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『元死刑囚~奴隷解放して罪を償います~』22471文字

作者: 太陽月星
掲載日:2026/09/14



♯1「閻魔」




 生前に8件の殺人を犯し、、地獄で閻魔の前に引きずり出された「高井正」は、、閻魔の前だというの




 に、、平気な顔して、、鼻くそをほじくっていた。




「君は8人も人間を殺したんだ。。 それも小さな子供たちを……それなりの罰を受ける覚悟しなさいよ」




 閻魔は高井にそういうが……




「罰?? むしろ、、苦痛な人生を早く終わらせてやったんだから、、感謝されて褒美をもらいたいくらいだぜ!!」




 高井は反省の色を見せない。




「反省の色がないな。。まあ、、お前みたいなのには、、ふさわしい罰が用意してある!! それより最後にもう一度聞く。。本当に人をあれだけ殺したことに後悔してないのだな??」




「するわけねえだろ!! 早めに死なせてやったんだからありがとうって言われたいくらいだ!!」




「そうか……では、、お前は、、ブラックヘルへ。。行ってらっしゃい!!」




 閻魔は空中に円を描くように、、指を動かした。




 すると、、黒い円形の入り口が現れた。。




 そして、、円形の入り口から、、赤黒い大きな手が現れ、、高井を鷲掴みにした。




「何すんだ!! 離せ!! 離せ!! おい、、閻魔!! 何したんだ!!」




 高井は叫ぶが……




 大きな手は高井を真っ黒な円の内部へと引きずり込んでしまった。




♯2「ゴキブリボディー」




 あれっ……俺、、どうしたんだっけ??




 


 どうやら、、寝ていたみたいだ。




 あの閻魔の目の前で意識がなくなって倒れたのを思い出した。




 辺りは森だ。。そして、、森に囲まれた一本道の真ん中に俺は倒れてたみたいだ。。




「ん?? うああああああああああああああああ」




 俺は自分の体を見て、、叫んだ。




 体が黒い。まるで虫だ。




 ゴキブリみたいじゃないか。。




 体が得体のしれない物になっていた。




 人間のそれではなく、、茶色のボディー。。




 なんだっこれ!! このおぞましき体は……




 腕と足は人間の体と同じだ。




 しかし、、胴体が茶色の虫の体になっていた。




 ショックだった。




 近くに鏡がない。。




 自分の体、、顔を見てみたかった。




 だが、、視界に入る高い鼻は人間だった時と同じだ。。




 茶色のゴキブリみたいなボディーを触ってみた。




 つるつるしている。甲殻類のエビの尻尾のような肌触りだ。




 次に、、顔を手でさすってみた。




 ザラザラしている。




 髭が生えているみたいだ。




 人間の時と同じ肌触り。




 目、鼻、口、頬、耳も触ってみる。




 間違いない。




 顔と腕と足、、以外はすべて「ゴキブリみたいな虫のような茶色ボディー」みたいだ。




 俺はなぜ、、こんな姿なのかを理解できなかった。。




 そういえば、、閻魔が「罰がある」と俺に言っていたな。




 罰ってこのゴキブリ姿になることだったのか??




「こんにちは。タダシ様」




 背後からいきなり声が聞こえた。




「なんだ?? 誰だおめえ」




 中学生くらいの男だ。




「私はこの異世界の案内人のポコといいます」




「ポコ?? ハハハ。。ふざけた名前だな。。異世界に飛ばされたってわけか。それより、、このゴキブリの体はなんとかなんねえのか?? 異世界なら魔法とかいろいろあるだろ??」




「いいえ、、あなたがゴキブリ姿になったのは、、人を8人も殺した罰です。罰はこれだけではありませんが……」




「やっぱり、、罰か……何様だ?? あの閻魔。なんの権限があって、、偉そうに俺様に罰なんて与えんだよ!! 俺が閻魔を殺してやる。。俺が閻魔になってやる!!」




「こうしてても埒があかないので、、とにかく町に出ましょう」




 ポコは俺の威勢張った言葉を無視した。




 俺はそのポコという奴に案内されて、、町を目指して歩き始めた。。




 


 




♯3「罪滅ぼしステータス」




「あなたはこれからゴキブリ人間として生きて行かないとなりません。ゴキブリ人間から解放されたければ、、罪滅ぼしステータスと呼ばれる数字をプラスマイナスゼロにしなくてはなりません」




「なんだ?? そのなんとかステータスっていうのは」




「これです」




 案内人のポコは高井正に赤い腕時計を渡した。。




「1億2000万って書かれているな。この時計の数字はなんの意味があるんだ??」




「あなたが生前、、犯した罪の重さが数字として表示されています。。8人も子供たちを殺したので、、それだけ大きな数字になってしまいました。。それをゼロにしない限り、、あなたは永遠にこの世界でゴキブリ人間として苦しむしかありません」




「ゼロにするって、、どうやってやるんだ??」




「よく聞いてくれました。。要は、、人の役に立たないとなりません。。とんでもない量のをです。そうですね。。それは、、具体的には、、ある国の奴隷を数万人救い、、自由にしてあげるくらいの規模でしょう」




「そんなの無理だろ!! それに、、そこまでしてまで罪滅ぼしたくねえよ。俺はゴキブリ人間の姿のままでいいよ。。この姿は気持ち悪いが、、人のためになることは死んでもしたくねえ!!」




