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第10話 応急処置

所々医療っぽい用語が出てきます。知識としては合ってると思います…一応、医療系の学校卒なので…(汗)


まずは患者の状態を把握するところから始める。血圧計、聴診器等の道具は無いので、魔術で出来ることをするしかない。


患者の脈拍を確認するとかなりの頻脈で脈打つ強さも弱い。大量出血を起こすと血圧低下、頻脈、チアノーゼ、意識障害といった諸々の症状が出る。血圧計が無いので血圧は分からないが、顔色がかなり悪く、意識消失、呼吸も浅く早いことからかなりマズいだろうと推測出来る。


次に「透過(スキャン)」の魔術で骨の状態を見てみると、大腿部、前腕部の骨にひびが何ヶ所か見られるが、臓器含め他異常なし。問題は足の付け根近くの傷、大腿動脈損傷による出血多量。



「嫌なところ傷付けられてんじゃん…ここ、大腿神経も一緒に並走してるんだけど。私の「透過(スキャン)」は神経損傷まで見れないからどうなってるかわからないけど、神経やられてたら完全に治るまで時間かかるなぁ。」


私の透過(スキャン)の魔術は光属性のもので、骨や内臓、そこそこ大きい血管くらいなら状態が見れるが、神経や細い血管は無理。


また、神経は皮膚や筋肉と違って細胞の再生スピードが遅いため、いくら魔術で細胞代謝を上げても皮膚や筋肉より再生が遅く、数時間で治るものでは無い。魔術使って頑張っても1()()()はかかる。


気も失ってるし、痛みを感じる神経の遮断はする必要がなさそうだと判断。今からやることを考えたら、神経遮断のようにコントロールが難しい魔術の行使は出来れば避けたい。


まずは傷口を水属性の魔術で汚れを落とし綺麗にしてから消毒する。失われた血液は私の光属性の魔力を怪我人の身体に流すことで、血液含めた細胞産生代謝スピードを上げると同時に水属性の魔術で血液と同じ濃さの点滴代わりの液体を創造。そして適切な量を静脈へゆっくり慎重に投与。ここで、一気に入れると心臓に負担かけちゃうんだよなぁ。昔、師匠によく怒られたっけ…。さぁ、ゆっくり、ゆっくり…。


「え、本当にお前は平民か…?」


「やだなー、オルソさん。私は平民ですよ?街医者でもこれくらいできますって。おっ!…この人どうにかなりそうですよ。良かった、良かった。」


脈拍も正常範囲に落ち着いたし、呼吸も安定している。顔色も少し血の気が戻ってきたようだ。


「あとは傷口を閉じるだけ…よし!オルソさん、一応応急処置は出来ました。ただ、無理に動かすと傷口開くので、私が魔術で運びます。その間、周りへの警戒お願い出来ますか?『気配消失』の魔術とほかの魔術の併用ってかなり、難しいんですよねぇ。」


「わかった。周りの警戒は任せておけ。」


魔術により細胞が活性化され、少しずつ傷口が塞がっていくが、塞ぎたての細胞層は結構脆いので無茶をするとすぐに出血してしまう。念の為、訓練の為に持参していた応急処置グッズからガーゼと包帯を取り出し、傷口を覆っておく。


そして怪我人を魔術で私の腰くらいの高さに浮かせた。あまり高く浮かべ過ぎて他の魔物に見つかっても嫌なので低めの高さだ。


「ドゥ・リン、準備は良いか?」


「はい、いつでも。」


怪我人に意識を向けつつ、オルソさんの言葉に応える。そして急いで本部の救護室へ向かうのだった。


某医療科講師「え?神経の再生ですか?完全に断裂してるものだと魔術使っても2ヶ月以上はかかりますよ?1ヶ月?無理に決まってますよ。そんな事できる人がいたらお会いしたいものです。」


所変わって、


アンジュ&リン「くしゅん!」


患者「どうした?師弟揃って風邪か?」


リン「どうせまた花粉症ですよ。そんな事より、さっさと服脱いで背中の傷見せて下さいよ。さっさと消毒終わらせて縫いたいんですから。勿論、くだらないことで喧嘩してこさえた傷なので、麻酔はなしです。」


患者「あうーーーーーーー!!!(師匠が鬼なら弟子も鬼かぁーー!!!)」

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