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倒れた団長

今回からミリウスの回になります(o*。_。)oペコッ

そして、そろそろお話が大きく動き出す……はず(多分)

「オーティス様。どうか、なさいましたか?」


 とりあえず、こんなにも息を切らして急いでいるのだ。何かがあったのだろう。そう判断し、セイディはクリストファーから離れながら、オーティスにそう声をかける。そうすれば、彼は「あぁ、そうです、そうです!」と言いながらセイディの手首を掴んだかと思えば、「ちょっと来てください!」と言ってセイディのことを半ば無理やり連れて行こうとする。その力は少年の力にしては、少し強めだろうか。そんなことを冷静に分析しながら、セイディはオーティスに引っ張られていた。その後ろから、戸惑ったようなクリストファーが付いてきていることも、セイディにはわかっていた。


「あ、あの、理由を、まずは理由を教えていただいても……? それから、少し落ち着いた方がいいかと……」

「あっ、そ、そうですよ、ね……。えっと、まずは落ち着く、落ち着く……」


 セイディのその言葉を聞いて、オーティスは一旦セイディの手首を離して深呼吸をする。そうすれば、「よし、もう、大丈夫!」と言ってセイディとその後ろにいるクリストファーに視線をやった。だが、すぐに疑問を抱いたらしく「何故、クリストファーが付いてくる?」とぼやいていた。そのつぶやきがしっかりと聞こえていたらしく、クリストファーは小さく「気になるので」と言ってオーティスをまっすぐに見つめていた。


「えっと、セイディさんって、治癒とか出来ましたよね?」

「まぁ、元聖女ですから」

「じゃあ、解毒魔法の一種とかは?」

「それも少しは、かじっていますが……」


 しかし、すぐにオーティスはまた冷静さを見失ったらしく、セイディに詰め寄ってくる。そして、セイディの回答を聞いた後、セイディの手首を掴んでどこかに連れて行こうとする。……方向と話からして、騎士団の寄宿舎にある医務室だろうか。あそこは怪我人を治療する場所。そこにセイディを連れて行くのは、セイディが元聖女であり治癒魔法が得意からだろう。……だが、王宮には怪我を治療するスペシャリストがそろっているはず。そのため、セイディの力など必要ないとも思ってしまう。もちろん、万が一のことも考え、解毒のスペシャリストもいるはずである。


(そもそも、私は解毒魔法をかじっているけれど……そこまで強くは……って)


 多分、セイディもあまり冷静ではなかったのだろう。そのため、オーティスの言葉の意味がよくわかっていなかった。だからこそ、今更「解毒」の意味が分かってしまう。……まさか、誰かが毒にでもやられてしまったのだろうか。いや、解毒魔法はそれ以外に使うことは滅多にないため、そういうことなのだろう。


「オーティス様? その……解毒魔法って、どういうことでしょうか……?」

「い、いえ、王宮からも解毒魔法が使える人が来ているのですが……どうにも、あまりうまくいっていないみたいで……。それで、リオさんに訳を話したら、いったんセイディさんに頼ってみるかってなりまして……」


 オーティスはそう言って、目を伏せてしまう。それを聞いて、セイディは微妙な気持ちになってしまった。解毒魔法を使える人間が王宮から来ていて、上手くいっていないのならば自らが解毒出来るわけがない。王宮の人間はそれぞれ専用の治癒魔法を研究している。それに比べて、セイディは浅く広くをテーマに学んできた。知識で、勝てるわけがない。


(私にできるなんて、思えないのだけれど……。やってみるしか、ないわよね)


 正直、やれる自信は全くない。それでも頼られているのならば、自分の力を精一杯使って尽くすしかない。そう思い直し、セイディが医務室の前に行けばそこでは本部にいるはずのアシェルやリオ、ルディも待機していて。しかも、何故か魔法騎士団のジャックもいるのだから、驚愕ものだった。


「あぁ、オーティス。連れてきてくれたか。……はぁ、全く。身勝手に行動するのもいい加減にしてほしい……」

「……すみません」

「あっ、違う。今のはセイディに向かって言ったわけじゃない。ただの独り言。……というか、これ外部に漏れたらかなりやばい案件だから。黙っておくこと」


 頭を抱えながら、アシェルがそんなことを言う。とりあえずと思い、セイディが周囲を見渡せばここにいるのはアシェル、リオ、ジャック、それからオーティスとルディ。あとは自らとクリストファーだろうか。それ以外の騎士や魔法騎士は、いないようだ。……少なくとも、ここで一番異様なのはジャック。もしくはセイディ。


「だから、あれほど勝手に行動するなと、俺も小言をぶつけていたのに……。ったく、殿下の奴……!」

「……え?」


 ジャックのぼやきを聞いた後、セイディはハッとして目を見開いてしまった。……今、ジャックは「殿下」と呼んでいた。その後、セイディはまたあたりを見渡す。もしも、騎士の中の誰かが毒にやられたのならば。ミリウスは、間違いなく来るはずだ。あの人物は直感が鋭いし、何よりもああ見えて騎士たちを大切にしている。しかも、先ほどアシェルは「やばい案件」と言っていた。


「はぁ、十数分前に、団長が運ばれてきた。……それも、魔物か何かの毒にやられてさ」


 そう言ったアシェルは、露骨に肩をすくめていた。そして、その表情は……どうしようもないほど、悔しそうだった。

次回更新は予定では金曜日です(´・ω・`)ただ、少し更新ペースを早めようかな……とも思っておりますので、詳しいところは未定です。週三回更新にしたい……。


いつも読んでいただき、誠にありがとうございます(o*。_。)oペコッ引き続きよろしくお願いいたします!

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