 ポコは呆れたような顔してから、、




「バッチーーーン!!」




 思い切り、、高井正の頬をビンタした。




 高井正はポコのビンタにより、、激高した。。




「何すんだ!! ぶっ殺すぞ!!」




「人のためにではなく、、自分のために罪滅ぼしするのです。このブラックヘルでは、、ゴキブリ人間の奴らは、、幸せにはなれません」




「どういうことだよ??」




「いずれわかります。そのために町へと行くのです!!」




 二人は森の一本道から、、赤い川にたどり着いた。。




 船が浮かんでおり、、そこに二人は乗った。。




「あなたがこの船を漕いでください」




「お前が漕げよ。なんで俺が??」




「永遠にこの川で浮かんでいますか?? 案内人として、、あなたを世話してるのですから、、船くらい漕ぎなさいよ!!」




「てめえ、、命令すんじゃねえ!! わかったよ!! 漕げばいいんだろ??」




 高井正は100メートルの幅のある川を川上に向かって船を漕ぎ始めた。。




「それにしても、、赤い川なんて、、怖えな。。ここは本当に地獄なのかな??」




「そうですね。。悪人を更生させる場所ですね」




「更生なんかするかよ。。また、、俺は人を殺すだろうぜ!! 人に迷惑をかけるのが一番愉快なんだ」




「あなたは自分で自分を傷つけて苦しめているだけです。。本当に可哀想な人間ですね」




「さっきの渡した腕時計を腕につけてください」




「罪滅ぼしステータスだよな」




「今、、1億2000万ちょうどありますね。。では、、これがどうすれば減るのか。。ゼロに近づくのか……身をもって学びましょうね」




 そういって、、ポコは高井正を思い切り、、手で押して、、川の中へ突き落した。。




「なにすんだ!! ガボガボ…… うわあ、、、痛え!! 体が痛い!! 何かに嚙みつかれているようだ!!!!」




「早く自力で上がってきてください!! 上がれるものならね!!」




 ポコは船に上がろうとする高井正を足で蹴って邪魔している。。




「何してんだおめえ!! ぶっ殺すぞ!! 早く助けろ!!」




「いやです。あなたが刃物で刺し殺した子供たちはもっと痛い想いをしたはずですよ。それに、、これからたくさんの喜びや感動があったはずの人生が無くなってしまったんです。反省しなくてはね!!」




「頼む!! 助けてくれ!! 助けて!!」




 3分ほど、、高井正は激痛に耐えて、、やっとポコに引き上げてもらった。




「はあ…はあ…はあ…はあ……おめえ、、ぶっ殺すぞ!!」




「さっきの腕時計を見てください。数字を」




「それどころじゃねえ。。お前、、殺してやるぞ??」




「いいから、、見てください!!!!」




 かなりの大声でポコに叫ばれた高井正は、、仕方なく、、腕時計の数字を見た。。




「あれ?? 1億2000万ちょうどだったはずだが、、1000減ってるぞ??」




「はい。。あなたは痛みを数分間感じました。その痛みを味わった分、、数字が減ったのです。罪滅ぼしステータスです。痛みと貢献度により、、数字が減ります。。どれだけたくさんの痛みを感じ、、他者に貢献したか、、良い影響を与えたか、、で、、数字が減るのです」




「それを身をもって教えるために、、この川に突き落したのか?? 強引すぎるぜ?? それに、、あれだけ激痛を感じたのに、、1000しか減らなかったのか??」




「そうですね。。まだまだ道のりは遠いです。。まあ、、とにかく町まで行きましょう。船は僕が漕ぎます」




 案内人のポコと元死刑囚の高井正は町へと向かって船を進めていった。




 




♯4「制裁」




 ポコが船を漕ぎだして20分ほど経ち、、たくさんの建物が見えてきた。




「大勢の人がいるぞ?? 俺たちと同じ人間たちがいるじゃないか!!」




「そうです。。ここは、、人間たちが暮らしている異世界ですから……」




 川の終着点に近づいた。。なにやら大勢の人たちが待ち構えているようだった。




「ゴキブリ人間だーーーー!! ゴキブリ人間が来たぞ!!!!」




 ある男の子が叫んだ。




 数百人はいようかという大群は、、みんな弓矢を持っていた。




 その連中たちは、、弓矢を高井正とポコに向けて、、構えた。。




「あいつら……何する気だよ!! 弓矢なんて構えて、、、、まさか??」




「そのまさかですよ。。だから、、ゴキブリ人間は幸せにはなれないと言ったのです!!」




 数百人の弓矢を構えた連中は、、




「発射ーーーー!!」




 という合図をした。




 当然、、たくさんの弓が二人に放たれた。。




「ああ!! ポコ!! なんとかしろ!!」




 グサッ!! グサッ!! グサッ!! グサグサッ!!




 何十本の弓が高井正の体を射抜いた。。




「がああああああああああ!! やめてくれーーーーーー!!」




 一方、、ポコは涼しい顔している。弓が全く体に当たってない。




 すべて体を素通りしているようだ。。




 弓矢が扱えない子供たちは、、大きなこぶし大の石を投げつけてきた。




 それも、、、高井正に直撃し、、高井は悶絶の叫びをあげる。




 ポコはなにも当たらないで、、冷静だ。。




「おい!! ポコ!! なんとかしろよ!! ぶっ殺すぞ!!」




「嫌です!! あなたは自分の行いが悪いからこんな目に遭うのです!!」




「助けてください!! お願いします!!」




「もう一度言ってください!! 土下座しながら言ってください!!」




 弓矢が激しく飛んでくるなか、、高井正は小さな船の上で、、土下座姿勢をとる。




「ポコ様。。どうか、、助けてください!! お願いいたします!!」




「もう、、『ぶっ殺すぞ』なんて二度と口にしないと約束できますか??」




「なんでも約束します!! 言う通りにします!!」




「私の言うことをなんでも言うこと聞きますか??」




「はい……」




 弓矢が体のあちこちに刺さり、、痛みで、、自己中心的で敵意むき出しだった高井はおとなしくなって、、ポコに助けを求めた。。




 ポコは高井正と手を繋ぎ、、瞬間移動して、、船から消え去った。。




♯5「ブラッディーソード」




 朦朧とした意識と凄まじい痛みの中、、高井正は、、瞬間移動して、、町の住人の弓矢の制裁から


救ってくれたポコの手を握っていた。




「ありがとう。。助けてくれてありがとう……」




「動かないで!!」




 ポコは刺さった10本ほどの矢を思い切り、、抜いた。。




「痛ってぇえええええ!!」




 高井正は飛び上がった。。




「もっと優しく抜けよ!! バカ野郎!!」




「『ぶっ殺す』の代わりが『バカ野郎』ですか?? 相変わらず、、どうしようもない人間ですね!!」




「痛かったんだから仕方ねえだろ!!」




 高井正は罪滅ぼしステータスの腕時計を見てみた。




「15000しか減ってねえじゃねえか。。これだけ痛かったのに!! どうみても割に合わねえ!!」




「ところで、、ここがどこかわかりますか??」




「この大きな扉の先に何があるのか、、初めて来たんだからわかるわけねえだろ!! バカなのか??」




「では、、、、入ってみましょう!!」




 ギイイイイ……




 木製の大きな扉を開ける音が響いた。




 扉の向こうには、、たくさんの種類の数の剣が飾られていた。。




「いらっしゃい!!」




 落ち着いた雰囲気の白髪と眼鏡の少し猫背のおじいさんが、、挨拶してくれた。。




「ここは、、なんだ?? 武器が売っている店か??」




「そうです。あなたがゴキブリ人間から解放され、、この異世界から卒業するためには、、あるゲームをクリアしないといけません」




 ポコは高井正に説明し始めた。




「ここにはたくさんの剣があります。。それぞれ剣の能力の違いがあります。あなたはこれからある国の奴隷たち5万人を救うゲームをしないとなりません。あなたは剣を使い、、悪の帝王であるマルカッス帝王を打ち破り、、奴隷たちを解放し、、自由にしてやるのです。そうすれば、、ゴキブリ人間から解放され、、このブラックヘルからホワイトヘブン、、つまり、、天国へと行くことができます」




