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苦い誘惑

「やっぱり目に狂いはなかったな」



“レギオン・バトル”から一週間後。青を基調とした高級ホテルのようなオフィス。

 白いスーツを着た金髪の男の手には新聞があり、そこには“レギオン・バトル”のことではないが、予選で戦った少年のことが特集されていた。


「『ドイツ生まれの青年 たった一人、日本で乗りきれる理由』か。よく書かれすぎているような気がするが、それはこちらの僻みというものだろうな」


 ルドルフがグスタフことを知ったのは偶然なんかではない。

 すでに彼と会う数年前、父親から送られてきた将来の採用候補者の身上書で知っていた。彼もまた本国ではやんごとなき家柄で、そのつながりでこちらに紹介されたらしい。五歳の時点で将来を決定されていたとは、同じ境遇すぎて同情してしまったくらいだったのを覚えている。

 だから彼のことは書面では知っていたが、まさか“ヒストリアン・マッチ”で戦うことになるとは露にも思っていなかった。

 しかし、その分、身上書だけでは知りえないことまで知ることができ、いい意味で裏切られた。


「来年、いや、四年後どうなるだろうか楽しみだね」


 すでに大学進学が決定しているらしい彼の将来に期待したルドルフは新聞をしまい、本来の業務を行うためにヒルダを呼んだ。

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