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言の葉の森  作者: 梦埜
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梅雨のち晴れ!


   896年7月中旬


 最近、空気が重く、肌に纏わりついてくる感じがするのだが…梅雨のせいだろうか?

 朱呑は分厚い鉛色に覆われた空を見上げた。近頃はずっと曇り続きで、清々しい青空を最後に見たのはいつだったかと考えてしまうほどだ。かといって水を含んだ雲からは一滴も水は落ちてこない。

「降るんだったら一気にザーッと降って、パッと晴れ渡って欲しいんだけどな~」

 ずっと顔をあげているのにも疲れたのか、朱呑はその場で横たわった。

 今、朱呑がいるのは朱呑が住んでいる街の近くの森にあるツリーハウスである。先月改装したばかりのそこは木々の爽やかな落ち着く香りが漂い、じめじめとした空気の存在も少しは和らげてくれる。

 このツリーハウスの存在を知っている人物がもう一人いる。名前は季杜という。朱呑がアウトドア派な女の子に対し、こちらはインドア派な感じの男の子だ。かといって体力がないという訳ではない。本人が言うには『朱呑が率先して動くんだから、僕が態々動く必要もないじゃない』とのことだった。そう、たんに面倒臭がりなだけである。

 なぜ季杜がこの場にいないのかというと、彼はとても本が好きな少年だ。好きというのは読むのはもちろん、本自体を愛しているのである。この時期の天気は、とても不安定でいつ雨が降ってきてもおかしくない状態だ。本は水に弱い。おそらく今日こちらに持ってくるつもりでいる本を、水を弾く素材の物で頑丈に包んできているのだろう。

「そうやってる間にも降ってきそうな雲色だね~。まぁそうなったらなったで苦労が無駄にならなくて良かったんだろうけど」

 朱呑は雲を見ているのにも飽きたのか起きてあがり、先月改装した際に新たに作った本棚の部屋へと向かった。


* * *


 いつの間に寝ていたのだろうか。あたりは土の濡れた匂いと雨の音で満ちている。部屋もなんだか少し薄暗い。

 朱呑はどのくらい時間が経ったのか確認しようとして体を起してみると、足の上に何かが落ちた感触があった。軽い物だ。下を見てみると毛布が乗っかっていた。

「…ということは………季杜ぉー!!!!!」

 私は寝てしまう前に毛布を身体にかけた覚えはないし、この毛布は本棚のあるこの部屋ではなく、季杜の部屋に置いてあったものだ。ならばその持ち主である季杜も近くにいるはず。

 そう考えて思いっきり名前を呼んでみると、扉の向こうの廊下から微かな足音が面倒臭そうに歩いてくる音が聞こえる。その足音は扉の前に来ると止まり、次に扉の開く音が聞こえて――

「…起きて早々どうしたのさ。いくらちょっとの衝撃で止まるようなやわな心臓じゃないからって、朱呑みたいに毛までは生えてないんだから勘弁してよ」

「うぐぐ…流石に私の心臓だって毛は生えてないと思う。……多分」

 私が寝ている間に季杜もツリーハウスに到着していたらしい。それにしても酷い言われよう。梅雨のせいで機嫌でも悪いのかな?

 そういえば雨の音が聞こえない。それにあのジメッとした空気も和らいでいるような…。

 私はなんとなく窓の方を見てみると――青空が。

「うそ! あの鉛のようにおもくるしい雲がいなくなってる!!」

「朱呑がぐーすか寝ている間にどこかに飛んで行ったんだよ。ようやく今年の梅雨明けがきたね」

「ホントだね! これでスカッとした暑さと真っ青な空の見れる夏がやってきたんだね!!」

「そうだな。これで一段と眠れなくなる日々がやってきたんだな」

 ………。あれ? 両者の見解に相違があるような…。

 ま、まぁ何はともあれ今年も夏がきたことを喜ぼうじゃないか。



すみません。

もう秋になってますね。。

そして、気温的には冬に近付いてますね(-_-;)


秋の書きものは間に合うように…間に合うようにしま…す。

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