「マルカッス帝王?? 剣で奴隷解放だと?? そんな強そうな帝王と戦うのか?? 勝てるのか?? この俺が??」




「でもやるしかないです。このままでは、、永遠にゴキブリのままですよ??」




「退路はねえんだよな……わかっているけどさ」




「僕がおすすめする剣はこの3つです」




・ブラッディーソード「戦闘中に痛みを感じる量が多いほど、、剣の威力が上がり、、敵をたくさん倒せる」




・スーパーヒーローソード「人を救いたいという想いが強いほど、、剣の威力が上がり、、敵をたくさん倒せる」




・ムーンライトソード「練習量が多ければ多いほど、、剣の威力が上がり、、敵をたくさん倒せる」




 ポコはおすすめの剣3つをおじいさんに無断で取り出してきた。。




 おじいさんは特にポコの勝手と思える行動に何も言わない。




 いつもやっているような見慣れた風景を見ているかのような目で無言でいる。




「3つすべてもらえないか??」




「1つだけです!!」




「じゃあ、、最初のブラッディーソードでいいよ。どうせ、、その戦闘中に痛みを感じるだろうから、、その度に、、剣の威力が上がるほうがいいな」




 高井正は赤黒いブラッディーソードをポコから渡された。。剣をしまう鞘も一緒に。。




「じゃあ、、おじいさん。。ブラッディソードをもらっていくよ!!」




「いばらの道だが、、ぜひ、、奴隷解放ゲームをクリアしてくれ!!」




「はいよ。。元気でな。。おじいさん!!」




 高井正とポコはおじいさんに挨拶して、、店を出た。


 




♯6「マルカッス帝王」




 フェアロン帝国の都市「ハムス」の最も高い塔に帝王マルカッスはいた。




 


「グサッグサッグサッ」




 自分の爪と爪の皮膚の間を針で突き刺している。。




 


 あまりの痛みに悶絶しそうなものだが、、マルカッスは無表情だ。。




 爪からは緑色の血が噴き出している。。




「これだけの痛みに無表情で耐えられるようになれば、、怖いものはない!! ハハハハハ!!」




  


 マルカッスは独り言を言って、、笑った。。




 塔の頂上から見えている巨大な帝国を見下ろした。。




「悪っていうのは素晴らしい!!」




 また寂しい独り言を放ったマルカッス。。


 その時の表情は、、ニヤリと悪い笑みがこぼれていた。。








♯7「円形衝撃剣」




「円をこのように描いて、、縦に剣を振るだけです。敵を倒したいという気持ちが強ければ強いほど、、威力が出ます」




 ポコは高井正に剣術を教えていた。。




 高井正は言われたように剣を振ってみるが……




「何も起きないぜ?? どうしたらその衝撃波っていうのが出るんだよ?? 円形衝撃剣だったよな??」




「この世界では強い『想い』が最大の武器になります。想いが込められていなければ、、何も起こりません!!」




 何度も、、敵を倒したいという想いを持とうとしたが、、実際に目の前に敵がいないので、、うまくいかずに、、剣から衝撃波が出なかった。。




「仕方ないですね。。少々、、めんどうですが、、敵を出しましょう!!」




 ポコは両手をかざすと、、巨大なライオンが現れた。。




 獰猛そうで、、高井正を威嚇し、、吠えている。。




「ライオンじゃねえか。。食われたらどうすんだよ!!」




「いいから、、食われたくなければ、、倒したいという想いを強く持ち、、さっき教えたように剣を振ってみてください!!」




 高井正は、、ライオンに食われている自分の姿をイメージした。。




 痛みも凄いだろうな。。




「食われたくない!! ライオンを倒して安全を確保したい!!」




 と心の中で叫び、、




 強く剣で円を描き、、縦に振り下ろす。。




「出た!!」




 ブラッディーソードから衝撃波が初めて出た感動を味わった高井。。




 が、、ライオンは衝撃波を軽く避けて、、高井正の体に大きな口で噛みついた。。




「ぎゃああああ」




 ライオンにぶっ飛ばされ、、噛みつかれ、、死を覚悟した。。




 腕や足が食いちぎられて、、胴体がバラバラになってしまった。




 その時、、高井正は思った。




「これで死ねるなら、、それでもいいか。。めんどうな奴隷解放ゲームもしなくて済むし」




 しかし、、胴体がバラバラになり、黒い血が大量に流れても、、意識はある。。




 そして、、ポコは指をパチンと鳴らした。




 すると、、ライオンが一瞬で消え去った。。




「ライオンに食われた感想はどうですか??」




「……」




 意識がはっきりとしていて、、痛みだけを感じる。。




 高井正のバラバラになった胴体が、、徐々に元に戻っていく。




 流れた大量の黒い血も、、体内に戻っていく。。




 高井正は、、元の怪我ひとつしていない、、いつもの姿になった。。




「どういうことだよ?? バラバラになったのに、、また体が元に戻ったぞ??」




「あなたは死ねないのです。。どんな攻撃でも、、死ねない呪いの体なのです。ゴキブリ並みの生命力ということです!!」




 ポコはそう説明した。。




「痛みだけは感じるが、、死ねない。。クソ!! 死ねば、、楽になれると思って期待したんだがな!!」




「自分で言っていていたはずです。退路はないと。。死という逃げ道はありません。永遠にゴキブリの姿で不幸の毎日を過ごすか、、フェアロン帝国の奴隷を解放して、、ゲームクリアして、、天国へと行くか!! その二択しかありません!!」




「もっと剣を教えてくれ!! 早くマルカッスを倒してやるぜ!!」




「ブラッディーソードの威力は、、痛み蓄積型です。。痛みを感じれば感じるほど、、その今まで感じた痛みの累積により、、威力が上がります。ライオンにバラバラにされた痛みもマルカッスを打ち破るために生かされるわけです。私は無駄なことはしない主義です!!」




