補修
「趣味ができたのは私としても喜ばしいけど、それはそれでちょっとどうかと思うな奥村君」
「は、はい。そうですよね。すみません内海先生」
一ヶ月間僕は『モンY』をぶっ通しでプレイしてた為期末テストで殆ど赤点を取ってしまって補習を受ける事になり、その事について内海先生から叱られている。
だって仕方がない。だって僕にとって″初めて″のゲームだったんだから熱中しないわけがないんだから。
「月一のレポートは問題なくクリアだからヨシとして、まずは補習を終えるまで専念すること。補習を終えるまで活動は勿論、部室の立ち入りも禁止。
分かったね? 奥村君」
「……はい」
帰宅部は月に一度活動報告とである『レポート』を作成して担当顧問に提出するよう義務付けられている。ただの感想文は勿論、提出しなかったり合格のサインを貰えなかった者は例外なく顧問の先生から罰が言い渡されて、それを終えない限り活動を再開することはできないらしい。
私の場合レポートは書き終えて内海先生から合格サインを貰ったから問題ない。だけど補習を終えるまで活動を禁止されたから楽しむことができなくなってしまった。
この高校は一科目につき一週間の補修されるらしい。国語と数学は余裕で高得点を取れたから社会、理科、英語の三科目で三週間補修を受けなければいけない。
(不思議な気分だ…。ゲームも何もかも禁止されたのに全然苦しくない。
こうなったのは僕の自業自得だからしょうがないけど、どうしてこんなに爽やかなんかな.......)
人は誰しも生きていれば必ず『壁』とぶち当たって転んだりつまずいたりする。
■■に何もかも管理され言う通りにしかできなかった奥村は『失敗』という経験を得ることができなかった。
『失敗は成功のもと』というように、『損失』『無知』『敗北』『失態』とあらゆる失敗は自身が経験して向き合ってこそ人は真に『成長』する。
奥村和人は人生で初めて『間違い』を犯して向き合っているからこそ、■■に■■されてた時とは断定的に違うし心地いい。
「三週間はとにかく長いけど、理科のテストを赤点取っちゃったからなあ........。
よし! 補修され終えればまた趣味づくりできるんだ!
それをバネに頑張るぞ。オレ!」
帰宅の最中結論へ思い至った奥村は自信満々に笑みを誇らげながら安全態勢で走ってアパートへ帰宅した。
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(『補修を受けるのは落ちこぼれや馬鹿な人のみ』と今までそう思っていたけど。なんか、思ってたより悪くないね...)
◯月◯◯日に行われる社会の補修授業。
自分と同じく補修を受けるようになった生徒たちを見つめながら奥村はそう思った。
補修を受ける生徒は十五人くらい。一週間補修を受けるからか、生徒の殆どは途方に暮れる顔になっている。
中学ではスパルタの勉強漬け生活の経験もあって補修を一度も受けていない。だからこうして『知らない内容』を体験してまた一つ未知を知り、中学の頃にそう思っていた偏見を思い出して目の前の風景に浸っていた。
「にしても、ナギトさんも補修か...」
ナギトさんは英語と数学が苦手らしくて赤点を取ってしまったから別の所で補修を受けている。
『勉強できない人なんだなぁ....』と内心バカにした偏見をどこかしらで抱いていたけど、ボクもその一人になったから人の事を言えないし、言えるとしてもしない。
「ここはこれで....そう、それです」
「.....」
再試は三日と四日後に行われて、七十点以上を取れば補習が終わるみたいで、今は各自間違った所の予習が行われている。
飲み込みが早くて先生から褒められている。勉強はそこそこできるからちゃんとしてれば赤点を取ることはないから。
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「補習を受けなくていい程の学力を持っているんですから、これからはちゃんとして勉強のことも疎かにしないでください」
「はい」
八十二に七十八。六十九と高得点を取ったので補習は早く終わった。「早く終わらせて部活に励みたい!」という熱意で勉強に取り組んでいたから熱く、歯ごたえを感じてそれなりに楽しかった。
内海先生はボクのテストを見た上でやさしく指摘された。
「約束通り部活の再開を許可しますが、これだけ聞かせてください。
補習を受けてどうでしたか」
「……受けてよかったです!」
ボクは今まで『勉強』に対して苦手意識と僅からながらの嫌悪感があった。勉強が嫌になったのは小一の頃からよく勉強をさせられていたから。
補習はボクが犯した失態だから責任を持ってとりくんだ。それがボクにとって初めての試練だったから。
今回の件で部活ができなくなったり今後の事に影響を及ぼすから嫌でも気をつけるし疎かにする気はなくなった。だって、ボクの大切で楽しい時間を壊したくないから。
補習はネットで軽く見たものを元にそう設定しました。