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栄華の帝国は一夜の夢に消える

それから歩くこと一週間。景色は変わり、一面は砂漠に覆われていた


「一体どうなってるんだアークブルムは...」


「アークブルムの天候は私たちにも予測できないわ...だからこそ、魔族にしか住めない土地なの。今まではイングラシアの元領地だったから多少は人間の町や村があったけど、これからは期待できないわ」


「綾人様、ガルム様、流石に何か食べてください。私とお姉様にばっかり食糧を...もう何日も食べていないでしょう?」


「ハハッ...戦士がこれしきの空腹でくたばるか...綾人も同様だ」


すると、サメの背びれが綾人たちに高速で接近してくる


「...何か近づいてきます! 全員警戒してください」


「あれは...サンドシャークです! 集団で狩りをする魔物で、他にも多数潜んでいる可能性があります」


「私が防御魔法を張るわ! でも今の魔力じゃせいぜいもって1回が限界よ! それまでに全部倒さないと」


「わあってる! 綾人、どうする!」


(背びれが見えるのは前方に一匹...だが、集団で狩りをするなら囲んで叩くのが定石...)


「エリーさん! 浮遊魔法を唱えてください。タイミングは私が合図します」


「はぁ!? 浮遊魔法なんて使ったらもう他の魔法は使えなくなるわよ! それに数秒も持たないわ」


「それでも大丈夫です! ガルムさんは一撃で敵を倒せるように力を溜めていてください。サラさんはガルムさんと私に強化魔法を! 私はガルムさんが撃ち漏らした敵を倒します」


どんどんとサンドシャークが迫ってくる。隠れていたサンドシャークも綾人たちの四方を囲むようにあつまってくる


「やべぇぞ綾人! もういいだろう!」


「いえまだです!」


サンドシャークたちが綾人たちの目の前に来ると、大きな口を開ける


「今です、エリーさん!」


「ウイング!」


綾人たちが空へと浮かび上がる。すると、サンドシャークたちはお互いにぶつかり混乱状態になる


「も、もう無理...」


エリーの浮遊魔法が解ける。落ちながら、綾人とガルムが剣と斧を構える。そこにサラの完全詠唱の強化魔法が唱えられる


「覇王の鎧...真紅の盾...神よ、我の願いを聞き加護を与えたまえ! アーマーボディ」


「はあああ!」


綾人とガルムの息を合わせた強力な一撃がサンドシャークたちに直撃する。衝撃で周りの砂が吹き飛ぶ。サンドシャークたちは倒れ、残ったサンドシャークたちも逃げていった


綾人たちは歓声をあげる


「やったー!」


その後、綾人はサンドシャークを捌いていく


「おいおい...まさか魔物を食おうってんじゃないだろうな綾人?」


ガルムが引き攣った顔で綾人を見る。綾人は作業をしながらさも当然かのようにガルムに言う


「仕方ないだろ...今は食糧がない。次の町があるかも分からない。選り好みしている余裕はないんだ」


サラは本を開きながら言う


「サンドシャークは...一応食べられるようですね。しかし、味はアンモニア臭がキツく食用には適さないと」


「わ、私は要らないわ。そんなにお腹空いてないし」


エリーはそっぽをむく


「私も遠慮しておきます」


「ガルムさんも手伝ってください。私だけでは捌ききれません」


「お、おう...」


綾人とガルムはとりあえず二匹ほどサンドシャークを捌き切った。ひとまず二人分を切り分け、火を焚いて肉を焼いて皿に移した


「見た目はただの焼き魚なんだよな。しかし...」


「うっ...クセェ...」


ガルムが鼻をつまむ。


(あっちでも韓国でホンオフェって料理を食べたことがあるが...あれ以上の激臭だな)


