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出るとこに出る。

 神社に近付くにつれいい香りが漂ってくる。

 もしかしたらお兄ちゃんの匂いかしらなどと思ったが、初詣客目当ての露店がぎっしりと並んでいた。


「いい匂いだねぇ。朝おモチいっぱい食べたけど、お腹空いてきちゃうよぉー」


 そういってかわいく自分のお腹を押さえてみせる。

 ちなみにお兄ちゃんの言う「おモチいっぱい」は一個半だ。

 私は五個も食べてしまった……だって育ち盛りだから!

 

「あたしも朝から雑煮で六個食べたぞ」


「六個! 花咲それ食べ過ぎじゃね? 太るよ?」


「そうなんだ……最近また……その……」


 そう言って花咲が恥ずかしそうに自分の胸の辺りに目を落とす。

 そっちか! 肉はそっちに付くのか! 育ち盛るところが私と違うじゃないか!

 一瞬勝った気がしたが、惨敗だよ! 参拝にきて惨敗だよ! あんまりだよ!

 お兄ちゃんはお兄ちゃんで自分の胸の辺りをぺたぺた触ってたりするし。

 出ないよ! お兄ちゃんはそこはどんだけ食べても出ない!

 お兄ちゃんは自分が男の子だということをどこまで認識しているのか、

 そもそも男の子というものをどこまで理解しているのか、

 どこから来てどこへ行くのか、

 謎である。


「大丈夫よ。セイラもじきに大きくなるから」


 たぶん、お姉ちゃんが冗談か本気かこういうことを言うのがよくないんだと思う。

 お兄ちゃんが将来赤ちゃんを産む気でいるという驚愕の真実は、すでにお姉ちゃんの中では都合よく処理されているのだろう。


 そりゃ私だってお兄ちゃんとの未来を考えていないわけではない。

 いや、考えないわけがない。

 

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