♯8「フェアロン帝国へ」




 高井正は、、剣での基礎練習を30日間、、ポコに猛特訓してもらった。




 敵をポコに出してもらい、、その敵に向かって剣を振る。。




 そして、、ポコは突然、、こう切り出した。。




「これからあなたが救うべき奴隷たちのところへ移動します。。そこには兵隊たちがウヨウヨいますから、、その兵隊たちを片っ端から、、殺していってください!!」




「はっ?? 殺していいのか?? どうやって殺せばいいんだ??」




「敵は首を5センチ以上、、切り刻めば、、自動的に消滅するようになっています。。特訓でやったとおりです。やりたかった殺人ができるんですよ。。しかも、、今度は合法的に。。やる気出ましたか??」




「出ねえよ。。俺は、、自分が痛い想いをして、、初めて、、人を殺すことに罪悪感がな……。人のためになることは死んでもしたくねえ。だが、、この地獄から抜け出すためには仕方ねえな」




 ポコは少しだけ笑みを見せた。。




「ちなみに円形衝撃剣は使わないでください。。奴隷を巻き込んでしまってはいけませんから」




「奴隷を巻き込んだらどうなるんだ??」




「奴隷を殺してしまった場合は、、その分、、その奴隷が感じた分の苦痛をあなたが味わいます。ですが、、ブラッディーソードの威力も上がらないし、、罪滅ぼしステータスもその痛み分、、マイナスになってしまいます」




「なんだそりゃ、、損しかねえな」




「では、、手を繋いでください。一瞬で、、奴隷と兵隊の現場に瞬間的に移動します。。兵隊の姿をしている人たちがいたら、、すぐさま、、攻撃して、、殺してください!!」




「ああ、、兵隊を殺すのは仕方ねえんだよな。奴隷を救うためには……」




「では、、手を繋いでください」




 高井正はポコの右手を、、同じ右手で握った。。




「行きますよ!!」




 




 ポコの「行きますよ!!」という声が響いた瞬間に、、高井正は、、




 フェアロン帝国の奴隷労働所にいた。




 高井正は、、辺りを見渡すと、、すぐ兵隊の姿としか思えない30人ほどの集団を見つけた。。




 その集団が見ている先には、、小さな子供や女はもちろん、、男たちが、、白と黒のシマシマ模様のパジャマみたいなものを着て、、畑仕事をしていた。。




「高井正、、あの兵隊たちを片っ端から殺しなさい!!」




「ああ……」




 ポコが高井正にそう命令した。。






「おい!! 何者だ貴様!!」




「悪いが……死ね!!」




 兵隊の一人に見つかり、、高井正は、、ブラッディソードで近づいてきた兵隊の首を狙ったが……




「ガキン!!」




 すぐに兵隊は高井正の攻撃を、、腕の鎧で防いで、、鋼鉄の剣を抜き、、高井正に襲い掛かった。。




 兵隊は剣を高井正に振り下ろし、、高井はブラッディーソードで防ごうとするが、、兵隊の力が強すぎて、、ブラッディソードで耐えきれずに、、地面に落としてしまう。。




「おい!! 得体のしれない侵入者だ!! ひっ捕らえろ!!」




「なんだ?? こいつは??」




 兵隊たちが、、高井の姿を見て、、驚きのあまり、、一瞬、、固まった。。




 すぐに、、30人以上の兵隊が、、高井正の周りを取り囲み、、高井は腕と足と胴体を押さえつけられ、、身動き取れなくなり、、縄で縛りつけられてしまった。。




「連行しろ!! 牢屋にな!! 気持ち悪い姿しやがって!!」




 兵隊たちは、、明らかに高井を見て、、引いていた。




 異形の者を見て。。




♯9「牢屋」




 


「放せよ!! ぶっ飛ばすぞ!! この野郎!!」




 牢屋へと連行されていく高井の後を、、ポコがさりげなくついていく。。




「おい!! ポコ!! なぜ、、助けてくれないんだ??」




 ポコに話しかけたが、、ポコはこういった。




「あなたが捕まることが、、奴隷解放には必要だからです。。それに、、僕は戦闘には参加できません。あくまで案内人ですから」




 高井を連行している二人の兵隊は、、不思議そうな顔している。。




「誰と話してんだ??」




 兵隊はそう高井に聞いた。




 どうやら、、ポコはこのブラックヘルでも特殊な存在のようだ。。




 高井正にしか見えてないし、、存在を認知できないらしい。。




 


 高井は、、牢屋に着くと、、縄を解かれて、、兵隊に強く背中を押されながら、、




 牢屋のなかへと押し込まれて、、転んだ。。




「痛えな!! 雑に扱いやがって!! 死ね!!」




 悪態をつき、、壁によりかかり、、座った。。




「腹減った!! メシは用意されるのかな……」




 縦4メートル、、横6メートルの長方形の牢屋だ。。




 蠟燭の明かりが一つだけついている。。




 


「そういえば、、この牢屋に来る途中に、、他にも捕まっている奴らがいたよな」




「そうですね。。彼らは、、もちろん奴隷たちでしょうね」




「それより、、なぜ、、奴隷解放のために、、捕まることが必要なんだ??」




「それは、、今は答えません。なんでも教えてもらってばかりじゃなくて、、これから身をもって体験して、、自分で答えを掴み取ってください!!」




 ポコは高井の質問にはあえて答えなかった。。




 高井は疲れて、、牢屋の中で3時間ほど爆睡した。。




「おい!! 起きろ!! ゴキブリ人間!!」




「ん??」




「これからお前はフェアロン帝国の奴隷として、、生きることになる!! これから、、お前が住む部屋に案内する」




「俺が?? 奴隷だと?? ふざけるな!!」




「従わなかったり、、抵抗すれば、、拷問を受けるだけですよ!!」




 兵隊は高井を脅した。




「今は、、兵隊に従ってください!!」




 ポコがそう高井に言い放った。。




「仕方ねえな……」




♯10「ファーバイム」




 


 手錠だけされて、、奴隷部屋へと連行されている高井。。




 途中で、、大事なことに気づいた。。




「あっ!! 忘れてた!! 俺の剣は?? ブラッディーソードが!!」




「私が持っているから安心してください!! ほら!!」




 ポコがブラッディーソードを高井に見せた。。




「はあ、、よかった!! 失くしたかと思った!!」




 兵隊たちは懐疑的な目で高井を見ている。。




 部屋に着いた。。




 ドアのない入り口に、、ベッドとトイレと机しかない。。




 かなり小さいが、、一人の男がいた。。




「まあ、、仲良くやんな!! 喧嘩したら、、拷問だからな!!」




 兵隊はそう言うと、、高井の手錠を外し、、去っていった。。




「お前、、誰だ??」




 高井はすでに部屋にいた男に話しかけた。




 金髪の長髪に、、青白く光る瞳。。かなりの美形で、、ゲームの主人公に出てきそうな男だ。




「わたしはファーバイムという。。君が噂のゴキブリ人間か。まさか、、わたしと相部屋になるとは思いもしなかった。。それより、、着替えたほうがいい。この奴隷服にね。今から2時間後に、、地獄の草むしりが待っている」