「本当に食べなくていいのですか? エリーさん、サラさん」


「は、早く食べなさいよ! こっちまで匂ってくるから!」


「私は他の肉を乾燥させて保存食にしないといけないので」


そのとき、ガルムの腹がグゥーと鳴る


「覚悟を決めるしかないか...」


綾人がガルムに言う


「せーのでいくぞ」


二人が皿を持ち上げる。お互いに顔を確認する


「せーの!」


綾人の掛け声とともに、二人は皿いっぱいに積まれたサンドシャークの肉を全て平らげる


「うっ...」


ガルムが口を抑える


「ガルムさん、絶対に吐いちゃダメです!」


ガルムは数回噛むと、全て飲み込んだ。綾人も数十回ほど噛み、全て飲み込んだ


「はぁ...はぁ...はぁ...」


そして、綾人たちは日陰で数十分休むとまた歩き出した。さっきまでエリーとサラの後ろを歩いていた綾人とガルムだったが、今は二人に並んで歩いている


「綾人...確かに死ぬほど不味かったが...腹の足しにはなったな」


「えぇ、食糧も大量に確保できました。あとは水ですね。どこかにオアシスがあればいいのですが...」


サラが地図を確認する


「このガリアム砂漠を抜けた先に、巨大な湖があります。そこまでなんとか頑張りましょう」


それから何時間も歩き通すと、やがて森の中へ入り巨大な湖が姿を現した


「やっと水が飲める...!」


綾人たちは湖に近づくと、水を手ですくって飲んだ


「ぷはーっ! 生き返るー!」


「はぁ...もう汗で服がビショビショ。」


「そうですね、お姉様。」


そう言うと、エリーとサラが綾人とガルムの方を見る。綾人はすぐに察したが、ガルムはどういうことか分かっていないようだ


「ガルムさん、私たちは周辺に何かいないか探しましょう。ここなら果物や、小動物がいるかもしれません」


「ん...? あぁ、分かった」


ガルムは綾人に言われるがままに綾人についていく。


そして数時間後...


綾人とガルムはシカ一頭と、野ぶどう、薬草など様々な食糧をとっていた


「もう十分じゃないか綾人。これ以上は持っていけねぇよ」


「そうですね。そろそろでしょうか...」


すると、エリーとサラが綾人とガルムを呼びにきた。二人の服装が変わっている


「エリー、サラ、お前たち一体何してたんだ?」


とガルムが聞く。すると、サラがガルムを睨みつける


「セクハラですよ」


「なんで!?」


「綾人、あんたたちも体洗ってきなさい。あと口も」


「うっ...中々に傷つきますね...さて、ガルム。集めた食糧は一旦エリーさんとサラさんに預けて湖へ行きましょう」


そして数十分後...


服を着替えた綾人とガルムはエリーとサラに合流した


「さて、ここに長居する理由もない。出発するとしよう」


「お待ちを...」


綾人たちの背後から突然声がした。綾人たちは振り向きながら後ろに下がる


「何者ですか!」


綾人が剣を構える。声の正体は、シカの顔をした紳士風の服装をした魔族だった


「失礼しました...ワタクシは天魔十二将が一人、ウリムラと申します。しかしワタクシに戦闘意思はございません。勇者綾人様と直接お話がしたく馳せ参じました」


「何....!?」


綾人は少し力を抜く


「騙されちゃダメよ綾人! マジックシールド!」


(こいつはヤバい...本当にヤバい...)


エリーの足が震える。


「おや、そちらには魔法使いがいるようですね。素晴らしい魔力コントロールです」


綾人はエリーをチラリと見ると、手を広げて皆を静止する


「みんなは手を出さないでください。この方には本当に戦闘の意思がない。その気なら今頃私たちは全滅しています」


ウリムラはニヤリと笑うと、咳払いをする


「感謝いたします...では本題へ移りましょう。勇者綾人様、あなたは魔族、魔王様をどういう存在と思われていますか?」


「.......私たちと同じ感情があります。ですが人間を酷く憎んでいる」


「では聞きましょう。あなたは人間と魔族、どちらの味方なのか?」


「...あなた同じ天魔十二将のエルシャバラナは、過去に人間に故郷を滅ぼされ、復讐に走り沢山の罪なき人々に手をかけました。だから私は勇者としてエルシャバラナを討伐しました。...今は見極めたいのです。魔族が人間にとって害のある存在か否か」


