幻想
夢。それはロマンにあふれた物語。素晴らしき物語。
ああ、夢、夢、夢!!
今も昔も夢は素晴らしいものだ。
夜に浮かぶ月みたいなものだ。美しくて、とても焦がれる。憧れ。
夢、夢、夢、夢、夢、夢!!
見てしまったのだ。あの時、燦然と輝く自分を。未来が。
努力すれば。諦めなければ。叶うと。今も。信じていた。気づくべきだった。遅すぎた。
夢に魅入られてしまったのだ。すがるしかなかったんだ。それしか、それでしか自分を保てなかったんだ。
10年、20年と、時間を重ねて。残ったのは「夢」だけ。いや、元々それしかなかった。
無駄な時間を過ごしたとは思わないさ。でも、こんな結末になるのであれば、ほかの道を選んださ。
「現実を見ろ」とお前等はいうけどさ。何度も見たんだよ。
このままでいいのかな。とか。将来のこととか。考えたよ。何度も何度も何度も何度も考えたさ。
自分が天才でもなんでもないことは知っていたよ。とっくの昔に知ってるんだよ。
なんなら、自分は周りと比べて馬鹿だってことにも気づいていたよ。
頭良ければ夢なんてモノ見ないからな。
現実を見て、打ちひしがれながらここまで来たんだよ。来てしまったんだよ。吐き気がするね。
プライドと劣等感、希望に絶望に。
特別でもなければ普通でもない。クソみたいな人間の出来上がり。酒の肴に合いそうな話だ。
「どうして諦めなかったのか」だって?
は?諦めきれなかったからこうなっているんだよ。諦めきれたら、諦めさせてくれたら、こんなにも苦しむこともなかったんだ。全てなくなって、全て捧げて、それでも。諦めるなんて簡単なことが出来なかったんだ。
やっぱり、俺みたいな馬鹿が夢なんて見たのが運の尽きだったんだ。喰われちまった。呪いみたいなものだ。だって、何もかも失ってもなお夢を見てしまっているのだから。終わりだ。幻想だったのだ。
夢も。人生も。生きる意味も。ジョーク。嗤い。
40歳の自分を想像して書いた。
そしてこれは現実になる…かもしれない




