旅立ち
一章終わりです。
パチンっ!
俺の頬に衝撃が走った。
え?!何?!
俺が目を開けると、お腹あたりに乗っかているティファナと目が合った。
「あの〜、何か?」
「ちと話があっての。」
俺たちはベットに座り直す。
まだ、夜が明けていないので多分まだまだ夜中だろう。
「話というのわの、すこし主に悪い事をしたと思って謝りに来たのじゃ。せっかく妾のために忠告をくれたのに殴ったりしてしまって申し訳ないのじゃ。」
あの〜それじゃあ何で起こす時俺のこと引っ張たいたんですか?
それは良いんですか?
とは聞けない。
「うん、良いよ。僕もちょっと偉そうだったしね。気にしないで!」
「そうかの?それじゃあなんじゃ。明日からの特訓、お前に付き合ってやっても良いぞ?」
俺はここまで強がっていてブレないティファナを見ると笑いそうになったが堪える。
「分かった付き合ってよ。あと、僕のことはアランって呼んでよ!こっちはそうだなぁティファって呼ぶからさ!」
「そうかアラン!ありがたく思えよ!妾のことをティファと呼ぶことを許可しよう!」
そう答えるティファの顔は満面の笑みだ。
この子にもこんな顔ができるんだなって思っていると思わず言葉にしてしまった。
「ティファって笑うとそんなに可愛いんだな。もっと笑えばいいのに。」
すると、ティファは顔を真っ赤にして俺の顔面に正拳突きを浴びせてきた。
俺はそのまま眠りに落ちた。
理不尽だ。
朝になり俺は鼻あたりに痛みを感じるので少しの回復魔法を使い、一階に降りて料理を始める。
今日は適当な野菜と豚肉と鶏ではない卵を使いオムレツを作った。
オムレツが出来上がるとみんなはすでに席についており、ハンスは料理を運ぶのを手伝ってくれた。
食事が始まるとティファは昨日のことを皆に感謝すると、自分が幼少期に人間に捕まり酷い仕打ちを受けたことを話してくれた。
それを聞いてエイダは涙目になりながらティファに抱き付いていた。
ティファは苦しいそうだったがどこか嬉しそうな表情をしており、満足そうだった。
それからの会話はというとティファが自分のことをティファと呼んでほしいとか、ナラハンがああ見えて女に弱いとか、グールが城の食料庫にある食べ物を勝手に食べてディアルに怒られたなどの話をした。
ティファが家族に馴染められそうで何よりだ。
俺は朝食を食べ終わるとランニングをしティファと一緒にアリスのところに向かう。
アリスはティファを見て初めは少しの怖いのか俺の後ろに隠れていたが、ティファがこの前襲ったことを謝ると、アリスもニコニコして友達になろうと答えた。
ティファもそれを聞いて上機嫌そうだ。
まぁ、何とかなりそうだな2人とも年同じだしね。
それからティファの魔法を見せてもらうと、どうやらティファは炎、闇、土の魔法が得意なようだ。
魔王だからと言って俺みたいに全ての属性が得意ってわけではないようだ。
特にティファは補助魔法に関しては不得意中の不得意で回復系の魔法なんて全て使えない。
ちなみに、アリスは水、風、補助魔法に適正がある。
それから俺はティファ、アリスにそれぞれ得意な魔法を中心に初級魔法からみっちりと教え、何とか、イメージをつかませて無詠唱魔法の練習をする。
午後からはエイダとともに剣術の修行をする。
毎日それを繰り返す。
あ、たまに休みも入れますよ。
体がモタねぇ!
まぁ、それから2年と数ヶ月の日々が過ぎ俺もティファもアリスも8歳になった。
今ではティファは炎、闇、土系統の魔法を上級レベルまで使えそれ以外は補助魔法を除き中級レベルを使える。
職業は中級職の魔王。
ティファは我が家が気に入っているらしく新居ができたにもかかわらず、まだこの家にいる。
まぁエイダと離れたくないのだろう。
アリスは補助魔法が上級まで使え、それ以外は大体が中級である。
職業は上級職の魔導師。
この若さで上級職なのだからかなりの才能の持ち主だ。
アリスの両親はアリスが上級職になったと分かった時は嬉しさのあまり、村全体を巻き込んで祭りなどを開催したりした。
その時、アリスは恥ずかしそうであったがどこか嬉しそうでもあった。
もちろん、俺の特訓により2人とも大体は無詠唱で唱えることができる。
2人とも良く頑張りました!
