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ぴょんぴょこ。


 お兄ちゃんは怒っている。

 もちろん今朝のことに関してだ。

 私も少々やり過ぎたなと反省している。

 本当に少々だけど。


 家を出ると学校に向かう道をお兄ちゃんが速足歩く。

 その後ろを私が歩く。

 速足と言っても、お兄ちゃんなりの速足なので子犬の散歩よりも遅い。

 なので私は追い越さないように不自然なほどにゆっくりと歩かなければならない。

 それが苦痛かと言うとそうでもないのだ。 


 だってかわいいんだもの。

 お兄ちゃんが必死に歩いてるんだよ。あのお兄ちゃんが一生懸命。かなり無理して。

 背後から見てても、それがすごくわかる。

 漫画なんかだと汗がぴょんぴょん飛び出していることだろう。

 それと並行して「怒ってるんだからね!」というアピールする背中。

 それでも途中途中でさり気なく、しかし不器用に後ろの私を窺っているのがわかる。

 

 何よりも私の心を和ませているのが、左右にぴょこぴょこ跳ねるツインテールだ。

 高い位置で左右に分けてあるので、お兄ちゃんが頑張って歩けば歩くほどぴょんぴょんぴょこぴょこ。

 うなじから少し飛び出ている金髪もかわいい。


 そしてお召し物はスカートのように広がるベージュのコートの裾と紺のハイソックス。

 その間に広がる白い肌とのコントラストは新しい国旗のようじゃないか。この国旗ひとつで国民はひとつになれる。

 白い肌の上の方も別の白があるのでしょうか。もしくは別の色の旗なのでしょうか。国民はその色にも興味津々です。

 

 ああ、怒ってもかわいいなんて、もう無敵じゃないか。

 喜怒哀楽、春夏秋冬、四六時中もお食事中もかわいいじゃないか。

 そもそも本当に怒ってるなら、先に学校に行けばよかったのだ。

 私と違って、お兄ちゃんは前の日に明日着ていく服から、ランドセルの中まですべて整えているのだから。

 まあ、お兄ちゃんの場合朝からよーいどんでは、学校についたら給食からスタートになってしまうだろうけど。

 

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