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第1話 ドーベル国の平民魔術師

他の小説から見て下ってる方、お久しぶりです。初めて見て下さった方、始めまして!豆狸ぽんすけです。第1話は少し話長いですが、読んで頂ければ幸いです。もし良ければ、評価・コメントも宜しくお願いします!(やる気出るので!笑)


「やべ。やっちまったわ。」


医務室から出た途端、誰もいない廊下でポツリと呟く。まぁ、やってしまったことは仕方がない。これからやるべき事の優先順位を考えながら駆け足で職場のフロアへ向かうのであった。


************


ドーベル国魔術師団攻撃部隊第1師団副団長ドゥ・リン、というのが現在の私の肩書きであり名前である。



この国の軍部は大きく分けて魔術師団と騎士団の二種類存在する。



魔術師団は攻撃部隊、防御部隊、治癒部隊の三種類の部隊で構成され、それぞれ100名前後の3師団ずつで構成され、基本的に第1師団と第2師団は貴族のみの部隊、第3師団は平民と貴族の混合部隊だ。



一応、国民の共通認識として第1師団が一番強く、精鋭揃い…ということになっている。



何故、魔術師団は貴族が多いかというと、ただ単に貴族に魔力を持つ人が多いからである。平民でも魔力を持つ者はいるが、威力に乏しく軍に入るまでに至らない者が多い。ちなみに私は平民にしてはそこそこ魔力を持つほうだ。



かく言う私も平民出身なので元々は第3師団所属だったが、途中から王命により第1師団へ転属することになった。



それに対する愚痴は山ほどあるのだが、今は割愛する。ただ、貴族が多い(クソ面倒な)第1師団に何故バリバリ平民の私が配属されたかは、私にとって大変不本意であったとだけ言っておく。



一方、騎士団は王宮や王族を守る近衛騎士、街の中を警備する守護騎士、街の外で盗賊や魔物狩りを担当する黒騎士の大きく分けて三種類存在する。近衛騎士は貴族出身者、守護騎士と黒騎士は平民出身者が多いそうだ。


さて、私が住む国、ドーベル国は教育制度においてかなり力を入れている。



教育機関は7~12歳までの全ての国民が無償で通うことが出来る初等部、13~15歳までの子供が通う中等部、16歳以上の人が通う高等部の3種類ある。



中等部と高等部は本人が希望すれば、試験を経て誰でも入学が可能。中等部であれ、高等部であれ、金銭的ゆとりが無くても、卒業後最低5年間、国が指定する機関で働けば学費免除であるし、在学中必要であれば割のいいバイトも斡旋してくれる。



しかし、中等部への入学試験は比較的簡単ではあるが、高等部への入学試験は格段にレベルアップする。



そもそも高等部は武術、魔術、商業、医療、錬金、官僚など専門ごとに細分化されている。



入学する際は基礎学力だけでなく、本人の素質も重要視される為、試験は筆記試験、面接試験、実技試験が課せられる。それらの総合評価で合格の可否が決まるのである。故に高等部へ進学希望する際は、平民であれば誰かに教えを乞うたり、貴族であれば専門の家庭教師を雇うらしい。



また、この国は王族、貴族、平民と身分が分かれており、初等部と中等部は基本的に王族・貴族と平民で分かれている。どちらもカリキュラム的には差は無いらしい。もちろん設備的には天と地の差があるが。



ちなみにたまに平民の学校に貴族の子供が入学してくる事があるが、平民へ好意的な者ばかりなので特に問題にはならない。後々貴族の友達に聞いた話だが、むしろ貴族で平民の学校へ子供を入学させる家は「変人貴族」と陰口を叩かれる…と笑って話をしていた。



そんな教育制度が整っている国において、自分で言うのも何だが私は魔術においてそこそこ優秀だったらしい。



先程も述べたように平民というのは魔術に必要とされる魔力を持つ人の数が王族・貴族と比べてかなり少ない。それは建国当初、魔力を持つ人のみが、国をまとめるポジションにいた事に起因する。



しかし、平民の中でも貴族の私生児や遥か昔は貴族だった家、突然変異で高魔力持ちが産まれる事はある。私の家は私以外だと母だけ少し魔力を持っているので、母方の家系にお偉いさんがいたんだろう。



魔力の発現は1歳頃からと言われており、全ての国民が1歳児健診というものが課せられ、1歳になると普通の健康診断に加えて魔力測定も行われる。この時は魔力の有無だけ調べられ、これは戸籍情報として記載される。そして魔力持ちの子供は魔力を制御する魔道具を付けられ、魔力が急速に成長する初等部以降ではそのコントロールを身につける指導がなされる。



どうやら昔、平民で高魔力持ちだった子供が魔力を暴走させ大事故になった事からこのような制度になったらしい。



魔力持ちの子供は初等部入学の際、魔力の素質も測られる。そもそも魔術の属性は木、火、土、風、水、闇、光、無属性に分けられる。魔術持ちの子供は基本的に訓練を受ければどの属性も扱えるが、人を傷付けることが出来るくらいの特化した威力が出せるのは1~2属性と言われている。



私は火、風、水、光に特化している。平民にしては化け物クラスらしいが、これにも実は理由はある。



実は私の家は両親、私、兄弟妹との8人家族であり、私は長女だった。家は商売をしており、兄2人は高等部商業科を卒業した後、両親の手伝いをしていたし、その為、家事、弟や妹のお世話等、家の事全てを私が幼い頃から担っていた。



もちろん普通なら一人ではすぐ限界を迎えていただろうが、私には魔術の才能があった。



火属性は料理をするのに便利だったし、水や風属性は洗濯や掃除には必須、光属性はよくやんちゃして怪我ばかりしていた妹や弟の手当てに役立った。


またよく逃亡する弟妹を捕まえるのに、光属性、風属性を応用して使ったりと、自分の持てるもの全てを使って全力で家の全てをしていたら自然とよく使ってた火、風、水、光属性の扱いが上手くなっていたのである。



ちなみに私が高等部に上がれたのも、家事手伝いをサボるため街へ脱走した弟や妹達を捕まえるべく、魔術を使って全力鬼ごっこしていたら、領主様に目撃され、高等部への進学を熱烈に勧められ良い魔術の師を紹介して貰えたからである。



しかし、まさかこれが苦労する人生を歩む第一歩になるなんて、その時は思いもしなかったんだよなぁ…。

領主様「いやぁ、あの頃のリンちゃん、本当に凄かったんだよ。子供って捕まえるの大変だったんだけど、たった10歳で風属性の魔術使って家の屋根にのぼって弟や妹を探し出して、光属性の魔術で弟や妹が見つけやすいように印を付けて回収、その上再度逃走させないよう木属性の魔術で作った縄を巻き付けて家まで連行するんだもの。街中皆で唖然としたよ。」


リン「いや…、若気の至りです。ほんと。」


領主様「いや、それだけじゃなくて…」


リン「いや、もう辞めて下さい!!そんな目立っていたなんて…。ほんと、ほんと穴があったら入りたい…」

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