「草むしりだと?? ふざけんなよ。。 腹減って死にそうなのに!!」




「昼食まで3時間、、草むしりしなくてはならない。。昼食っていっても、、茹でたじゃがいもだけどね」




「なんでもいい。。ん?? なんだこれ??」




 高井は机に置いてあった、、飴玉サイズの四角いプラスチックの透明なおもちゃみたいなものを手に取った。。




「それに触るな!!」




 物凄い勢いで、、ファーバイムは高井から、、そのおもちゃを取り上げた。。




「そんな神経質になることねえだろ?? 四角い箱の中に、、弓矢が入っているな。。変わったおもちゃだな」




「これはわたしの大事な宝物なんだ!! 勝手に触るな!!」




「触られたくなかったら、、そんなところに置いておくなよな!!」




「そ、、そうか、、確かにな。わたしがバカだった。。うっかり……これは我が家に代々、伝わる家宝なんだ。。しかるべきときに、、このおもちゃの弓矢は、、光り輝き、、世界を救うと言われている。。だから、、いつ、、そのしかるべきときがくるかわからないから、、常に持っているんだ」




「世界を救うか……くだらねえな!! それよりなんでお前は、、奴隷になったんだ??」




「わたしは、、もともと、、ある町の住人だったんだが、、スパイに拉致されて、、ここに来たんだ」




「フェアロン帝国は拉致してでも、、奴隷を増やしているのかよ。。本当に極悪だな!!」




「ゴキブリ人間っていうのは、、悪いことをしたからそのようになったと聞いたことがある。。君は、、何をしたんだ?? っていうか、、君の名前をまだ、、聞いてなかったね」




「高井正だ。。俺は、、この世界に来る前に、、人を8人も殺したんだ。。だから、、ゴキブリ人間になって、、罪滅ぼしをしなくてはいけなくなった。。ここの奴隷を解放することになっている」




「ここの奴隷を解放だって?? それは驚きだ。。世界を救うときにこのトモアローが使えるようになるという言い伝えと関係があるかもしれないな」




「トモアローってなんだ??」




「このおもちゃの弓矢のことだよ」




 ファーバイムはトモアローを手の上に乗せ、、じっくりと高井に観察させた。。




「いずれ、、奴隷解放の時に役に立つかもしれないな。なんでも、、帝王マルカッスを倒さなくちゃいけないからな」




「マルカッスを倒す?? それは無理だ。。彼は最強だ!!」




「いや、、でも、、俺が倒すらしい。。ポコによると……」




「ポコ??」




「そこにいる少年のことだよ??」




「誰もいないが??」




「お前にも見えないのか。仕方ねえな。。俺にしか見えない精霊みたいなものだよ。それより、、マルカッスについて知っていることはないか??」




「相手を無重力状態にして、、無力化させ、、金属を自在に操り、、攻撃することくらいしか知らない」




「なんだ、、そのチート能力は……本当に、、兵隊一人すら倒せない俺が、、そんな最強の帝王を倒せるのかよ??」




 高井はそういうと、、ポコが涼しい顔してこういった。。




「僕の言うとおりにしていれば、、100%倒せます」




♯11「痛み増幅パワー」




 高井は相部屋になった金長髪の美青年「ファーバイム」と、、畑仕事に駆り出されていた。




 辺り一面、、広大な土地に1メートル程の草がめいっぱい生えているのを、、手作業で草むしりさせられていた。




 高井はあまりの草の多さに絶望的な気分になりながら、、草を引っこ抜いていた。




「軍手だけしか渡されずに、、これだけの草をむしれってか?? ふざけてんな。鎌くらいよこせよ」




「鎌は奴隷たちにとって反乱の武器になりうる。だから、、そのようなものは使わせてもらえないことくらい、、わかっているだろう??」




 ファーバイムにそう言われた高井はわざわざ言わなくてもわかっているというような呆れた顔をした。




 案内人のポコは高井のそばにいて、、監視しているだけだった。。




 高井とファーバイムだけでなく、、100人ほどが、、草むしりしていた。。




「タダシ。。これだけの奴隷の人たちが永遠に報われない過重労働を強いられていることに、、可哀想だとは思いませんか?? 助けたいとは思いませんか??」




 ポコは高井にそう唐突に聞いた。




「…………」




 ファーバイムや周りの人の目が気になって、、ポコと会話できない高井。


 


 終始、、無言でポコを無視した。




「返事しなくていいので聞いてください。。あなたは奴隷解放のために、、まず奴隷たちと同じ立場になり、、奴隷たちの心を知る必要があります。。草むしりひとつ無駄にはなりません。頑張ってください」




 高井は、、ポコの言葉を聞いていたが、、ポコの方には見向きもせずに、、なるべく体力を使わないようにしながら、、草むしりをした。




 3時間後、、昼休憩があり、、茹でたじゃがいもが一人3個ずつ配られた。。




「はあ、、やっと休憩か」




 高井はじゃがいもに勢いよくかじりついた。。




「熱っ!! うまーーーー!!」




 高井の幸せそうな顔を見たファーバイムは、、ポケットにじゃがいもを入れようとした。




「あっ?? あれ?? わたしのトモアローがない!! どこだ!! どこだ!!」




 どうやらファーバイムはポケットに宝物であるトモアローを入れておいたらしい。




 それを無くしたので、、焦って、、どこかに落としてないか、、たくさんの刈った草が落ちている土の地面を、、探し始めた。。




「どこだ!! どこだ!! クソーーーー!!」




 叫びながら、、探していたので、、すぐに兵隊に気づかれ、、兵隊は近づいてきた。。




「何の騒ぎだ??」




「いいえ、、なんでもありません」




「もしかして、、このおもちゃを探しているのではあるまいな??」


 


