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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

milk味のキス

作者: 針子鼠

 運命とは、時に残酷で、冷徹だ。それは誰もが生きている上で実感する、ごく当たり前のことなのだろう。けれども僕らは、大人であっても子供のように、運命を拒否しようともがく。子供たちも、大人達のように、運命から逃れようと暴れることもある。


 どちらがどちらで、どちらがどちらであろうと構いなく、僕ら人間は素直に残酷な運命を受けとめられない。


 それはいい事なのか悪い事なのか。その問いに答えはない。きっと全知全能の神であろうと、簡単には答える事は出来ないと思う。


 僕の名前は仙道由貴センドウユキ。他人から見ればどうでもいい事ばかりを考えているらしい、四原学園の高等部二年。


 屋上のフェンスにもたれて、空を見ていた僕は、朝食代わりの牛乳パックに刺したストローをくわえたまま、ただただ空を見ていた。


 その行動は、今日に限らずいつもしていることで、もはや習慣となっているから、止める気はさらさらない。それに


「由貴、またここにいたのか」


 今日もまた、僕は彼に声をかけられて、自分の世界から現実の世界に引き戻される。


 こんな単純な事を毎日繰り返している僕らは、物好きだと人は言うだろう。


 学校の屋上で考え事をしながら朝食を摂り、彼が来るのをここで待つ。僕にとってはこういう日常は、嫌いではない。きっと彼も同じように考えているに違いないだろう。毎朝、屋上にいる僕に声をかける。そんな日常を、彼は嫌ってはいないと思う。


 わかるんだ。


 だって、僕らは似たもの同士だから。


「おはよう。優太」


「…おはよう」


 僕が振り返って笑いかけると、彼もぎこちないながらも笑顔で返してくれる。


 振り返った顔に合わせて、屋上のドアの前にいる彼に体を向けた。手に持ち直した牛乳は、もう飲み終えていた。


「やっぱ牛乳だけじゃお腹ふくれないね」


「…」


 優太は僕の前にやってきくると


「だろうな」


 といって、僕の唇に、自分の唇を重ねた。


 僕も負けずに彼を求めるように、牛乳を離した右手で、彼の頭を押さえた。


「ん」


 お互いの息が熱くなるにつれて、キスも深くなる。


 運命とは、なんと残酷なのだろう。


 僕らは出会ってしまった。


 お互いに惹かれ合い、結ばれることはないと分かっていても、離れることは出来ない。


 悲しい、悔しい思いが胸を渦巻く。


「由貴」


 でも、この声が聞こえるだけで、僕は幸せなんだ。


 運命なんて、残酷だとしか思えない。


 けれど、僕に幸せを教えてくれた君に出会えたのが、運命のせいだというのなら、嫌いにはなれない。


 いつか僕らには、別れなければならない日が来るだろう。


 兄と弟。


 この壁は、とても大きい。


 でも、君を愛しいと思う気持ちは、もっと大きい。


 大きいんだ。



初めてのBL挑戦。やや不満足な出来になってしまいましたが、皆様の暇つぶしになったのなら、嬉しいです。読んでくださり、ありがとうございました!

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