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第6話 高等部合同訓練①

何だかんだ言ってる間に、来週から最終学年になる。もう今の時点から進路を考えなければならないので、皆、進路指導の講師に相談へ行ったり、高等部OB・OGにアポを取り、仕事の事を聞いたりとバタバタしている。



私は早い段階で軍部へ入団することを決めていたのでお気楽なものである。…というか、ジュリエット、レオン、果てはリム先生にまで、「リンは魔術師団に入るのよね?」「俺と一緒に軍部だよな!」「貴女の師匠みたいに開業するとか、『貴方のお嫁さんにしてくれるなら軍部に行っても良い』とか訳分からないこといいませんよね?」とか言われた。


まぁ、実家はもう兄さん達で人手は足りてるし、軍部に入ればお給料安定してるし、好きな魔術の研究とか実戦とか出来るからいいかなーって軽く思ってたから良いのだけど。高等部からも推薦状貰えて内定確実だから、あとは残された授業と卒業試験に備えるだけ。



ただ、リム先生、師匠からそんなこと言われてたんですか?見事に玩具にされてるじゃないですか。ご愁傷さまです。そういえば、来週から急遽医療科の非常勤講師として招かれる事になったって聞いてますよ?すぐ遊びに行けるって喜んでました!…え?聞いてない?今から学園長に確認しに行くって?……いつも冷静なリム先生が慌てた顔であっという間に居なくなってしまった。前にリム先生が師匠の事覚えてたって言ったら、かなり喜んでたけど…リム先生、これから大変だなぁ。


***************


最終学年の授業のメインである、合同訓練授業の時期がやって来た。この授業は武術科、魔術科、医療科の3学科と合同で行われる。これら3つの学科は毎年軍部へ就職する生徒が多いため、生徒の内から交流を深めさせておこうという国の意向から設けられた授業である。


しかし、実際の軍部でもそうだが、武術科と魔術科はあまり仲が宜しくない。武術科は魔術科の生徒の事を『軟弱者』、魔術科の生徒は武術科の生徒を『脳筋』と思っている人が多い。魔術科卒業生を『軟弱者』と言うなら、ヤクザの組織をほぼ一人で壊滅状態にした師匠はどうなるんだろう…とも思うんだが。


まぁ、仲が良くないからこそ、お互い負けたくないと競い合うことになるので結果オーライ!…という事で基本的に放置である。ただ、喧嘩になって訓練に支障をきたした場合、かなり叱責されるのだが。



さて、話を戻そうと思う。


この訓練は街の外で魔物狩りを想定して行われる。そして、武術科2名、魔術科2名、医療科2名の6人でチームが編成され、そのチームの中で、武術科はタンク役と攻撃役、魔術科は防御・補助役と攻撃役に分かれる。


私は防御も補助も攻撃も、どれもある程度出来るのだが、担当講師の方から、「お願いだから攻撃役は辞めてくれ」と言われている。私の事を『破壊神』と思っているらしい。一度思いっきり魔術を使ってみたくて、あらゆる属性を混ぜた攻撃魔術を発動させたら、魔術訓練場を壊滅状態にしてしまったのだが、そのことを根に持っているらしい。解せぬ。


医療科は魔術持ちでない人と魔術持ちの人で構成され、魔術持ちでない人は治療に必要なアイテム管理と戦闘中の適切な使用、時には外科治療等を担当する。魔術持ちは戦闘中のある程度継続した治癒魔術行使が求められるらしい。


ちなみに私、治癒魔術も得意である。攻撃魔術が好きだし、師匠が魔術科OGだったから医療科でなく魔術科行ったけど。


私が組んだチームは、比較的穏やかな性格の人達が集まっていた。武術科の2人にはバカにされてるかもなぁ…とか思っていたが、全くそんなことはなかった。むしろ、彼らの父親は守護騎士をしていて、師匠の功績を良く聞いていたらしく、私に師匠の事を何でも聞きたがった。また、医療科の2人も魔術科卒でありながら、街で治療院を開業している師匠の事はよく知っていて、その活躍について知りたがっていたので、常連患者さんから聞いた師匠の武勇伝を教えてあげると、かなり喜んでいた。


今度休みの日にこのグループで遊びに行く約束をするくらい仲良くなれたので、良かったかなと思う。一方で我がチームの魔術科攻撃役のローラは話にあまりついていけず若干涙目かつ空気になっていたが、遊びに行く話が決まった時には楽しそうにプランを練っていたので、終わりよければ全てよし!と思う私だった。


********************


穏やかに終わりそうだ…と思ったこの授業が、今後の人生の分岐点になるなんて、当時は思ってもおらず、ただこの時は同級生と楽しく笑いあっていた。


ローラ「(話の内容についていけませんわ…リンのお師匠様の事とかしらないし)……リンのお師匠様って有名な方でしたの?」


リン「どうやらそうらしいよ?」


ローラ「何故貴女が知らないんです…?」


リン「そうだ。良かったらローラも次の休み、一緒に師匠の職場行く?ローラ連れていったら喜ぶと思うんだぁ。ローラは(玩具として)優秀だし。」


ローラ「優秀ですって!?貴女に言われると照れますわ。…わかりました。そしたら、次の休み、空けておきますわね。私も街のオススメのお店、皆さんに案内致しますわ!」


リン「楽しみにしてるね!(…師匠へのお土産代わりにしてごめん)」


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