 兵隊が持っていたのは、、トモアローだった。。




「ああああーーーー!! 返せよ!!」




 ファーバイムは兵隊からトモアローを奪い返そうとした




「こんなものを持っているのは規則違反だ。拷問所へと連れて行くぞ??」




「やれるもんならやってみろ!!」




 ファーバイムは兵隊を殴りかかろうとしたが、、兵隊は余裕で腕でガードした。。




 他の兵隊たちも、、もちろんこの騒ぎに集まり、、ファーバイムは10人ほどの兵隊たちに囲まれてしまった。。




 ファーバイムは兵隊たちに蹴られまくっていて、、苦しそうに叫んだ。。




「誰か!! 助けてくれ!!」




 その叫び声に反応して、、一人のベリーショートの赤い髪をした少女が走ってきた。。




「はあああああああ」




 少女は遠くから両手を兵隊たちに向けた。。




「があああああああああ」




 兵隊たちが突然、、苦しみの声を上げた。




「痛い!!!! 痛い!!」




 ファーバイムを取り囲んだ兵隊たちは、、痛みで苦しそうだ。。




 ファーバイムから兵隊たちは距離を置いた。




 すると、、兵隊たちは痛みが引いたようだ。




「こいつに攻撃すると、、痛みが出やがった。何の呪いだ?? こりゃ??」




 兵隊がそういうと、、ファーバイムは立ち上がり、、トモアローを兵隊から取り返した。。




「これは、、私のかけがえのない大事なものだ。友なのだ!! 一緒に持っていないといけないものなんだ!!」




 地面にひれ伏し、、ファーバイムは大声で泣き叫んだ。。




「ちっ!! 勝手にしろ!! キチガイが!!」




 兵隊はそう言うと、、見逃してくれた。。




 高井はベリーショートの少女を見ていて、、話しかけた。。




「お前!! 今!! 何したんだ?? 何か魔法でも使ったのか?? 兵隊たちをやっつけたよな??」




「見られていたの?? まあ、、当然か!! あたいはある特殊な力を使えるからね」




「どんな力だ??」




「相手の体に痛みを与える『痛み増幅パワー』って呼んでるよ。相手にいくらでも痛みを与えることができるんだよ。。凄いでしょ??」




 高井は、、「これは運命か??」と思った。。




 


♯12「仲間だ」




「わたしは『メル』。痛みを与える天使だよ。あんたがゴキブリ人間ね。。噂に聞いているわ。。それで……あんたも痛みを与えられたい??」




「えっ??」




「冗談だよ!!」




 高井はメルにそう言われ、、図星をつかれたような気がした。。




「その冗談が、、実は、、実は……」




 高井はメルに自分のブラッディーソードのことや奴隷解放を目指していることをすべて話した。。




「へーーーー、、奴隷解放をね。。そして、、痛みがパワーになる剣を使っているんだ。。でもね、、あたいは協力したくないな。危険すぎて殺されるかもしれからね。。あたいは死ぬわけにもいかないし」




「なら、、一生、、奴隷のままでいいのか?? こんな苦しい生活を永遠に続ける気か??」




「まあ、、嫌だけど、、マルカッスには勝てる気がしないのよね。。かなり強いって噂だよ??」




「俺は本気だ!! 絶対にマルカッスを倒す。それにはお前のその力が必要だ!! 頼む!! 仲間になってくれ!!」




「考えとくわ……殺されるかもしれない戦いにいきなり参加してといわれてもね……」




 二人が話し込んでいると、、正気に戻ったファーバイムが近寄ってきた。。




「おい、、休憩はあと2分で終わるぞ?? それにこんな話をするのは、、兵隊の前では危険すぎる。。


もっと、、用心して行動しろ!!」




「彼は??」




 メルが高井に聞いた。




「彼は俺の仲間のファーバイムだ」




「誰が仲間だ!! まだ仲間になったつもりはないぞ!!」




「いいや、、メル、ファーバイム、俺、、そして、、ポコは俺の仲間だ!!」




♯13「あと40分で……」




 フェアロン帝国の都市「ハムス」の大広場で、、国の奴隷たち全員、、「約5万人」が集められた。




 そこの真正面に、、帝王マルカッスがいた。。




 帝王マルカッスが姿を見せるのは、、数年ぶりだ。。




 帝王マルカッスは、、得意のダークエネルギーで、、演説をしながら声を奴隷たち全員に聞こえるように届けた。




「お前たちにいいニュースがある。。お前たち奴隷は、、何十年と、、大変な重労働と苦痛な生活を強いられてきた。その、、苦しみから解放するために、、わしは、、この世界もろとも消滅し、、破壊できる爆弾を開発してきた。あと、、40分足らずで、、完成する。そしたら、、わしと、、お前たちも、、みんな、、その爆弾により、、消滅し、、苦しむことはなくなるのだ。生きていることが、、最大の不幸である。。生きている限り苦しまなくてはならない。だからこそ、、苦しみから解放するためには、、私たちは消滅しなくてはならない。40分後に、、すべての苦しみが終わる。楽しみにしておいてくれ!! お前たちを苦しめてきたのは、、早く苦しみから解放されるために、、消えたいという強い想いを引き出すためにやったことだ。消えたいという想いが強ければ強いほど、、爆弾の完成が早まるのだ。。あと、、40分だ。それまで、、耐えてほしい」




 それを聞いていた奴隷たちは、、混乱して、、騒ぎ出した。。




「ふざけんなーーーー!! 勝手にそんな爆弾を作ってんじゃねえ!!」




 ある男の奴隷がそう叫ぶと、、その男は兵隊に狙撃された。。




「バーーーーン!!」




 心臓を見事に打ち抜かれ、、男は即死して、、消滅した。。




「消滅できることが最後の救いであり、、希望であり、、慈悲なのだ!!」




 マルカッスはそう叫ぶと、、姿を消した。




 メルは、、膝を地面について、、絶望的な表情をしている。




「そんな……あたいも、、みんなも、、この世界も、、もう少しで消えてしまうの??」




 涙がメルの頬をつたい、、地面の土を濡らした。




「メル……俺たちは、、戦おう!! ファーバイムも。マルカッスを倒し、、爆弾を阻止しよう」




 高井はメルに手を差し出した。。




「うん!! あたい、、全力でマルカッスを倒すために戦う!!」




「ファーバイムは??」




 高井はそうファーバイムに聞いた。。




「メルと同じ想いだ」




「そうか!! なら!! 今から、、マルカッスを倒しに行こう!!」




♯14「ゲームクリア」




「でも、、どうやって?? マルカッスはあの塔の頂上にいる。あそこまで行くのに、、時間がかかりすぎる……」




 ファーバイムは懸念を口にした。




 


