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言の葉の森  作者: 梦埜
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はじめまして♪



   896年6月5日



 ここは街の近くの森の中。

何百年も立ち続けている樹木や、たくさんの動物や植物が住まう所。そんな森の奥深くの木の上に、家のような物がありました。いわゆるツリーハウスですね。

その家の中には2人の男女の子供たちがいました。1人は肩甲骨まであるストレートの赤い髪と青い目を持つ女の子と、もう1人は新緑の髪と深緑の目を持つ男の子でした。

女の子の名前は『朱呑』、男の子の名前は『季杜』と言いました。2人はいつも差合せた訳でもないのに、木の上の家にきては思い思いに好きなことをしていました。

ほら、今日も―――


     ―ドバンッ!!!


「季杜! 昨日ここに来た時に置いていった本がないんだけど~。あーぁ、せっかく今度来た時に読もうと思ってたのに~。」

「…しゅのん。ドアは開ける前にノックをするのは最低限のマナーだよ。あと、ドアはもう少し静かに開けようね。もしドアの後ろに人がいて運が悪ければ、今頃天に召されかけちゃってるよ。」

私は季杜の所有している部屋のドアを勢いよく開け、中にいる相手へ詰め寄る。

季杜はと言うと特に驚いた様子もなく、部屋の中に1つだけある椅子に座り、本を読みながら私に注意をしてきた。

「そんなのドアの近くにいる方が悪いんだよ。って、そうじゃなくて本探して! ほら、季杜は動物や植物たちの声が聞けるでしょう?」

「あぁその必要はないよ。その本、僕が今読んでいるところだから。」

………はぁ!!? ふざけんな! 所有者にちゃんと承諾を得ろ!!! じゃなくて。

 私はあまりの驚きにしばらくの間、思考が停止していたらしい。そんな私をよそに、気付いたら季杜は本の続きを読み始めていた。ホントにこいつの行動も、考えている事も、初めて会ったあの時から、もう4年目を迎えようとしているが、いまだに解明されていない。いっそのことその頭の中を解剖してやろうか。

 そこまで考えて私は再度、季杜と会ってから4年が経とうとしている事を思い返した。

「…長いようでもあるし、短いようでもあるから不思議だよなぁ~。」

 そういえば季杜との初対面ってどんな感じだったっけ――?



   892年5月25日


 

 ここは街の近くの森の中。私はこの森の中にある湖が好きで、時間があるとよく遊びにきていた。しかも、森の結構奥の方に位置するから人もあまりこない。しかし、今日は珍しいことに先客がいた。背格好からして男の子で、年齢は私と変わらなそうだ。少年は木の幹に寄りかかりながら波紋を作ることのない水面を眺めている。

 こんなところまで人が、しかも子供が来るなんて…、変な子~、話しかけてみようかなぁ~。

 そんなことを考えていると、いつの間にか少年の視線は水面から私の方に向けられていた。

「はじめまして。僕は季杜って言うんだけど…君の名前は??」

…どうやら私は名前を聞かれているようだ。私は自分の名前を言い、少年の側に近付いて行き座った。

「そう、朱呑って言うんだ。じゃぁ『しゅのん」だね。」

「? 何が??」

「あだ名だよ。だってそっちの方が親しそうでしょう。」

 初対面の相手とここまで親しそうに話す日が来るとは…今の今まで考えつかなかった。まあ私自身もそんなに堅苦しいことは好きじゃないから助かるが、あだ名まで決められてしまうなんて。

「決めた! 季杜、今日から私とあんたは友達同士よ!!!」

「僕、一昨日この街に引っ越してきたばかりで友達がまだ1人もいなかったんだ。よろしくね、しゅのん!」




 そうそうこんな感じ、こんな感じ……あれ? 今も昔も変な行動と発言はそんなに変わってない感じ??

「朱呑、本読み終わったから返すね……? なに1人で百面相なんてしてるの?」

「………なんでもない。」

どうやら私が1人、回想に耽っている間に季杜は本を読み終えていたらしい。本を返してもらい、風に頼んでその本を私の所有している部屋の方に送ってもらった。そして季杜の方を見やり―――――


    「さぁ、今日は何をして遊ぶ?」

『こちらこそよろしく! さぁ、今日は何をして遊ぶ?』


また今日も初めて会ったあの時のように問いかける。

これからも、ずっと―――。



これからゆっっっっくり更新していきます!!!

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