「では最後に聞きましょう。...あなた、魔王直下の天魔十二将の一席につきませんか? あなたが3人も討ち取ってしまったせいで空きができてしまっているのです。魔族になりさえすれば、人間の何十倍も長生きできます。魔力がみなぎり、あなたは魔王様に並ぶ存在になれるでしょう。どうですか? 悪くない話でしょう」


「お断りします、私は勇者綾人。魔族に堕ちてしまえば、それはもう勇者ではありません。勇者とは人々の希望。その人々の期待を裏切るようなマネはできません」


「おや...それは残念ですね。いいでしょう、魔王城まできなさい、勇者綾人。そこまでくればワタクシが直々に相手してあげましょう...」


そう言い終わると、ウリムラは霧のように姿が掻き消えた。話を終えた綾人は疲労が一気に来て地に足をついた


「綾人!」


ガルムたちが綾人に駆け寄る


「綾人様、お怪我はありませんか?」


サラが回復魔法を唱えようとする


「私は大丈夫です。...ここで私たちを皆殺しにすることもできたはず。なぜ見逃したのでしょう...?」


「えぇ...あの魔力...私とは明らかに次元が違う魔法使いだったわ」


「あぁ...俺には魔力は感じられねぇが、プレッシャーがビンビン伝わってきたぜ」


綾人は立ち上がると、地図を広げる。


「私たちが今いるのは...アークブルム西部の幻獣の森ですね。ここからはるか先、東の果てに魔王城が...!」


ガルムが綾人の持っている地図を覗く


「ここから一番近いのは、骸の都だな」


サラは持っていた本をめくる


「確か...ありました。骸の都。凶悪なアンデッドの棲家です。はるか昔、イングランド王国とアークブルム魔導帝国を含む広大な領域を持つ王国の首都だったようです。しかし、ある一人の魔導士が発動した禁忌魔法によって一夜にして消滅しました。それ以来、無念のままに死んだ王都の人々の魂はその地に囚われ続け、成仏できずにいるのです。」


「私アンデッドとか無理なんだけど...腐った匂いがするし、髪引っ張るし!」


「はい、お姉様。私もアンデッドは苦手です」


「アンデッドには神聖魔法しか効きません。なるべく戦闘は避けていきましょう」


綾人たちはそれから森を抜けると、枯れた木々が広がる荒野を進んでいく。やがて、廃墟となった都が見えてきた。綾人たちは門の前に立った


「門はもうほとんど朽ちているな...」


「うぅ...アンデッドの匂いが...」


「頑張りましょうお姉様。ここが踏ん張りどころです」


「行きましょう」


綾人たちは都に入っていくのを一匹のコウモリが見ていた。コウモリは城の中に入っていくと、玉座に座るこの廃墟の城の主に報告する


「カロン様、侵入者でございます」


主はコウモリに命令する


「ヨの元まで連れてこい」


「ははっ!」


コウモリはまたどこかに飛び去っていく


廃墟の城を歩いていく綾人たち。中は当時のまま残っている


(ゴーストタウンみたいだ...下手なお化け屋敷よりよっぽど雰囲気がある)