「メル!! 俺たちの前にマルカッスを来させる!! 俺らが行くんじゃなくて、、マルカッス自身に来させるんだ!! 発想の転換だ!!」




「どうやって来させるのさ!! マルカッスに!!」




「ブラッディーソード。。これは痛みを感じた量が多いほど、、威力が上がる。それに、、俺の円形衝撃波で、、塔ごと吹き飛ばして、、マルカッスを俺らの前に来させる!!」




「つまり、、、、あたいがあんたに痛みを与えればいいのね??」




「そうだ!!」




「どれくらいの痛みがいいの??」




「腹の筋肉がつったときの1000倍くらいでどうだ??」




「そんなことしたら、、あんたが……」




「もう、、時間がない。早くしろ!!」




「わかったよ」




 メルは両手を高井に向けて、、痛み増幅パワーを放った。。




「ぐあああああああああああああああああああ」




 高井はあまりの激痛に、、今までにない叫び声を上げた。




 地面に倒れ込み、、体をバタバタさせて、、激痛に耐えた。。




「ああ、、とんでもねえ痛みだった。。だが、、これでブラッディーソードの威力は跳ね上がったろうぜ!!」




 円を描くように剣を振り、、剣を縦に思い切りよく振った。。




 高井は、、塔の頂上に向かって、、今まで練習してきた円形衝撃波を放った。。




 白い円形の光が、、塔に向かって一直線にスローで向かっていった。。




 塔の頂上に光が当たり、、塔は粉々に破壊された。。




 頂上は姿が無くなった。。




 空を飛ぶようにして、、なんと、、マルカッス帝王が、、奴隷たちの前に降り立った。。




「誰がやった??」




「言わなくてもわかってるだろ?? マルカッスよ!! よく来てくれたな。。こっちから探す手間が省けたぜ!!」




「ゴキブリ男か。。まあ、、あと30分で我々は消滅する。。その最後の楽しみに、、お前を蹴散らしてやろうじゃないか」




「爆弾はどこにある??」




 ファーバイムはマルカッスに聞く。。




「それは教えられん!!」




「マルカッスよ!! 奴隷は俺が解放する!! もう、、奴隷たちを苦しめることはさせない!!」




 ポコはその高井を見て、、少し涙を流しはじめた。。




 


 


「無駄だ!! お前たちは身動き取れないまま犬死するだけだ!!」




 マルカッスはダークエネルギーを体全体から出し、、高井、ファーバイム、メルをダークエネルギーで包んだ。




「きゃあ、、動けない!!」




「糞!! どうしたらいい??」




 3人はダークエネルギーにより宙づりにされ、、無防備に近い状態になった。。




「さあ、、誰から痛めつけてやろうか!! 消滅する前の最後の遊びだ!!」




 マルカッスは、、両手を合わせて、、何やら念じだした。




 すると、、奴隷たちを監視していた兵隊たちの剣や槍たちの金属の部分が、、マルカッスの前に集まりだした。。




 その金属の塊は、、ドロドロに溶けて、、熱を帯びだした。。




 超高温の金属の液体になり、、ファーバイムに向かっていった。




 ファーバイムは超高温の金属に包まれ、、マルカッスにより、、拷問された。




「ああああああああああ」




 ファーバイムは、、苦しんでいる。。




 そうすると、、ファーバイムのポケットが、、虹色に光り始めた。。




「これは?? トモアローが……」




 ファーバイムはトモアローをポケットから取り出すと、、トモアローは大きな弓矢へと変化した。。




「ご主人様、、今まで一緒にいてくださり、、大切にしてくださり、、どうもありがとうございました。。私が命を懸けて、、マルカッスの動きを封じます!! その間に、、マルカッスを倒してください!!




 そう、、トモアローから声がして、、




 トモアローは、、宙に浮かびながら、、マルカッスに照準を合わせた。。




 マルカッスは、、溶かした金属で、、トモアローを防ごうと、、トモアローに攻撃したが、、




 トモアローはビクともしない。。




「ええい、、矢などいくらでも避けてやるわ!!」




 トモアローが放たれたが、、超光速で、、マルカッスは体の中心を打ち抜かれた。。




「グアア!! なんて速さだ!!!!」




 マルカッスは胴体を破壊され、、身動き取れなくなった。。




「メル!! 痛み最大パワーで、、マルカッスに攻撃して、、マルカッスを戦闘不能にしろ!!」




 高井が叫ぶ。




「わかったよ」




 メルは両手をマルカッスに向けて、、痛みを最大にして、、念じた。




 しかし、、マルカッスはまるで無反応だった。。




「なっ?? なんで?? 全然、、効いてないよ??」




「その弓矢はかなり応えたぞ!! だが、、私は痛みに強いのだ。あらゆる痛みに耐性をつけるために今まで、、体と心を鍛えてきた。。トモアローにより、、ダークエネルギーが使えなくなったが、、そんなのは必要ない」