俺はというと魔法を効率的に使えるようになったがそこまで変化はない。
正直魔法については少し壁みたいなものがある。
まぁ、まだ中級職の魔王だということも原因の一つなのだろう。
剣術についてはエイダから天真一刀流の基本的な型を習い、対人との戦い方、対魔物との戦い方を習い習得した。
結局必殺技の一つ天斬はマスターできなかった。
エイダはその歳でできた方がおかしいと慰められたが、少し悔しい。
そんな8歳にこの前なったばかりの日に贈り物が一つと手紙が一枚家に送られてきた。
まず贈り物の方から見てみることにするとその中には手紙が入っており、中を見るとウィルからの手紙だった。
アラン・ブルーナへ
よぉ〜アラン。
久しぶりだな。
俺は今王都で貴族に魔法を教えてるんだ。
初めは貴族に魔法を教えるなんて気が進まなかったんだが、お前に魔法を教えてた日々のことを思い出すと、魔法を他人に教えるのも悪くわないかなって思って今に至ってるんだ。
王都は面白いぞ。
世界各地から人が集まってきて毎日腕を競い合ったり、冒険者ギルドの奴らが迷宮を攻略しに行ったりと色々血気盛んで楽しいぞ!
後は美人が多いしな!
だから今度一回王都に遊びに来いよ!
お前の魔法だったら半日かからないで着きそうだしな。
あと、8歳になったということで誕生日プレゼントを送っておいたからな。
中身はカミルの大樹からできた木刀だ。
ただの木刀じゃないんだぞ、カミルから作ってるから硬さはもちろんのこと木自体に魔力が多く含まれていてな、魔法の発動が早くなったり威力が上がったりするんだ。
まぁ、いわゆる魔法剣って呼ばれるものの一つだな。
結構高かったんだから大事に使えよ! (金貨7枚)
ウィル・カーターより
おぉ、師匠魔法を教えているのか。
他に弟子ができたってことが何だか浮気されたみたいで嫌だけど、師匠なりに進歩しているんだろうと思うと少し嬉しい。
最後に魔法剣を貰えたことは嬉しいが値段は書くなよ!
この魔法剣のことはカミルと呼ぶことにした。
ちなみにこの世界の通貨はこれだけある。
金貨 銀貨10枚分
銀貨 銅貨10枚分
銅貨 鉄貨10枚分
鉄貨
4種類からできており、銀貨が4枚ほどあれば1人一ヶ月は暮らせる。
確かに金貨7枚は高価である。
大事に使わせてもらいましょう。
もう一枚の手紙はディアルからで宛先はティファだったので、ティファに渡した。
ティファが手紙を見ると体が震え出して一言。
「ふ、ふざけるな〜!!」
俺はビクってなったがティファの後ろからチラッと手紙を見てるとそこにはこう書かれている。
ティファナへ
申し訳ないんだがな、よく考えたのだがな8歳になったら我らの国では義務教育で学校があるということを忘れていた。
たかが6年だ我慢しろ。
この手紙が届くことを見計らってお前を迎えに行くので準備をして待っておれ。
父より
「何が10年のばつじゃ!ふざけるな!次はすぐに帰ってこいなどと!この馬鹿父上め!」
ティファの奴は怒り狂っている。
この家に3年近くいるからなぁ。
初めは嫌がっていたが今では本当の家族ようなものだしな。
思い入れがあるのだろう。
それを聞いていたエイダは少し涙目になっている。
ディアルの奴が来たら全力で魔法で攻撃してやろう。
ちなみに、俺たちの住んでいるアリア王国では学校はあるのだが義務教育ではない。
学校は6年間あ職業ごとに授業が分かれるそうだ。
俺が学校に行かないのは職業が魔王だということをバレるのを防ぐためだ。
アリスの奴は学校に行くらしい、アランも来たらいいのにと言ってくれたが悪いが行けないのだアリスたん。
そしてその日の夕方突如ディアルが我が家を訪れティファを拉致するかのごとく去っていった。
俺たち家族は急な出来事に唖然とし、エイダに関しては立ち直れずにずっと泣いている。
ディアルてめぇ次会う時覚えとけよ。
その後、夕飯を食べ終え就寝に入った。
これからどうしようか。
ティファほ魔大陸に帰るし、あと一月とすればアリスだって王都にある学校に通うことになるだろう。
この村にいても俺はやることがない。
最近では魔法の限界を感じているし、もっと強くなるには環境を変える必要あるだろう。
俺は必死に頭の中でこれから先どうするかを考える。
「よし、王都に行こう。」
二章が次から始まりますが、この章は戦いが多めになると思います。




