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帰宅部


「では入部に向けて軽く質問するから「はい」か「いいえ」で答えてください。

 難しい質問はかけないしすぐ終わるからそう気をしきしめなくて大丈夫だよ」



 内海(うつみ)ソウゴ先生。帰宅部の担当顧問で、サラッとした髪型にメガネをかけた男の先生。

 僕と渚翔(なぎと)さんは面接を受ける。それが帰宅部入門の最低条件みたいだから。


「東北さん」と呼んでいたけど「なぎとでいい。それとできればこっちの方で呼んでほしいと言われたから僕はそう呼んでいる。


「自宅でのやりたい事があって入部を希望しましたか?」


「いいえ」


「..........」


「どちらでもないならわかりませんと言えばいいですよ」


「あっ...はい。わからなくてすみません」




 自宅でやりたい事は何一つない。小さい頃から僕が興味が出たもの、やってみたいと思ったものは全て拒否されて諦めるしかなかったから。


「大丈夫ですよ。入部を希望した生徒の中にはどちらにも答えられない人もいますから」


「.....」



「...将来の夢はありますか?」


「いいえ」


「いいえ」



 先程言った通りやりたい事が無い以上夢を持つわけがない。




「学校生活は楽しいですか?」


「いいえ」


「いいえ」



「趣味はありますか?」


「はい」


「...ありません」


 発言を間違えたからすぐに立って頭を下げて謝罪を言って謝った。


「では最後の質問をおこなうね。君達には不愉快にさせてしまうかもだけど、始めに言った通りはいかいいえで言えばすぐ終わるから」



 最後の質問。内海先生がそういうからには辛いんだと思う。

 この面接自体(・・・・・・)、入部希望者がどういう人かをさらけ出させる為のものだ。質問内容を聞く度身体に嫌な感じが出て仕方ないから。

 面接中だから内海先生の方をまっすぐ見るしかないけど、僕と同じく面接を受けている


「過去に辛かったことや(・・・・・・・)大変だったこと(・・・・・・・)はありましたか?」


「――!」



 僕は■■に何もかも制限。決定された。その事の記憶がフラッシュバックし吐き気と恐怖が僕を襲い塗りつぶしてくる。


――奥村さん!



 地獄だった。『死にたい』とまでは思わなかったけど、ただ辛くて苦しくて何回も何回もその思いを味あわされた。



――奥村さん!



「……っ!」


「大丈夫か? 和人」 



 気づけば僕は渚翔に手を握られていた。正気に戻った途端内海先生が僕に謝罪しだして少しの間部室は慌ただしくなった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「じゃあ奥村君は趣味を作るところから始めましょう。それが私からの最初の課題です」



 帰宅部はその名の通り『自宅でやりたいこと』を思いっきり取り組んで励んだりする』部活。なので活動は基本自宅で行うため部室には来ず帰宅しなければいけないが、僕や渚翔さんのように『何も思いつかない』ときは部室に来てやりたいこと探しや息抜きをすることができる。


 内海先生曰く「何事も一つの事が全てではありませんし、両足がなければずっと立つこともできないないように。時には部室に来て気分転換することも大事なので」と条件さえ満たしていれば部室に来て活動することもできるらしい。


「……面白かった」



 一巻だけど気になっていたある漫画を読み終えた。

 面白かった。読んでよかった。と心からそう思えて喜びと楽しい感情が湧き上がってくる。

  

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