涼やかで優雅なお茶会
「さ、食べましょ」
「ありがとうございます」
優華が通された豪華な調度品が置かれた部屋で用意されていたのは、いわゆるアフタヌーンティーセット。
「うーん、やっぱりフラガンシアの紅茶はいいわね」
「それにこのレアチーズタルトもすごくしっとりしていて美味しい」
「こちらのラズベリーを使ったミニエクレアもすごく考えられているわね」
この部屋の主、相原涼音が矢継ぎ早に口にしているのを見て、優華は自分とは住んでいる世界が違うんだと思い知らされていた。
「今日は優華さんの準優勝おめでとう会なんだから、召しあがってね」
「あ、はい」
多分この人は周りの人も同じものを食べているから、みんなのために持って帰りたいとか思わないんだよなぁと思ってしまった彼女だが、勧められるまま一つとって口にした。
チョコミントのシュークリームは生地がサクサクで中のクリームも甘すぎない。
文字通り口の中で溶けてしまう不思議な食感だった。
「しかし、『大陸渡来の仏門創成』を破る方法があるとはね」
「まったくです。あの場面で『守りきった夫婦の契り』と『古代朝鮮三国統一の徒』は思い浮かばないというか、卑怯です」
準決勝で敗れた涼音は舞台袖で決勝を見ていたが、あの二手は隣で見ていたルドルフでさえも予想できなかった。
順当ならばもう少し高レア、SSRかURを出すのが最善手なのだ。
それさえも覆したのが彼女の対戦相手。しかし、まったく優華の顔には卑怯だという感情は見えなかった。
「その割には嬉しそうじゃない?」
「はい。だって、櫻さんと仲良くなれましたし、なにより来年どうやって総花さんを攻略しようっていう楽しみができたんですから」
「そうね」
私も楽しみよと涼音は次のお菓子に手を伸ばし、互いに穏やかな時間がすぎていった。




