とある少女の初恋
今回はちょっと急展開です!
モロの森の中を見回っている18人の集団がいる。
彼らはナパサ村に魔物が近寄らないように自衛をする仕事をしている自警団だ。
その中にアランの父母セナとエイダもいる。
「ねぇ、セナ。森の様子がおかしいって聞いたから来たけど予想以上ね。こんなに荒々しい魔物達見たことないわ、しかもこんなに村の近くまで。」
「あぁ、そうなんだ。こんなこと初めてだ。しかもさっきから出てくる魔物達、妙に意思疎通が取れてるんだ。まるで誰かが統率してるかのように。」
「やだぁ、セナったら魔物を率いる何て魔王ぐらいしかできないのよ。そんなことあるわけないじゃない。」
「はははっ。やっぱりそうかな、ちょっと心配しすぎちゃったね。」
「そうだ、セナは心配しすぎだ!本当にお前はビビリだな!」
セナとエイダの会話を聞いて口を挟んできた男、そう彼はアリスの父キャレブだ。
「すみません、私昔からビビリなもので。はははっ。」
「今日は剣聖のエイダもいてくれてるんだ。どんな奴が来たって小便漏らして帰っていくよ。」
「違いないです。」
二人の会話を聞いてエイダは私のことを何だと思ってるのかと思ったが口にしない。
そう実際今日はエイダが居てくれてるし、どんな奴が来ても大抵は倒してくれるだろう。
だが、セナはそれでも何か嫌な予感がした。
そんなことをセナは考えていると、向こうの草陰から怪しい3人組がコッチに向かってやってきた。
その三人組の1人は金髪のロングの少女で目は赤色、耳が少し尖っているのを見ると亜人族か魔人族どちらかと言える。
二人目は馬面の男、手には槍を装備している。
三人目は豚ヅラの男、手には斧を携えている。
「お嬢、人間ですぜどうしますか?」
「そうじゃのぉ。父上に妾がこの地を征服したということを見せしめたいからの、捕まえることにしようかのぉ。」
「そうですか、分かりやした。」
「おい!人間ども!痛い目にあいたくなかったら今すぐ投降して俺らに捕まれ!」
「急に何だと!ふざけるなっ!お前達が勝手に俺たちの土地に入ってきて、その言い草はおかしいだろ!お前たちこそ痛い目にあいたくなかったら、ここから出て行け!」
そう言い放ったのはキャレブだ物凄い顔で睨んでいる。
それに続いて他の者も出て行けーだの、何様のつもりだなどと言っている。
「まぁ、キャレブも皆も落ち着いて。でそこの馬面の君ここは穏便に帰ってもらうことはできないのかな?こちらとしてはあまり争いたくはないんだけど。」
「あぁん?そんなこと飲めるわけねぇだろ。良いからお前達は俺たちに投降したら良いんだよ!その後この村の奴らも全員捕まえてやるからよ!へへへっ!」
「断ると言ったら?」
「その時は妾達は力ずくでお前達を捕まえるだけなのじゃ。」
「上等だ、たかが三人だ行くぞお前ら!」
キャレブがそう言い放つと先陣を切って飛び出していき、その後に皆が続いていく。
戦いが始まった。
【アリス視点】
私はイライラしている。
何で今日に限って私のお父さんは弁当を忘れるのかと。
今日は初めてアランくんと話ができて友達になった。
しかも、魔法を教えて貰う予定だったのに全部お父さんのせいで台無しだ。
絶対数日口聞いてあげないんだから!
そんなことを考えていると、私はモロの森の入り口までやってきた。
確かこの入り口をまっすぐ進むと、お父さんたちの休みの場である駐屯地があったはずだ。
私はノコノコと森の奥へ入っていく。
やっぱり、この森は相変わらず綺麗だ。
今は春を迎え木々の隙間から木漏れ日が注ぎ込まれ神秘的な美しさを醸し出している。
しかし、いつもと何かが違う。
何かこう妙に騒がしいというか何というか。
まぁ、そんなことは気にしないでさっさと父にお弁当を届けよう。
歩いて10分ぐらい歩くと駐屯地に到着した。
「あれ?何でだろ誰もいない。お父さーん!お父さーん!どこー?」
お父さんを読んでみるが返事がない。
まだ、仕事から帰ってきてないのかもしれない、でもいつもならこのぐらいに休んでるハズなのに。
ドカァン!
森の奥から物凄い音がした。
私は何だろうと思ったが、お父さんに何かあったのかもしれないと思い森の奥に向かって走って行った。
しばらくすると、道が開けて大きな広場のようなところに出た。
すると、自警団の皆が血だらけになって倒れていた。
目の前にはエイダさんと癖っ毛の男の人とお父さんが血だらけになりながら、3人の魔人族か亜人族のやつらと沢山の犬型の魔物と戦っていた。
「お父さん!」
「アリス?!何でお前がここに?!ダメだ早く逃げろ!ここは危ない!」
「え?何々?その子お前の娘なの?可愛いなぁ。へへへっ。」
「おい!やめろ!子供にまで手を出すな!」
「はぁ?今更何言ってんだ。お前らが投降しないからこうなるんだろ?行け!マッドドッグ!あのガキを可愛がってやれ!」
馬面のオトコがそう言うと、犬の魔物が5、6匹私の元に向かって猛スピードで迫ってくる。
(早く逃げなきゃ)
だが、私は恐怖のあまり足がすくんでしまって動けない。
目には涙が溢れる。
魔物がこちらに迫ってくとそのまま私に向かって飛びついてきた。
ダメだ、私死ぬんだ。
そう思い私は目をつぶった。
その瞬間、私は体を物凄い速さで持ち上げられ犬の攻撃を受けずに回避する。
え?何?どういうこと?
私はドキドキしながら目をゆっくりと開ける。
そこには赤い髪の癖っ毛の少年が私を抱えていた。
そう、彼の名前はアラン。
「大丈夫?助けに来たよ。」
「うん、大丈夫。ありがと・・・・。」
私は顔が真っ赤になった。
次はアランの初戦闘です。