 そうマルカッスは言った瞬間……




「僕たちも戦う!!」




「私も!!」




 マルカッスとの戦いが始まってから、、避難していた奴隷の子供たちが、、たくさん高井たちの前に集まってきた。。




「来るな!! 来るな!!」




 高井は叫ぶが……




 マルカッスは子供たちに向けて、、金属で作った超高温の槍を数十本、、放った。。




「グサッ!! グサグサグサッ」




 なんと、、トモアローにより、、ダークエネルギーから解放された、、高井が、、子供たちをかばい、、




 身代わりになって、すべての矢を体で受け止めて、、血だらけになった。。




「グハッッッ!! 体が大きくて頑丈なゴキブリで助かったぜ!!」




「大丈夫?? ゴキブリおじさん!!」




「俺は、、子供たちを苦しめてしまった大馬鹿野郎だ……せめて、、子供たちには罪滅ぼししたかった!! もう、、誰も苦しんでほしくねえんだよ!!!!」




 叫んだ。




 高井正は大声で、、叫んだ。




 それを見ていたポコは涙をたくさん流して、、笑顔になっていた。




 ポコは、、高井には内緒で、、人を救いたいという想いが強いほど、、威力が上がる『スーパーヒーローソード』と、、




 練習量が多いほど威力が上がる『ムーンライトソード』を持っていたので、、




 高井にそれを投げ渡した。。




 すると、、ポコはこういった。




「その3つの剣を融合させてください。。融合しろと強く念じるだけです!!」




 高井は、、激痛で意識が飛びそうになりながら、、




「3つの剣よ!! 融合しろ!!」




 と叫んだ。




 ブラッディーソード、スーパーヒーローソード、ムーンライトソードがそれぞれ合体し、、




 虹色の光放つ「レインボーソード」へと姿を変えた。。




「メル!! 最後のお願いだ。。俺にありったけの痛みパワーを送ってくれ!!」




「うん!!」




 メルは高井に向けて、、「史上最大の痛み増幅パワー」を送った。




「あああああああああああああああああああああああああああ」




 高井は痛みに叫び、、フラフラになりながら、、倒れそうになる自分の体を必死に支え、、レインボーソードで、、マルカッスに向かって円形衝撃波を放った。。




 最期の渾身の力を振り絞って剣を振った。




 トモアローの攻撃により、、身動き取れなくなっていたマルカッスは、、もろに円形衝撃波を食らった。。




「ぐあああああああああああああああ」




 マルカッスの悲鳴が辺り一面に響いた。。




 マルカッスは動かなくなり、、高井たちがマルカッスの元へと近寄った。




「爆弾はどこにある?? 止めてもらおうか!! 死ぬのはお前だけで十分だ!!」




「もう遅い!! 爆弾は完成し、、起爆装置は作動した。。もうすぐ、、わしもお前たちも永遠の消滅だ!! ハハハハハ!!」




「なんだと?? どうしたらいいんだ……ここまでやってきたのに……」




 高井正は絶望した表情で崩れ落ちた。




 泣き始めた。。




「ううううう、、せっかく、、せっかくみんなを救えると思ったのに……」




 涙を流しながら、、嗚咽していた高井正。




 今まで、、その一部始終を見ていたポコは初めて高井に手を差し出した。。




「よくがんばりました。。ゲームクリアです。。あなたの今の姿を見てください。。ゴキブリじゃなくなっていますね。。罪滅ぼしステータスはプラスマイナスゼロどころか、、プラス1億を超えました。もう、、あなたにできることはありません。。これ以上ないくらいの出来です」




「でも、、みんな消滅しちまったら、、嬉しくもなんともねえよ」




「あなたに最後の選択を与えます。僕、、ポコも最後に何かの役に立ちたいものです。ただの2択です。




 ・あなたが永遠に消滅する代わりに、この僕が爆弾を破壊して、、奴隷解放を行い、、この世界を救うか……




 ・あなただけが助かり、、天国へと行き、、この世界を消滅させるか……




 この2択です。どちらを選びますか??」




 高井正は、、一瞬、、笑みを見せてこう言った。




「俺のことはもういい。みんなを頼む!!」




「本当にいいのですか?? あなたは永遠に消滅してしまうのですよ??」




「ポコ!! みんなを助けろ!! 早く!!」




 ポコは一瞬、、笑みを見せた。




 これまでにない喜びに溢れた笑みだ。。




「ゲームクリアです」




♯15「私は……」




  気が付くと、、閻魔の前へと立っていた高井正。。


  閻魔は満面の笑みでこういった。


「よく、、ブラックヘルを救ってくれたな。。ありがとう」


「あっ?? あれ?? 俺、、ポコによると消滅するはずじゃ??」


「あれはポコの嘘だよ。君が自分を消滅させてでも、、みんなを助けるかどうかを最後に、、試したのだ。君は、、ゲームをクリアしたんだ。それより、、君が、、あんなにも奴隷たちを助けようと必死になるとは思わなかった。あのゲームで何を学んたんだ??」


「私は、、最初は、、自分だけよければそれでいいと思っていました。。人を傷つけ、、迷惑かけることに喜びを感じていました。しかし、、自分が痛い想いをするうちに、、こんな痛い想いをするのは自分だけで十分だ。。他の者たちには味わってほしくない。可哀想だからって思いました。だから……」


「よく気づいた。。そこだよ。それを慈悲というのだ」


「私は……私は…人を殺しました……」


 生前、、8人の子供たちを殺したことに対する、、罪悪感に、、胸が張り裂けそうになり、、高井は申し訳なさそうに下を向いた。


「そうだ!! 君は8人も子供たちを殺してしまった。だが、、大事なのは、、過去じゃなくて未来だよ。。これからどうするか。。それが一番大事だ。これから、、その過去を人を救う力に変えて、、呆れるくらい、、善い行いをしていけばいい。君は生まれ変わった。本当に変わったよ」


「私は……8人も幼い子供たちを殺したんだ!! 8人もだぞ?? いくら頑張っても取り返しのつかないことをしたんだよ!! 俺はもうおしまいなんだよ!!!!」


 高井は自暴自棄になり、、地面に膝をつき、、思い切り泣き叫んだ!!


 閻魔は高井のすぐそばまで行くと……


「バッチーーン」


 思い切り、、高井に愛のビンタをした。


「生きてこれから償え!! 本当に人を殺したことを申し訳ないと思うなら、、これから償っていくんだ!!」


「償いきれません!! 俺は8人の尊い人生を奪ってしまった!! ああああああ!!!! 何やってんだ!! 俺は!! どうしていつもこうクズなんだ!!」


 高井は心から絶望した。


「君をブラックヘルの奴隷解放ゲームに参加させたのは、、罪を受け入れ、、生きて償い、、やり直してもらうためだ!!」


「8人も殺しておいてやり直せるわけねえ……やり直していいわけねえ!!!!」


「やり直してくれ!! 本当に殺した子供たちやその家族のことを想うなら、、これから、、やり直して、、たくさんの人を幸せにしていくんだ!! 君がやり直して生きれば、、たくさんの人を救えるかもしれん。。それが本当の償いってものだろう!!」


 閻魔は高井に手を差し出した。。


 高井は閻魔の手を取り立ち上がった。


「ちくしょう!! ちくしょうーーーーーー!!」


 高井は自分の至らなさに感情が爆発した。


「今まで苦しめた人たちのために、、これから人を救っていくんだ!!」


「もう遅い……」


「遅くない!! いつからでも、、いくらでもやり直せる!!」


「…………本当に……ごめんなさい!!!! これからたくさんの人を幸せにしていきます!! 生きて償っていきます!!!!」


 高井正が涙を流しながら、、心を入れ替えた瞬間だった。


「あっ!! そうだ!! さっきのビンタの仕方といい、、手の差し出し方といい、、所々の話し方といい、、もしかして、、閻魔はポコじゃないよな??」


「ん?? まあ、、いいじゃないか、、そのことは……」


 高井正は閻魔がポコかもしれないという疑問を口にした。


 閻魔は上手く誤魔化したが、、実際はどうなのだろうか。。

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