王都と新しい家族
二章開幕です
今日の朝食はフレンチトーストだ。
フレンチトーストは実母が大好きであったので良く作ったものだ。
エイダもフレンチトーストはお気に入りのようで満面の笑み食事を堪能している。
まぁ、今はそんなことは置いといて俺は話を切り出す。
「あの父さん、母さん、僕王都に行こうと思うんだけど。」
「王都?アランは学校に行かないんだと思っていたわ。それならお金が必要ね。」
「いや、母さん違うんだ。学校には行くつもりはないよ。ただ王都というのがどんなところなのか知りたいと思ってね。色々経験をしたくて行きたいんだ。あと、ウィルにも会いたいしね。」
「なるほどね。それじゃあ、お義父さんの家にアランを置いてもらうのが良いんじゃないかな?」
「そうね、父さんならアランのことを歓迎してくれるでしょうね。事前に手紙を書いておかなくっちゃ。」
「え?母さんの父さん?ってことはお祖父ちゃん?」
「あーアランには言ってなかったわね。ちょっと説明するわね。」
それからエイダが俺のお祖父さんの説明をしてくれた。
どうやら俺のお祖父ちゃんの名前はロバート・セシル、セシル家というのはそこそこの貴族らしい。
エイダには1人の兄と2人の妹がいるらしい。
エイダはセナと結婚するときに外で二人きりで過ごしたいと言い出し今に至るという。
決して結婚に反対されて夜逃げしたとかではないらしい。
その時にロバートはエイダを心配して執事でエイダの世話係だったハンスを連れて行くようにと命令したようだ。
ちなみにエイダは俺が生まれたことをロバートに報告するのを忘れていたらしい。
この8年間親に連絡ぐらいしてやれよ。
とまぁ、そんな感じでエイダはロバートの元にアランをうちに暫くの間置いてやってほしいと手紙を送った。
それから数日して手紙が帰ってきた。
手紙の内容は何故8年の間孫が生まれたことを言わなかったのかと半ギレだったこと、1週間後に向かいを寄越すとのことだった。
エイダたちに魔法を使って一人で行くと言ったのだが、迎えをよこしているので勝手に行くのは失礼だと言われて仕方なく迎えを待つことにした。
一週間の間に俺は村の人達に少しの間王都に行ってきますなどと挨拶回りを済ました。
アリスもまた俺と王都でも会えると聞いて嬉しそうにしていた。
1週間がたち馬車に乗って迎えがやってきた。
迎えに来たのは1人の男性と1人の女性で年齢は20半ばぐらいだろうか二人共猫耳を生やした獣族であった。
どうやら2人はハンスの下で元々働いていたらしく、ハンスに頭を下げまくっていた。
もちろんエイダにもだ。
男性の方の名前はヤム、茶髪の短髪である。
女性の方の名前はララ、緑の短髪でかなりの弾力ある2つの山を所持していらっしゃる。
2人はどうやらセシル家の従者で、これから俺の面倒を見てくれるらしい。
2人はセシル家の奴隷のようで、それが理由で苗字はないらしい。
それから俺は用意しておいた荷物を馬車に入れ、腰にウィルからもらった魔法剣カミルを携える。
「それでは、母さん、父さん、ハンスさん行ってまいります。」
「それじゃあアラン!少しの間だけど色々楽しんできなさい!」
「アラン、王都の女の子が可愛いからって目がいくとアリスちゃんに怒ららるぞ〜」
「アラン坊ちゃん、お身体にはお気をつけを。行ってらっしゃいませ。」
俺はセナの発言にはスルーし馬車に乗り込み王都に向かった。
馬車はヤムが馬を操り、俺とララは馬車の中で待機する。
馬車が進み出すとララが俺に話しかけてきた。
「アラン様、改めて初めましてララと申します。ハンス様からは優秀な方だとお聞きしております。これから私とヤムでアラン様のお世話をするのでよろしくお願いします。」
「はい、色々お手を煩わせると思いますがよろしくお願いします。」
「そんな、アラン様私共に敬語などおやめ下さい。」
「いやでも俺よりも年上の方だし。」
「いけません!それでは我々の面目も立ちませんのでどうか敬語はやめて下さい。」
「そ、そうかい?それじゃあララこれからよろしく頼むよ。あとヤムも。」
ヤムは静かにこちらを向きハイと首を下に降り馬の手綱を握り直す。
「申し訳ありません、アラン様。ヤムは昔から人見知りなもので。」
「いや、そんなこと全然気にしないよ。」
なるほど、人見知りなのか。
俺も向こうの世界では人見知りだったからなぁ、その気持ち凄くわかるぞ!