「おーい、綾人ー。なんか高そうな花瓶があるぜ?」


ガルムが家の中を探索している


「ちょっとガルム! 置いていくわよ! 私は一刻も早くここから離れたいの!」


「ガルム様、ここにあるものは触らないほうがよろしいかと。祟られますよ」


「わあってるよ...ちょっと気になっただけだ」


さらに進むと、城の前まできた。


「これは...イングラシアの王城に引けを取らないな」


廃墟の城といえども、栄華を誇った王国の跡は見る者を惹きつける力がある


「そういえば...ガルム様が見当たらないようですが」


「ほっときなさいよあの馬鹿は。どうせ王都の中を探検でもしてるんでしょ」


そう言い終わるや否や、エリーの周りには誰もいなくなっていた


「わ、私を怖がらせようとしてるんでしょ? さっさと出てきなさいよ! 綾人ー、サラー!」


しかし、声は虚しく空を切るだけだった。


「もう...無駄な体力使わせないでよ...」


エリーは魔力コントロールで周囲を観察する。しかし、周囲に魔力の反応はない


「う...嘘でしょ...? まさか...」


すると、背後から声がする


「そう、そのまさかだ...」


エリーが恐る恐る後ろを振り向くと、頭だけの骸骨がカタカタと歯を鳴らしていた


「ギャアアア!」


エリーは気絶した。すると、周りの地面からゾンビが這い出てきた


それから綾人たちは見知らぬ場所で目を覚ました


「ここは...」


周りにはガルム、エリー、サラが倒れていた


「....はっ! おい、しっかりしろ! ガルム、エリー、サラ!」


すると、ガルムたちは目を覚ます


「どこだ...ここ...」


「頭痛い...って、髪ボサボサじゃない! あの骸骨...! 次会ったら浄化してやるわ」


「確か罠魔法にかかって...」


全員が目を覚ますと、目の前の玉座に座っている黒いローブを見に纏う骸骨がいた


「おはよう諸君。ヨは天魔十二将、カロンである」


綾人が剣を構える


「何用ですか? 随分と手荒なマネをしてくれますね」


カロンはカタカタと歯を鳴らす


「魔王様より貴様らを抹殺するよう命が下った」


カロンが指を鳴らす


「ゾンビ共! こやつらを抑えておけ。ヨが首を刈り取れるようにな」


暗闇の中からゾンビが現れる


「全員警戒! 四方からゾンビの大群!」


「こんなのどうしろってのよ!」


「綾人、どうしたらいい!」


(アンデッドには神聖魔法が有効...しかし、唯一神聖魔法が使えるサラは神聖魔法が苦手で詠唱にも時間がかかる...)


「サラさん、神聖魔法を! ひとまずこのゾンビたちを浄化します」


「綾人様、この大群を浄化させるとなると、10分は詠唱時間が!」


「構わない! ガルムさん、エリーさん! サラさんを全力で守ってください!」


「おう!」


「分かったわ!」


カロンは玉座に座りながらその戦いを観察してはカタカタと歯を鳴らしていた


それから綾人たちはサラを10分間守り抜いた


「ファイヤーボール!」


「はぁっ!」


「アイスエイジ!」


ゾンビたち一体一体は弱いが、魔法を喰らいながらも何度も立ち上がってくる


「魔力が溜まりきりました! 皆さん巻き添えを喰らわないように私の近くに!」


綾人たちがサラの近くに集まると、サラは魔法を唱える


「迷える魂よ...この地に縛られる哀れな魂たちよ...今解放します! ホーリーライト!」


天井に穴が空き、天から光が降り注ぐと、周りのゾンビたちが照らされ、灰となって消滅した


「次はお前だ、カロン!」


綾人は剣をカロンに向ける


「...面白い。ヨを楽しませた礼だ。ヨが直々に相手をしてやろう」


カロンは席を立つと、横に立てかけてある鎌を手に取ると、魔法を唱える


「ブラッドレイ」


すると、大量の血の斬撃がカロンの鎌から飛び出す


エリーとサラは咄嗟に防御魔法を唱える


「マジックシールド!」


「アーマーボディ!」


だが、斬撃はその魔法の防御を容易く貫通した


「がはっ!」


ガルムが綾人たちの前に立ち、攻撃を受ける


「ガルム!」


綾人は回復魔法を唱える


「ヒール!」


ここでダメージを受けていないはずのサラが倒れた


「サラ、どうしたのよ!」


エリーがサラを揺さぶる


「ごめんなさい、お姉様。どうやら魔力切れのようです...」


カロンはカタカタと歯を鳴らす


「頼みの綱の神聖魔法の女は魔力切れか。これでもうヨに対抗する術はないぞ?」


(完全詠唱なしであの威力だと...? 神聖魔法が使えるサラも魔力切れ...何か手は...)


