表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/27

意気込み ~相原涼音の場合~

 暖かい日差しの中、大学内にあるカフェで一人座って本を静かに読む女性に、彼女の友人が声をかける。


「今日はなんの本を読んでるの?」

「《ヒストリアン・マッチ》っていうカードゲームの公式ルール本」


 友人、由良美香に問いかけられた女性、相原涼音は読んでいたところにしおりをはさんで表紙を見せ、指でタイトルをなぞる。


「へぇ、涼音がそんな本を読んでるなんて珍しい……っていうか、その姿で読んでいる内容は想像つかないわ」

「そう? 昔は学校の空き時間にはこの本に必ずしがみついていたけれどね。大学に入ってからは……はじめてかもね。でも、そんなに意外かしら」


 優雅に話す彼女たちの内容は端から見ると想像がつかなかったが、もっと想像がつかないのは涼音が読んでいる本のタイトルだった。

 美香は本気で首をかしげる涼音にどうやって驚きを示そうかと思ったが、結局はストレートに伝えることにした。


「うん、意外。なんでそんな本……って言っちゃ悪いけれど、そんな本を読んでるの?」

「再来週にこのトップが集まる試合があって、私も招待されているの」


 そういって鞄の中から黒色の封筒を出して招待状を見せる。そこに書かれた文面にへぇと感心するが、読み進めた美香はどう見ても男の子向けだよと呆れはじめる。

 あはは、やっぱりそうだよねと少ししょんぼりしながら読んでいた本や封筒をしまう。そして机の隅に追いやられていた飲み物に手を伸ばす。

 そんな彼女を見ながら、同じ社長令嬢といっても私と違うわと呟き、涼音さん、頑張ってと小さくこぶしを作ってファイト!と美香は応援していた。

大企業の社長令嬢。

小さいときに親戚中をたらい回しにされた経験を持つが、その中で礼儀作法には厳しく叩きこまれた。そのためどんなときでも優雅にしていると見えてしまう。

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