俺はそう思いながらずっとヤムの背中を叩いていた。
ヤムのやつはこっちを見ながらずっと俺に対してビビっていたがそんなの気にしない。
王都に着くまで2日かかるらしい。
2日の間道中、魔物などもいたが俺とヤムで撃退した。
ヤムのやつは中級職の剣士で弱くもなく、強くもなくって感じだ。
そんなこともあり、ヤムとも中々の打ち解けたと思う。
ヤムも今では俺に対して普通に接することができる。
そして今俺は王都の門の目の前にいる。
街の周りは魔物の侵入を防ぐために高さ10数メートルの城壁で守られており、その上には国の兵士が国衛に励んでいる。
王都の大きさはかなりの大きさで門は北門、東門、南門、西門の4からなる。
中央には王様の住む城が存在しており、その周りに街が形成されているらしい。
俺たちはロバートの屋敷が東門から一番近いらしいので東門から入る。
そこは商業区らしく町の人々が買い物に来ており、かなりの盛り上がりを見せている。
少し見てみたいと思ったが、今は屋敷に行くのが先なのでその場を後にする。
東門から馬車で移動して10分ぐらいだろうか、そこでかなりデカイ屋敷を目にする。
まぁ、流石にいくら俺が貴族だからって言ってあの屋敷はないよね。
俺のそんな思惑とは裏腹に馬車はその屋敷の敷地へと入っていく。
「え?ララ。もしかしてもしかするとあの屋敷がお祖父さんの屋敷だったりするの?」
「もしかしてもなにもあの屋敷がロバート様のお屋敷ですよ。」
流石に驚いた。
幾ら何でもデカすぎる。
道中他の貴族の家も目にしたがこの家はその他の家よりも5倍ぐらいでかい。
もしかしてすごい貴族なのか。
俺は胸の高鳴りを感じながら馬車を降り屋敷の扉の前にララと共に並んだ。
ヤムのやつは馬車を片付けておくので先に行ってくれと言われた。
ララが扉を開け俺がその中を入る。
「「「「いらっしゃいませ!アラン様!」」」」
そう言ったのは屋敷の玄関の前で並ぶ総勢20人ほどはいるであろうメイドで全員が全員猫耳を携えた獣人であった。
どうやら、ロバート祖父さんは大の獣人好きなんだな。
それからララに案内がされるがままに屋敷の中に入っていき、しばらくしてまあまあの大きさの部屋へ入り座らされた。
しばらく待つように言われ、運ばれてきた紅茶を今は飲んでいる。
しばらく待つとドンッ!と扉を開ける音がし俺はビックリして紅茶を吐いた。
紅茶を服の袖で拭きながら、扉の方を見ると2メートルは超えるであろう背丈を持つ白髪の目つきがかなり悪い老人が立っていた。
何だこの人。
老人は周りをキョロキョロと見渡している。
そして俺と目が合うと一目散に俺の方へ近づいてきた。
え?何?怖いよ。
俺が何かした?え?
「お前がアランか!」
え?何?殺されるの俺?
「そうです。旦那さま、その方がアラン様であられます。」
ちょっとララ何で俺のこと売ってるの?
ちょっと!
って待てよ今旦那様って言わなかったか?
っと思っていると俺は大男に体を掴まれ顔をスリスリされた。
「そうか!そうか!お前さんがアランか!エイダに似て可愛いのぉ!」
ちょっと待てあれか。
この人が俺のお祖父さんのロバートか。
どんだけ厳ついんだよ!