「綾人! 次が来るぞ!」


(ひとまず上に...!)


「エリーさん、浮遊魔法を!」


エリーが浮遊魔法を唱える


「ウイング!」


「ほぅ...? 上へ逃げたか。なるほど、空中ならばヨの斬撃も届かぬ。だが、完全詠唱ではない浮遊魔法で一体いつまで空中に止まっていられる?」


(この間に何か手を考えるんだ...! 何か...!)


「綾人、いい作戦があるわ」


綾人はエリーの顔を見返す


「あの血の斬撃、おそらく弱点がある。カロンが魔法を唱えたとき、一瞬カロンの右胸のあたりに心臓のようなものが浮かび上がったの」


「なるほど、それが弱点かもしれないってわけか!」


「ガルムにしては冴えてるじゃない」


「...危険な賭けですが、悪くありませんね。 攻撃を誘発し、弱点をつく。その作戦にはあの高速の斬撃を掻い潜り、素早く弱点をつける者が...」


エリーとガルムが綾人をじっと見る


「私ですか...わかりました。しかし、私にはあの高速の斬撃を掻い潜ることは不可能です」


「何言ってんの。私たちがいるじゃない。防御魔法くらいならあと一回いけるわ」


「俺は攻撃を誘発しよう。」


「よし...! この作戦で行きましょ...」


そして、空中から降りてきた4人は戦闘不能のサラを一番後ろに配置し、前からガルム、綾人、エリーの順に並ぶ


「ヨを倒す術でも浮かんだか? もう浮遊魔法は使えぬようだな」


「うおおお!」


ガルムがカロンに突進していく


「いい加減目障りだ。ヨの前から消えよ!」


カロンは魔法を詠唱する


「真紅の月...血塗れの紋章...幾千の屍を越えて、我らが帝国を築け。ブラッドレイ!」


鎌から一つの巨大な斬撃が飛び出す。しかし、それと同時にガルムに完全詠唱の防御魔法と強化魔法がかかる


「覇王の鎧...真紅の盾...神よ、我の願いを聞き加護を与えたまえ...アーマーボディ...あとは頼みます。ガルム様、綾人様、お姉様...」


「ありがとう...サラ! 英雄の夢...栄光の光...我らの英雄を守る盾となりて顕現せよ! マジックシールド」


「馬鹿な...! その神聖魔法の女は魔力切れだったはず...! ヨが魔力コントロールを誤るなど...!」


「バーカ! それはお前の魔力コントロールをサラが上回ったってだけの話だろ」


ガルムは巨大な血の斬撃を叩き折る


「行け綾人!」


「カロン...眠れ! そして死者の世界へ帰るがいい!」


「フェニックスウイング!」


綾人がカロンの浮き出た心臓を切った


「オォォォォ...ヨはカロン...天魔十二将、カロン...いや、違う。ヨは...ヨは...」


そのとき、カロンに手が差し伸べられた


「もういいのです、王よ。あなたは十分に役目を果たしました。」


「その声は...フルス! 余は...国を、民を...守れなかった...だから、せめてこの地だけでも守ろうと...」


そのとき、カロンは女性に抱きしめられた。カロンは暖かな光に包まれ人間の姿を取り戻していた


「カロエル...もう眠りにつきましょう」


「あぁ...エレス...そうだな...長い間、世話をかけたな...」


綾人はカロンの記憶を見た。その後、綾人たちは空の玉座に花束を置いた


「カロエルさん...あなたはこの世界の誰よりも立派な王でした」


そして、廃墟の都を出る


「なぁ綾人。さっきの言葉、何だったんだ?」


「教えませんよ」


「なんだとー! 仲間に隠し事かー!」


「相変わらず察しが悪いですね、ガルム様」


「はぁ...アンデッドを相手にするのは二度とごめんよ」


エリーは髪をクシでときながら悪態をつく。廃墟の城を背に綾人たちは魔王討伐の旅を続けるのだった










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