみんなは寝静まっている。
「あー、腹減った。」
何か、体がかなり重かったが空腹に耐えられなくなり一階に降りた。
家の床下を開けると、幾分か食料があったので自分で飯を作ることにした。
こう見えても俺は高校時代、両親が共働きなのでいつも夕飯を作っていたので、並の主婦よりも料理が上手い。
俺は味噌もどき、この世界の野菜、豚みたいな味がする肉を使い豚汁を作ることにした。
台所まで背が届かないので椅子を使って野菜を切る。
トントントンっ、トントントンっ。
我ながら腕は鈍っていない。
体が小さいので、切りにくいがまぁなんとかなる。
「アラン?何してるの?って包丁なんて持って危ないじゃないの!」
「うわっ!」
どうやら、エイダの奴が野菜の切る音で起きたようだ。
ヤバイと思ったが冷静に言い訳を考える。
「いや、母さん。この前見つけた料理本にね美味しそうなスープの作り方が載ってたから、作りたくなったんだよ。はははっ。」
「はははってあなたはセナですか? 本当に包丁は危ないのよ、しかも上手く野菜なんて切れないでしょってあれ? 私より上手く切れてる・・・・。」
エイダは不思議そうな顔をして切られている野菜を見つめている。
「あ、あれだよ母さん。実はこの前からね
、こっそり野菜を切る練習をしていたんだよ!」
「あ、そうなの? 通りで上手いわけなのねって言っても上手すぎる気がするのだけれど、まぁこの際どうでもいいわ。でも、包丁は危ないから次から使うときは私に一言お願いね。それにしても、上手よねぇ。今度手伝ってもらおうかしら。」
「分かったよ母さん、今度手伝います。あと、朝ごはんは僕が作るね。」
「そう? それじゃあ、私はもうちょっと寝ようかしら火には気をつけるのよ。」
はぁ、かなり怪しまれたな。
今度から気をつけよう。
豚汁が完成したので、早速食べてみる。
この日本を思い出す味、すばらしい!
ホームシックになりそうだ!
その後、起きてきた皆んなにご馳走すると、ウィルからはどこの料理だと聞かれ、どっかの地方の郷土料理だと答え、他のみんなからはなかなか好評だった。
今度はハンバーグでも作ろう。
昼からはウィルとの魔法特訓だ。
昨日のことは正直あまり覚えていない。
壁をぶっ壊したのかどうかも疑問だ。
ウィルの話では俺の魔法は強力だが、まだまだ若いので魔力が少ないようなので今日からは魔力総量を上げるために、水を空中に浮かべ続けるという作業を毎日倒れる手前までやれと言われた。
すると、ウィルにこんなことを言われた。
「お前ちょっと無詠唱で昨日の魔法の水の玉出るかやってみろ。イメージが大事だならな、昨日のことをギリギリまで思い出してみろ。」
俺はできるだけ昨日のことを思い出し手をかかげ水の玉が出るイメージを想像する。
すると、バスケットボールぐらいの球が現れた。
「ウィルさん! でしましたよ! やった! 案外簡単なんですね! はははっ!」
「お、おう。よ、良かったじゃねーか。俺なんてぇぇ....ゴニョゴニョゴニョ。」
最後の方は何て言ってるのか分からなかっが、まぁ気にしないでおこう。
それから一年間俺はただ水の球を空中に浮かべることを気絶寸前まで続けた。
次も修行編です!