もっと温厚な人想像してたわ!
ってか何で老人に頬をスリスリされないといけないんだよ!
外見は8歳でも精神年齢もう26だからね!
「あなた!アランが困ってるでしょ!いい加減にやめなさい!」
「そ、そうか。すまんのアラン。」
そう言われるとロバートは俺の向かいのせいに座る。
その横に先ほどロバートを怒鳴った赤髪ロングの優しそうな顔つきの50代ぐらいの女性が座る。
この赤髪間違いない、エイダの母親、つまり俺の祖母だろう。
「お初にお目にかかりますね。お祖父様、お祖母様、エイダ・ブルーナが息子アランと申します。」
俺はそう言いながら日本のお辞儀を繰り出す。
2人は俺の方を見ながら目が点になっていた。
あれ?
日本のお辞儀ってこっちじゃ通じないの?
「ま、まぁエイダの息子とは思えないわ。何て礼儀正しい男の子なんでしょう。私達も鼻が高いわねあなた。」
「そ、そうじゃの、流石わしの孫だ!はっはっはっ!」
どうやら杞憂だったらしい、俺が礼儀正しいのを見て驚いたようだ。
どんだけ礼儀できてなかったんだエイダ。
それから、祖母と祖父と会話を交えた。
エイダのことを話すととても嬉しそうだった。
セナのことを話すと少し不機嫌になるロバートがいたが気にしない。
ちなみに祖母の名前はマリー・セシルだ。
しばらく話しているとトントンとノックがなり、ロバートが入れと言うと短髪赤髪の30代半ばの男性、赤髪ロングの俺よりも年上の女の子が入ってきた。
「父上、マルコです。アランくんに挨拶しに参りました。」
「お祖父様!エルザよ!」
「おぉ、マルコ、エルザ。この子がエイダの息子のアランじゃよ。賢そうな面構えじゃろ。」
「はい、とても賢そうな顔つきをしていますね。どうもアランくん、私の名前はマルコ、君のお母さんエイダの兄だよ。」
「えー?そうかしら?間抜けな顔に私は見えるんだけど。私の名前はエルザよ。歳は12歳、私の方が年上だから特別にエルザお姉さんって呼ばせてあげるわ!」
うわーキッツイ女の子だなぁ。
確かに美人なんだけど仲良くなれなそう。
「エイダの息子のアランです。よろしくお願いします。」
「「よろしく。」」
それからマルコ、エルザの2人も交ざって会話が始まる。
それから聞いてもいないのにエルザが自分のことを包み隠さずはなしだした。
エルザの話を俺は聞き、他の3人も微笑みながら彼女の話を聞いていた。
ここで俺が彼女から聞かされた彼女からの個人情報を話そう。
彼女は王都で現在学校に通っており来月からは5年生になるそうだ。
職業は魔法剣士の中級職魔法剣士だそうだ。
私は学校ではかなり優秀な方で、魔法を中級職まで使えるとのもあるだとか、剣術は天真一刀流を剣王に習っており中々のものだとか自慢話ばかりだった。
まぁ、魔法剣士というのはこの世界でも希少な職業らしく彼女が傲慢になるのも分かる。
アリスが学校に入ったらヤバいんじゃないか?
あの子8歳の段階でかなり魔法が使えるぞ。
まぁ、いいか。
だからと言ってエルザは別に悪いやつじゃなかった。
少し自分のことを自慢気に語ったりするが、人のことをそこまで見下したりとかはしないし普通に話せるいい奴だった。
俺が自分の職業が勇者だと言った時はかなりの疑わしい目で見られたが。
ちなみに俺が勇者だということを聞いてロバートもマリーもマルコも初めはビックリしていたが、しばらくすると嬉しそうに我が家も安泰だななどと話していた。
本当は魔王なんだけどな。
これから俺はこの家でしばらく暮らすことになる。
初めは貴族の家だから虐められたりするかもと思っていたが、皆エイダみたいに暖かい人々で本当に良かった。
これが俺の新しい家族か。
悪くないな。
更新がここから遅くなりそうですすみません。




