おねぇ聖女が凄すぎて、歴史書には残すことができません!14.取り引き
私はエドガー・バルマー。魔王ルシフェルが二回も現れた経緯を報告する為に登城した。
だが、通されたのは第一王女クララ様のお庭だ。王国の実権は……いや、恐ろしい事を考えるのは駄目だ。
「……という事で魔王は既に王国の脅威になりつつあります」
報告は取り敢えず終える事ができた。椅子に座りながらの報告は逆に緊張するな……ん? クララ様の表情が驚きに満ちている? 変な報告をしてしまったのか?
「ここに居たのか。余はお前に話がある」
な!? その声……その威圧……いつからそこに居た? 私は思わず振り向いた。
「何も争おうと言う訳ではない。そうだ……何か望みを叶えてやろうか? 世界の半分が欲しいか?」
魔王……
「まず服を着ろー!!」
私は思わず叫んでしまった。
◇
「人間の服というのは窮屈だな……」
何故こうなった? 魔王が普通に寛いでるではないか……紅茶を飲む姿も優雅だ……
「お前の望みは叶えた。では、余の要求を言おう……」
鋭い眼光……流石は魔王だ。何を要求されるのだ……争わないとは言っていたが……
「あの聖女の名前を教えろ!」
はぁ? 何だ? 心做しか魔王の顔が赤いのは気の所為なのか?
「マリアよ。聖女ヴァルヴァラの名前に誓って嘘は言いません」
ヴァルヴァラ?! 何故ここに? 振り向くとハインツ殿も剣を構えている。
「勇者ともう一人の聖女か……余は見ての通り話し合いに来ている。まあ、座れ」
ハインツ殿はクララ様を庇うように用意された椅子に腰を掛ける。うむ、絵になるな。私も聖女の護衛として守らなければ……っと、あまり密着しては……
「なんだ、お前らは番か……なら、話が早い。余の願いも理解できよう」
こいつは何を言っている? 何が狙いだ?
「エドガー……この魔王は良い魔王よ」
おい、ヴァルヴァラ……何をウットリしている? 魅了魔法をかけられた素振りはなかったが……
「余はマリアが気に入った。マリアが余の嫁になるように説得しろ」
どういう事だ? 魔王の力があれば強引なこともできるはずだが……説得だと?
「王国の繁栄が対価として必要よ。でも、マリアが死んだら貴方はどうするの?」
クララ様?! たった今、貴女は聖女を売りましたよ?
「なんだ、貴様等は知らんのか? 聖女は魔王が死なぬ限り死ぬことはない。自死を選ばない限りな」
まさか? 私は驚いてヴァルヴァラを見ると頷いている。
「交渉は成立ね。エドガー、ルシフェル様を接遇しなさい」
ク、クララ様……なんて王家は恐ろしいのだ……